宮守球状斑れい岩
球状斑れい岩は、遠野花崗岩体の西縁斑れい岩類の一部に含まれている。路頭は荒谷前北方に存在したと考えられ、和山沢西側上流部の採石場にも小規模な露出がある。
【中心核】基質である石英斑れい岩と同質のものから、さらに分化したカリ長石を含むもの、あるいは未分化で球状殻と連続的に変化するものが認められる。中心核は球体形成時に未固結であった。
【球状殻】鉱物の組み合わせや鉱物の化学組成は基質および殆どの中心核と異なることから、それらとは異なるより未分化なマグマから晶出した。含まれる斜長石と一部の単斜輝石には、過冷却の下での晶出を示唆する組織が認められる。
【基質】斜長石>単斜輝石>ホルンブレンド>黒雲母>斜方輝石>石英からなる半自形粒状組織を示す石英斑れい岩であり、少量の不透明鉱物を含む。
[成因]
データ不足のため成因を完全に説明できない。現状での形成モデルの概要は以下の通り。
遠野花崗岩体の一部に球状殻のもとになるかんらん石斑れい岩質マグマと、基質のもとになる石英斑れい岩質マグマが共存していた。
かんらん石斑れい岩質マグマは水に飽和して過熱状態であり、結晶の核となる鉱物は存在しない。例えば、石英斑れい岩質マグマ溜まりの中をかんらん石斑れい岩質マグマが上昇中に石英斑れい岩質マグマを取り込み、結晶作用の核となる物質がもたらされた。
中心核となる物質は浮遊した状態にあり、何らかの原因による減圧により水が失われ中心核を核として急冷結晶が成長して球状殻が形成された。
形成された球状体は石英斑れい岩質マグマ中に沈積密集した状態で固結、一部はマグマの対流により遠くに運ばれ散在して固結した。
<"宮守村産球状斑れい岩調査報告書"から抜粋要約>
《コラム》
下鱒沢地区では昔から"丸くて重い石""磁石にくっつく石"として不思議がられ、民家の庭に飾られていたそうです。
平成13年、道路工事現場より業者が丸い石を沢山発見し、村教育委員会の調査に至りました。調査報告書によれば近くの寺院や積み石、旧採石場にも確認できることから、探せば立派な路頭が見つかるかも知れません。
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