72回目の日記 シン・ウルトラマン考

初版 2022/05/24 18:26

 もう御覧になったミューゼオの館長の方々も少なからずおられるようで、関連グッズの展示や観賞レポートも始められていますね。今回は私も早々に観ることができ、様々に思うところもありましたので、この場で認めてみたいと思います。というのも、この作品は私の幼少の頃の「ウルトラマン体験」を思い返すきっかけになったからで、長年に亘って意識の外にあった様々なことを、映画館からの帰路に思い巡らしてしまったのですが、そのことを忘れてしまわないうちに書き止めておきたい。もちろん、劇場公開からまだそれほど経過していないですからネタバレしない範囲で、ということになりますね。


1.観終わって…

 まず、個人的にはかなり楽しめた作品でした。ただ、次に思ったのが、世間的には相当意見が割れることが予想される作品だった、ということですかね。ただ、これも観客の個々の立場によって好き嫌いが分かれる、また純粋に作品そのものの構成としてどうなのか、などの要素もあり、一概には論じられません。

 で、私が観終わった直後にどうしても確認したくてそのまま劇場内で調べたのが庵野秀明、樋口真嗣両氏の生年月日で、それぞれ昭和35年5月22日、昭和40年9月22日でした。


2.ウルトラマン世代

 この文章を作成している何日か前のこの映画を評するネット記事の中に『シン・ウルトラマン』のことを「ウルトラマンのことが大好きな子供たちが作った映画」とまとめていたものがありました。まあ、別に異議があるわけではない、そんなものだろうと私も思いますが、単に「大好き」というだけでなく、少なくとも昭和40年代のウルトラマンの体験者という要素も付け加わるのかなと思われました。両氏ともそれに当てはまりますし、またそうでなければできないであろう映像表現も劇中には多々見られましたしね。ただ、この作品、両者のどちらの意向がより反映されているのか、という、見方によってはどうでもいい疑念が湧きました。


3.年代ギャップ

 普通に考えれば、企画・脚本の庵野氏の意向が前面に押し出されていると考えるのが当然ですし、またそう考えざるを得ないというのが結論なのですが、そこに至る過程を辿ってみたい。

 前段に記載したとおり、両者の年齢差は5年ですが、これは「ウルトラマン体験」にとってどのような差なのか。樋口監督は、年齢的には『ウルトラマン』や『ウルトラセブン』の再放送や『ウルトラファイト』の放映、さらには関連書物(主に講談社や小学館の子供向け雑誌)の掲載記事などがまずあって、それが昭和46年4月の『帰ってきたウルトラマン』の開始につながる、という「ウルトラマン体験」。それに対し、庵野氏は『ウルトラマン』本放送、さらにはその前の『ウルトラQ』本放送を観ることができた「ウルトラマン体験」。要するに昭和41年の『ウルトラマン』本放送を観ることができたか、または再放送しか観ることができなかったのか、という差です。

私自身はどちらかというと樋口監督の方に近い年齢ですので、その立場の方が実感できたのですが、本放送の時に年齢的な理由で『ウルトラマン』を観ることができなかった私のような年代は、やがて昭和46年4月に『帰ってきたウルトラマン』の放映が始まるとの報道、そして本放送の開始、もちろんワクワクしながら毎週観ました。でも、そのウルトラマンは少し嫌な言い方をすれば、所詮は初代ウルトラマンの亜流である、という意識が子供心に拭えなかった、すなわち、いわゆる「巨大ヒーローたるウルトラマン」を何の前提もなく目の当たりにする、そしてそれをその後に一週間に一回観る、というワクワク感ではなかったわけで、この体験の差はどうしようもないですね。


4.高揚感の温度差

もっとも、庵野氏は幼少期を山口県宇部市で過ごしており、本放送は山口県の放送局では放映していなかったようですが、宇部市は北九州市と距離的に近いので、おそらくRKB毎日放送を観ることができただろう、ということを前提にさせてもらいます。

 今回の映画『シン・ウルトラマン』の製作に臨むにあたり、おそらく両者ともそれぞれの「ウルトラマン体験」を踏まえた高揚感を抱いたのでしょうが、そこは個人的な差とはまた異質の、前段で述べたような年代ギャップが背景にありますから、そこに映像表現の差が出てもおかしくない。もちろん、両者が協力して本作が完成されたわけですから、その差を確認できるはずもなく、想像するしかないわけですが、私が観た限りは、もうこれは庵野氏の幼少期の「ウルトラマン」の諸々に対する高揚感の発露が全開であり、樋口氏はそれを追体験すべく乗っかった、という印象でした。


5.最後に

 帰宅後は、ネット上に蔓延るネタバレ動画のいくつかを見たりもしましたが、いろいろ確認できた面白かったです。いずれ時期が来て、このミューゼオ上でもネタバレ話ができるようになったら、またいろいろ語ってみたいですね。

 ということで、最後に劇場で頂いてきた映画チラシのうち何種かを掲げておきます。『シン・仮面ライダー』も『ジュラシック・ワールド』もありますが、個人的には『トップガン/マーヴェリック』が楽しみですね。以前にも申し上げましたが、長い間会えなかった旧友と再会する、という感覚であり、是非とも旧交を温めたいものです。

https://www.youtube.com/watch?v=owxwW-6h30A

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 映画音楽とクラシック音楽をこよなく愛するwoodstein(ウッドスタイン)という者です。それ故、必然的にCD、レコードコレクターであり、他人にその保有数を告げると、殆どの場合、引かれてしまうという困り者です。自分でもコレクションを把握できていないという体たらくでして、この場を通じて、実情を解き明かしていこうと目論んでいます。

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