66回目の日記 モニカ・ヴィッティ逝去

初版 2022/02/08 09:35

改訂 2022/02/08 09:35

 年が明けてからいくつか残念な訃報があり、その中にはぜひとも触れたいものもあったのですが、それらは積み残して可能であればまたいずれの機会に採り上げるとして、今回は何と言ってもこのことに触れてみたいと思います。イタリアの女優モニカ・ヴィッティが今月(2022年2月)2日に逝去されました。享年90歳。

 観る作品の本数を重ねるのに従ってそれなりに好みの俳優ができてくる、というのが映画ファンにありがちな共通の傾向ですが、私の場合はその中の一人がモニカ・ヴィッティだった、ですので、この訃報には少なからずショックを受けました。もっとも、私が劇場で映画を観始めた頃にはスクリーンからはほぼ引退状態で、同時代に新たな出演作と出会ったわけではなかったので、ちょっと実感に欠けるところはありますが、やはり伝説の名女優を失った喪失感はありますね。

 あと、モニカ・ヴィッティを語る上で欠かせない存在がミケランジェロ・アントニオーニ監督、公私共にパートナーであり、したがって監督作にも数多く出演したということですが、そのような件についてはその具体的対象作品に触れる機会があったときに語るとして、以下ではまったくの個人的な思い出について認めてみたいと思います。

 初めてモニカ・ヴィッティを観たのが『自由の幻想』というルイス・ブニュエル監督作だったのですが、この作品、そもそも取っ付きにくいことで定評のあるルイス・ブニュエルの作品群の中でも難解な方の部類で、今もってよく理解できていないのに二十歳にも満たない頃のおバカな私には何のことかよくわかるはずもなく、モニカ・ヴィッティという女優に対する意識すらありませんでした。

 ですが、その何年か後に観た『唇からナイフ』のモニカ・ヴィッティには魅了されました。つまり、作品そのものについては様々な評価がある、というよりもツッコミ所満載なのですが、そんなものはモニカ・ヴィッティの魅力に力ずくでねじ伏せられた、という感じでしたね。具体的なことは作品そのものに触れる機会があった際に語ってみたいですが、とにかくこの作品内での彼女の笑顔はとても愛おしかった。というのも、巷に流布しているポスターなどに写る彼女の表情は押し並べていわゆる「おすまし顔」で、笑顔の写真というのがほとんど見当たらなかった。そんな先入観があったせいか、スクリーン内の彼女の笑顔は嬉しい裏切りでした。その後、前出のミケランジェロ・アントニオーニ監督作品に出演する彼女を見ても、作品の内容や役柄もあってか、その笑顔を見ることはほとんどなかったような気がしましたが、そんなことは問題ではない!

 ということで、モニカ・ヴィッティ出演作のサントラ盤として、すでに『唇からナイフ』のCDの画像は上段に掲げましたので、ここでは『A mezzanotte va la ronda del piacere』のサントラ盤CDの画像を以下に提示します。この映画自体は本邦未公開の1975年イタリア製作のコメディで英訳すれば「The midnight goes the round of pleasure」、意訳すれば「良い話は真夜中に広がる」ということになるのかもしれませんが、詳しいことはわかりません。いずれ調べてわかったことはこのCDを展示・登録できた際に申し上げるとして、ここで注目して欲しいのはこのCDの裏ジャケットの画像、上記のように1975年製作ですからモニカ・ヴィッティも40歳代になっていたわけですが、太股を露出しておのれの色気を誇示したわけですから、それだけでも大したものです。この手のお色気コメディというと、『唇からナイフ』『A

mezzanotte va la ronda del piacere』の他に『花ひらく貞操帯』なる作品にも出演しましたが、いかにもミケランジェロ・アントニオーニ監督作品に出演する彼女とは対極で、そんなところも魅力の一つでした。

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 映画音楽とクラシック音楽をこよなく愛するwoodstein(ウッドスタイン)という者です。それ故、必然的にCD、レコードコレクターであり、他人にその保有数を告げると、殆どの場合、引かれてしまうという困り者です。自分でもコレクションを把握できていないという体たらくでして、この場を通じて、実情を解き明かしていこうと目論んでいます。

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