山梨県山梨市牧丘町柳平 乙女鉱山 日本式双晶(ドイツ里帰り標本「金峰山産日本式双晶」)

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乙女鉱山の日本式双晶が海外に出回るきっかけの一つ、パリ万国博覧会(明治33、1900年)。その滞在費の捻出の際に、当時の乙女坂鉱山(甲府市側の乙女鉱山、明治時代の名称)の日本式双晶をフランスの標本商に売りに出したそう。極稀に、海外からの里帰り標本として、乙女鉱山の日本式双晶が出てくることがあります。明治17(1884)年に和田維四郎がドイツに持っていった乙女鉱山の日本式双晶をはじめ、1890年代に出回った日本式双晶など、小さいものはミネラルショーでかなりの高値で販売されていたり、現在でも立派なものは世界の博物館に展示されているものもあります。

ちなみに、乙女坂鉱山は明治初期からの名称で、明治32(1899)年から、鳳鉱山の名前に変えられています。

こちらの標本は、ドイツからの里帰り標本。ラベルに書いてあるのを訳すと、

第一質料
日本式双晶、金峰山 甲斐地方 日本
1900年発見

あとは人名と販売元の地域。postf.1918は、postfach「私書箱1918番」。ラベルの産地が"Kinpozan"=金峰山となっていますが、形状からして乙女鉱山のものでしょう。この点は割と疑わしい部分もありますけれど、特徴は乙女鉱山のそれです。1900年採取であれば、鳳鉱山時代の標本でしょうか。

全体としては、横4cm、両翼は2.9cm、厚みは薄いところで0.8cm、厚いところで1.2cmあります。角度はやや見にくいですが、84.33°ではなく「補角」のようで、その場合であれば95.27°です。厚みの違いから、双晶の接合面がはみ出しており、6枚目の画像、下半分にある片翼の右側から、奥にあるもう片翼方面へ上に見ていくと、うっすらながらξ面(クシー面)が確認できます。

2024年3月のさいたまミネラルマルシェでこちらを見つけ、無理を言って取り置きをお願いしてまで購入したかったこちら。5月に入りようやく入手ができました。乙女鉱山の日本式双晶としては4つ目ですが、厚みと大きさで言えば現在のところ最大のサイズ。値段に関しても、私の単品での購入物では4番目に高額なものとなりました。

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