未完成メタルフィギュア “キングス・オウン・スコティッシュ・ボーダラーズ連隊”(King's Own Scottish Boderers) サイド・ドラマー(太鼓手) 1984年

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54mm Squadron Range/ British Army Present Day
SQN54 010
Side Drummer, King’s Own Scottish Borderers
Kit £13.45
ロンドンのメタルフィギュアショップ“The Tradition of London”が扱う「54mmスコードロン・レンジ」シリーズのうち、「英軍・現代」編より『キングス・オウン・スコティッシュ・ボーダラーズ連隊(King’s Own Scottish Borderers)サイド・ドラマー(太鼓手)1984』キットです。

【部隊解説】
『キングス・オウン・スコティッシュ・ボーダラーズ連隊(King’s Own Scottish Borderers =KOSB)は大変歴史のあるスコットランドの歩兵連隊で、元はイングランドがスコットランド地方を治める兵力のひとつとして、1689年に編成されました。

ジャコバイトの乱では1746年の有名なカローデンの戦いにイングランド軍の一員として参加、その後、1751年にイギリス陸軍の再編成により戦列歩兵部隊に番号があてがわれ、部隊は“第25歩兵連隊”となります。
1782年には“第25サセックス歩兵連隊”の名を与えられ、ナポレオン戦争がはじまると、1801年に連隊はエジプトに派遣され、アレクサンドリアでナポレオン軍と戦います。

1805年、部隊の徴兵区域がスコットランド南部のボーダーズ地域に指定され、部隊名は「第25(キングス・オウン・ボーダラーズ)連隊(The 25th (the King's Own Borderers) Regiment)と改名されました。

1881年、番号が外され「キングス・オウン・ボーダラーズ連隊(The King's Own Borderers) Regiment)と改名された後、1889年に「キングス・オウン・スコティッシュ・ボーダラーズ連隊」(The King's Own Scottish Borderers) Regiment = KOSB)となります。

1878年、第二次アフガン戦争に派遣され(※ワトソン博士が従軍して負傷した戦役ですね)、1900年には第2次ボーア戦争にも派遣されるなど、英国が参戦した著名な戦役に参加しています

第1次世界大戦においては、KOSB連隊の各大隊がそれぞれ分かれて各地に派遣されますが、有名なガリポリの戦い、西部戦線ではソンム、アラス、イープル、カンブレー、マルヌなど、各地の戦いのほぼすべてに参加していますが、いっぽうで一部の部隊がアイルランドの独立運動の鎮圧にも関わっており、丸腰の市民のデモ隊を武力で弾圧したことでも歴史の中に名を残してしまいました。

戦間期、KOSB連隊はアイルランド、エジプト、香港などに駐留、1939年に第2次世界大戦が始まると本国に帰還し、第1大隊は大陸派遣軍(BEF)に参加してフランスに派遣されますが、ドイツ軍の電撃戦によりドーバー海峡に追い詰められ、あの有名な“ダンケルクの撤退戦”も経験しました。
その後は、連隊の他の大隊と共にノルマンディ上陸を経て欧州戦線で活躍します。

4枚目の写真はオスプレイ社のMen at ArmsシリーズNo.354「The British Army 1939-45 (1)」の表紙ですが、1番左のカーキ色の軍服を着たパイパーが、1944年の欧州戦線におけるKOSB連隊のパグパイプ奏者の姿です。
このフィギュアの先輩ですね。

いっぽう、第2大隊は第7インド師団の一員としてビルマ戦線に参戦、インパール戦線で日本軍と戦います。

第6大隊は、映画「遠すぎた橋」で有名なマーケットガーデン作戦に、英第1空挺師団のグライダー歩兵連隊として参戦、アーンエムの戦いで9割の犠牲を出すという悲惨な経験もしました。

戦後はイギリス統治下のパレスチナの治安任務を担当。
1991年の湾岸戦争に参加した後は主に北アイルランドに駐留、その後、2003年のイラク戦争にも派遣されます。
このメタルフィギュアは1984年の姿を再現したものなので、1982年のフォークランド戦争直後の時代の兵士を再現したものです。

2006年、「キングス・オウン・スコティッシュ・ボーダラーズ連隊」は英国最古の歩兵連隊(1633年編成)である「王立スコッツ連隊」と合併し、さらにスコットランドの各歩兵連隊の大統合に参加、現在は、「王立スコットランド連隊」(Royal Regiment of Scotland)の第1大隊「王立スコッツ・ボーダラーズ大隊」(Royal Scots Borderers)として存続しています。

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