安家球状閃緑岩

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球状岩は川口部落の東方約500mの新道沿いの露頭に見られる。球状岩を含む部分は、川口型の石英閃緑岩中の幅1m、延長3mの部分。含まれる球状岩も楕円体状で流理面に平行に扁平となっている。
【内核】斜長石、角閃石、黒雲母が主成分であるが、少量の石英、カリ長石およびごく少量の磁鉄鉱を含んでいるものもある。中粒閃緑岩質組織を示しているが、部分的には粒状の斜長石が寄木状に集合している。
【内帯】成分鉱物は内核とほとんど変化はないが細粒。
【放射状帯】内核、内帯と似ているが斜長石の量がはるかに多いこととカリ長石を含まないことが特徴。放射状に配列した半自形ないし他形の大きな斜長石と間を塡める小さな斜長石、角閃石、黒雲母からなっている。
【外帯】斜長石が切線方向に配列、小さな角閃石や片状の黒雲母も集合状をなして同じ方向に並ぶ。それらの間を塡めて他形の斜長石、石英が発達し、特に石英は絡み合って縫合状をなしている。
【充填岩】片状、不均質で母岩よりやや細粒。
【母岩】(川口型の花崗閃緑岩)斜長石、角閃石、黒雲母、石英からなり、少量の磁鉄鉱、燐灰石を含んでいる。
[成因について]
・源岩が花崗岩物質の供給のもとに交代作用を受けて生成された一種の混成岩であることは、
1)部分的に寄木状組織を示す。
2)大きな結晶が小結晶によって交代されている。
3)斜長石の多くが外套構造を示す。
4) 外套構造の周辺と寄木状の小結晶が同じ成分。
ことから考えられる。
・球顆の同心円構造の形成は、変成分化によって説明されている場合が多い。この球状岩も、やはり交代作用の際の一種の変成分化によるものと考えられる。
・球状岩がまだ塑性を失わない状態で周囲の岩石と同じ偏圧下変形したと窺われる。
<"北上山地安家村産の球状閃緑岩"より抜粋要約>

《コラム》
安家の球状岩は昭和30年に道路脇の崖から発見されました。その後の度重なる工事により露頭は消失しました。平成28年の台風10号で新たな露頭が現れ、再確認されました。この新露路頭は保護のために具体的な場所は公表されていません。

#安家球状閃緑岩

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