特別な2ユーロ貨幣
20を超える国で発行され、広く通用しているユーロの硬貨。今回は、2ユーロ硬貨のうち、片面のデザインが変更されたものを取り上げたいと思います。なお、公式の呼称ではありませんが、本稿では片面のデザインが変更された2ユーロ硬貨を便宜上「特別版」とします。 まずは通常の2ユーロ硬貨から。 ↑ こちらはドイツで発行されている通常の2ユーロ硬貨です。日本で500円玉をお支払いするような感覚で、ごくごく一般的にユーロ採用国にて通用している硬貨になります(キャッシュレス云々はさておき)。 続いては… ↑ こちらが、その2ユーロ特別版の一例(ベルリンの壁崩壊30周年記念2ユーロ)です。同じ国で発行された硬貨の同じ面を写真で取り上げており、明らかに通常版とデザインが異なることが判ります。 このように、ユーロ硬貨を発行する国は、毎年限られた枚数の範囲内で片面のデザインを変更した2ユーロ硬貨を発行することができます(詳細は割愛)。この規定に基づいて発行された2ユーロ硬貨は、通常の2ユーロ硬貨と同様に、ユーロ圏ならばどこでも通用します。 日本の記念貨幣のように記念事物がデザインに採用されることが多いですが、必ずしも記念事物だけが発行理由というわけではありません。例えば… こちらはドイツの連邦州シリーズという17年シリーズの2ユーロ硬貨ですが、特に何かの記念で発行されたわけではありません。1年に1州ずつ順繰りで、連邦州デザインの2ユーロ硬貨を発行するものです。このようなデザイン変更は他の国の特別版2ユーロ硬貨でもみられ、したがって特別版2ユーロ硬貨を「記念貨幣」と称するのは、厳密には不正確ということになります。 こちらはイタリアで発行された、新型コロナウイルス対策の最前線で活躍される医療従事者に感謝の意を示すための2ユーロ特別版です。明らかに記念事物によるものでなく、むしろメッセージ性の強い硬貨です。 長々と書いてしまいましたが、2ユーロ硬貨を目にする機会があれば、ぜひ本稿の記事を思い起こして頂ければと思います。見慣れた硬貨を更に楽しめる…かもしれません。 今回はこの辺りで筆を置くことにします。 #参考