BELL&ROSS BR03-92 Diver BR0392-D-BL-ST/SRB

0

2017年のバーゼル発表のレポートを読んで文字通りノドから手が出てしまった魔性の一本。「四角いダイバーズって何やねん!」とツッコみながらも一目惚れ。

磨き分けの美しいカレのケースは、その奇抜なデザインとは裏腹に上質な質感を誇り満足度が高い。ビスの一本、裏蓋のエングレービングにも抜かりはない。そしてその真四角な土台に乗る一般的なダイバーズスタイルのベゼルとダイアル。一見すると凱旋門にエッフェル塔を乗っけた初代通天閣のようにお笑い的違和感を醸しても良さそうなものだと思うが、どっこいこの完成度とセンスの良さ。こんなにも「勇気を出して手に入れてよかった!」と思える時計も珍しい。

何気に良くできたラバーのストラップはデザイン面においても見事な一体感を発揮している。デザイン的には本当に隙きがないのだ、この時計。手首にかまぼこ板を乗せたみたいな時計なのに装着性は意外なほど良いし…全くもって不思議な時計だ。

ムーブメントのBR-CAL.302のベースはセリタの「SW300-1」だが、何ら不都合も問題も感じないレベルだ。少しはモデファイしてるのだろうか。ベル&ロスの時計は「エタポン」や「セリタポン」などと揶揄されることが多いが、フランク・ミューラー同様、そういう部分で勝負するブランドではないと私自身は思っている。

私はこの時計から実に多くのことを学ばせてもらった気がする。時計のどこを評価すべきか否かというそれまで曖昧に過ぎなかった基準に、一本の太い柱を立ててもらった気がするのだ。お蔭で買い物に後悔することは少なくなった。と同時に新しい世界が拓けてしまった分、いらぬ苦悩も増えたのだが…

Default