軍事文様コップ

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10面の切子を施した後、赤色塗料で野砲、青緑色の塗料で戦艦、山吹色の塗料で歩兵二人をプリントしている。
昭和初期に多く見られる切子コップと同様のカットがされている点、プリントされた戦艦の艦橋が大型化している点などから昭和10年前後の作品であろうか。
戦意高揚を目的とした絵柄だが、切子+三色刷りと手の込んだ製品で、当時それなりの値段がしたものだろう。日中戦争の戦況が激化すると共にガラス産業も軍需生産が中心となり、ガラス器の生産はごく限られたものとなった。このような製品は少なくとも日中戦争初期のころまでのごく限られた期間に製造されたものと考えられる。
このように軍事が描かれたコップは少なく珍品である。

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