パパラチアサファイア

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パパラチアサファイア

 オレンジ色(写真2枚目)とピンク色(写真3枚目)の中間色のサファイアがパパラチアサファイアとされています。スリランカが発祥の地とされ、名前の由来であるハスの花の色に似た美しい色相です。ただし、サファイアにおいてオレンジ色からピンク色までの色相は幅が広く(写真6枚目)、売り手によっては少しでもピンク色もしくはオレンジ色を噛む標本を高額になるパパラチアサファイアと称して販売しています。特に多いのは淡い色調のペールピンクの色相の標本です(写真4枚目)。
 また、パパラチアサファイアと認められる色相の範囲は国によっても異なります。おそらく「ピンクとオレンジの中間色で美しい色」もしくは「ハスの花の色」への文化的な感性もしくは色域の認識基準が異なるためと思われます。例えば、アメリカでは赤みの強い物が好まれ、日本ではピンクに近い物が好まれます(写真1枚目)。そのため同じ鑑別機関であっても所在する国ごとにその認定される色相の範囲にムラがあります。
 スリランカが発祥の地とされていますが、同じような色調のサファイアは世界中から報告されています。特に有名なところはマダガスカルやタンザニアでしょう。もともと超大陸時代には一体であり、当該地に宝石鉱物を大規模に形成させたモザンビークベルトの一帯なので同じような産出があってもおかしくありません。個人的にはウンバ産(写真7枚目)やイラカカ産の物は赤とピンクとオレンジの間の色域が幅広く優れた産地と言えると思います。ただ、残念なことにイラカカ産やソンゲア産の標本ではベリリウム処理をして発色を人為的に変更した標本が出回り、信頼性を落としてしまっています。
 いずれにしても「ピンク色からオレンジ色の中間色で、蓮の花を想起させる美しいサファイアがパパラチアサファイアである」との前提の中で手にする者の感性がこれこそはと感じたものがパパラチアサファイアなのかもしれません。

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