婦人公論 1946(昭和21)年 5月1日 第三百四十八號(5月号)

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『水を想ふ』

と題されたご自身による欧州時代、占領下パリそしてウィーン滞在中の回想中心の随想が掲載されています。

そのとても美しく含蓄深く、詩的な文面に思わず惹き込まれてしまいます。

「芸術家・表現/求道者の視点はかくも」…と、その繊細且つ流麗な演奏を聴くかの如き世界観に感嘆。

"音樂といふ怪物のやうな藝術のかたはしにしがみついて生きてゆく運命を考えるのです"

と、ふっ‥と先人、その道程・途上に自らを重ね、悟りにも似た覚悟の一節をもらされているのも印象的。

終戦直後、まだ数ヶ月の頃。瓦礫と化した東京、日本を思う心にも打たれるが、表題の"水"に喩えられ全てが静かなる力強さに溢れ、ポジティヴである事。其れに何より打たれ震えます・・・

#諏訪根自子 #nejikosuwa

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