大百怪 第一巻 No.3 たくろう火

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《物語》
夜の瀬戸内海を一艘の小舟が行く。
ふと、若い船乗りは暗い波間に灯りを見た。それは海上に浮かぶ二つの火。
まるで互いに大きさを比べあうように、チラチラと伸びたり縮んだりしている。
老齢の船乗りもそれに気づく。が、船乗りたちは黙って舟を進めるだけだった。
怪異は黙ってやり過ごすのが海の男の掟なのだ。

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