角川書店 角川文庫 悪魔の設計図

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昭和五十一年七月三十日 初版発行
発行所 株式会社角川書店

昭和13年(1938年)に雑誌「富士」に連載された横溝正史の短編小説「悪魔の設計図」。
新日報社の敏腕記者・三津木俊助が旅先で遭遇した、旅芝居の舞台上での殺人事件。それはとある大富豪の遺産相続を巡る、凄惨な連続殺人の幕開けであった...
いずれも左腕に水仙の刺青がある、とある大富豪の異母姉妹3人たちが狙われる奇怪な事件に挑む名探偵・由利麟太郎と、その相棒の新聞記者・三津木俊助の活躍を描いた戦前の作品ですね。80ページ弱の短編であることに加え、物語が駆け足気味で進むのでやや消化不良の感があるのは否めませんが、家族間に諍いを起こすのが目的としか思えない遺言状、そして、大富豪には3人の異母姉妹の他にも“静馬”という名の別の子供がいて、これがまた遺産相続に大きく関わってきたりと、戦後横溝の代表作の一つである「犬神家の一族」に大きく繋がっていくものが散見されるのが興味深いところです。
本書には表題作の他に「石膏美人」「獣人」の2編が併録されています。「石膏美人」は由利・三津木コンビの記念すべき最初の事件、「獣人」は若き日の由利麟太郎の物語です。角川文庫には昭和51年(1976年)に収録されました。
画像は昭和51年(1976年)に角川書店より刊行された「角川文庫 悪魔の設計図」です。如何にも杉本表紙画らしい、毒々しく、煽情的な画柄。一見、物語とは関係ないような画柄にも見えますが、女の左腕にはしっかりと水仙の刺青が描かれているところがポイント。

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