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角川書店 角川文庫 真珠塔・獣人魔島
昭和五十六年九月十日 初版発行
発行所 株式会社角川書店
昭和13年(1938年)から昭和14年(1939年)にかけて雑誌「新少年」に連載された「深夜の魔術師」を改稿し、昭和25年(1950年)に雑誌「少年少女王冠」に連載するも中断、その後、昭和30年(1955年)に改題・改稿されてポプラ社から刊行された横溝正史の中編小説「真珠塔」。
翼から鬼火のような青白い光を放ち、夜空に舞う不気味な金色の蝙蝠。この金色の蝙蝠が現れるところ髑髏の仮面をつけた怪人・金コウモリが現れるという。その金コウモリが真珠王・柚木老人が所有する真珠塔に目を付けた。妖しい催眠術を駆使する怪人・金コウモリに、新日報社の敏腕記者・三津木俊助と“探偵小僧”御子柴進少年が挑む。
昭和29年(1954年)から昭和30年(1955年)にかけて雑誌「冒険王」に連載された横溝正史の中編小説「獣人魔島」。
小菅刑務所に捕らえられていた死刑囚・梶原一彦が脱獄した。生まれながらの悪事の天才である梶原は世界的な医学者・鬼頭博士によってその脳をゴリラに移植され、恐るべき“獣人魔”として甦った。悪党集団・骸骨団の首領となり、次々と悪事を働く“獣人魔”に、新日報社の敏腕記者・三津木俊助と“探偵小僧”御子柴進少年が挑む。
どちらも横溝正史が少年少女向けに書いたものを、山村正夫が編集構成したジュヴナイル作品ですね。ダブルタイトルでの表記だけにどちらもそれなりに読み応えのある中編作品ですが、個人的には「怪獣男爵」の焼き直しかと思わせつつ、ラストにどんでん返しを持ってきて、「怪獣男爵」とはまたひと味違うモノに仕上がっている「獣人魔島」が興味深かったですね。角川文庫には昭和56年(1981年)に収録されました。
画像は昭和56年(1981年)に角川書店より刊行された「角川文庫 真珠塔・獣人魔島」です。こちらを指差す、不気味な髑髏の仮面をつけた怪人。まさに「真珠塔」に登場する怪人・金コウモリを描いた表紙画ですね。まるで杉本版“黄金バット”のような趣が感じられる画ですが、怪人の背後に事件の黒幕と思しき人物をちゃんと描いているのが流石、杉本画伯だと思います。
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