角川書店 角川文庫 幽霊鉄仮面

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昭和五十六年九月二十日 初版発行
昭和五十九年六月三十日 再版発行
発行所 株式会社角川書店

昭和12年(1937年)から昭和13年(1938年)にかけて雑誌「新少年」に連載された横溝正史の長編小説「幽霊鉄仮面」。
新日報社の4月1日付の朝刊に掲載された、“カチカチ山”を捩った図案の奇妙な新聞広告。それは殺人鬼・鉄仮面の宝石王・唐沢雷太への殺人予告ともとれるものだった。それから2週間後、例の奇妙な新聞広告の依頼主を探っていた新日報社の記者・折井が同社の重役室で、短刀を胸に突き刺されて殺されるという事件が起きた。後輩を殺され、怒りに燃える新日報社の敏腕記者・三津木俊助。そんな彼と唐沢雷太の遠縁にあたる御子柴進少年、そして“由利先生”こと由利麟太郎のトリオが恐るべき殺人鬼・鉄仮面に挑む。
横溝正史が少年少女向けに書いたものを、山村正夫が編集構成したジュヴナイル作品ですね。“カチカチ山”のお伽話を捩った殺人予告で幕を開ける本作、それはまるで本格探偵小説の一ジャンルである“見立て殺人”の趣で始まるのですが、そんなムードも最初だけで、途中から善悪入り乱れての一大冒険活劇となります。その目まぐるしさ、破天荒さは横溝ジュヴナイルの中でも一、二を争うもので、モンゴルの奥地で大団円を迎えるラストまで力技で一気に読ませます(笑)角川文庫には昭和56年(1981年)に収録されました。
画像は昭和59年(1984年)に角川書店より刊行された「角川文庫 幽霊鉄仮面」です。つばの広い帽子を目深に被った鉄仮面の怪人。まさに劇中に登場する鉄仮面を描いた表紙画ですね。物語中盤の見せ場に登場する、鉄仮面の軽気球が効いていますね。

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