静かなる登攀 高須 茂 1941(昭和16)年

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音楽誌以外のところで戦前・戦中を通したそんな時代の日常に流れたであろう"諏訪根自子の音"が垣間見える…音楽評論家でない方々の記述に幾つか触れる事が出来ました。

それは自分と音楽知識的にはきっとそう変わらないであろう皆様の筆で、それ故により身近に感じ得る事が出来ます・・・

「冬の日記」

まだ八時すぎだといふのに、

雪あがりの夜は静かなものだ。

階下のラジオが、

諏訪根自子のヴァイオリン・ソロを放送してゐる。

サラサアテの「ロマンザ・アンダルザ」。

私は机に頬杖を突いて、

ぼんやりとこの抒情的な舞曲を聴いてゐる。

-私の部屋には堆高い書物と、

火のない火鉢があって、

この十二月五日の夜を、

みなうつうつとしてゐる。

『静かなる登攀』高須 茂 1941(昭和16)年

この登山家の方の日常の1㌻の描写がもしこの本の刊行された年であるなら、この3日後の12月8日に日本は太平洋戦争に突入する事になる。よしんば前年の事であるにせよそんな頃に流れた音であるのは違いない。

「ロマンサ・アンダルーサ」は1935年3月発売のレコード(録音は前年)。
https://muuseo.com/nine_o_nine/items/135?theme_id=39652

表紙画像は転載させて頂きました。

#諏訪根自子 #NejikoSuwa

ロマンサ・アンダルーサ / オリエンタル('35)
Columbia 28225 表題タイトルの投げ込み(歌詞カード)です。 裏面掲載全文は盤の方に記載しました。 表書きの今で言うアーティスト簡介みたいな文面には "日本楽壇の寶玉、世界的天才少女ヴァイオリニスト諏訪根自子も輝かしい十六の春を迎へました。 憧れの外遊の日も近く、小鳥のやうな根自子さんの海外への飛躍が約束されようとしていゐます。 音樂の都ウヰーンを、花の都パリを夢みつつ溢れるばかりの觀喜をヴァイオリンに託して 『渡歐の春』を奏でる傑作二曲です。" とあります。う〜ん、なんと希望に満ちた「美貌なる昭和」!? 蓄音機から流れる音を聴きつつ、ほぼ90年近く前の解説読みながら(楽曲的知識も有りません故…) リリース時のそんな空気感も味わいつつ珈琲でも・・・な時間はなかなかに佳きひとときであります^^♪ 下部に【納付済み】の印刷はなし。スタンプは表面です。 #諏訪根自子 #nejikosuwa
https://muuseo.com/nine_o_nine/items/135

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