オクラホマ産のファコプス科

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オクラホマ州のBlack Cat Mountainからはデボン紀のファコプス科の三葉虫が産出します。
Haragan Formation, Clarita,
Coal County, Oklahoma, USA
と記載してあるのと同じ産地です。
George P. Hansen著のTrilobites of Black Cat Mountain(写真7)では、それらの微妙な違いが指摘されています。自分の標本で比較してみました。

写真1, 4: Kainops raymondi
写真2, 5: Paciphacops campbelli
写真3, 6: Viaphacops sp.

A: 頭鞍部のブツブツglabellar tubercles:
Paciphacopsが1番はっきりしていて密。
Viaphacopsはあまりブツブツしていない。
Kainopsは他の2者の中間。

B: Palpebral lobe:
Kainops、Paciphacops、Viaphacopsの順に滑らかになります。目の上面Palpebral areaが、ViaphacopsではBより低く、他の2者では高い、と本にはありますが、よく分からないというのが正直ななところです。

C: 溝の深さPalpebral furrow:
Paciphacops、Kainops、Viaphacopsの順に浅くなります。

D: 額環Occipital ring:
Paciphacops、Kainops、Viaphacopsの順に幅が狭くなる、とされていますが、非常に微妙な所見です。

E: Genal angle:
Viaphacopsは、他よりも尖っているとされますが、これも非常に微妙な所見です。

他にも相違点の指摘はありますが、確認困難でした。

本に記載はありませんが、この3つの標本の比較では、B: Palpebral lobeがPaciphacops、Kainops、Viaphacopsの順に幅が広くなる様に思います。また、この逆順に目が「吊り上がっている」様に思います。頭鞍部の丸みの具合も異なっている様に見えます。

ただし、圧縮変形の影響も考えなければなりませんし、少ない標本での検討には限界があるでしょう。三葉虫の世界のご多分に漏れず、バリエーションも存在するでしょう。

兎にも角にも、非常にマニアックで、微妙な分野だと思われます。

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