大百怪 第二巻 No.6 野寺坊

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《物語》
晩夏のすすき野原。草に埋もれそうな道は、日中はちらほらと旅人の姿があるが、夕暮れ時になれば人影はなくなる。
すすきが風にざわざわと揺れると、どこからかゴーン……と幽かな鐘の音色が響く。
あたりには寺はなく、人家の煙すら見えない。
夕暮れ時に通る旅人は、ときおり、そんな不思議な鐘の音を聞いたのである。

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