角川書店 角川文庫 大迷宮

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昭和五十四年六月二十日 初版発行
昭和五十六年八月三十日 五版発行
発行所 株式会社角川書店

昭和26年(1951年)に雑誌「少年クラブ」に連載された横溝正史の長編小説「大迷宮」。
避暑のため軽井沢に滞在する立花滋少年と従兄の大学生の謙三。ある日、2人はサイクリングに出かけたところ、急な夕立に遭い、丘の上の古びた洋館に泊めてもらうことになった。そこには10年前に行方不明になった世界的サーカス王・鬼丸太郎の遺児である剣太郎が、鐘馗髭の叔父や足が不自由な家庭教師たちと一緒に住んでいた。その夜、怪しい足音を聞いた滋と謙三が剣太郎の寝室を覗くと、ベッドの天井が突然下がってきて...?
横溝正史が少年少女向けに書いたものを、山村正夫が編集構成したジュヴナイル作品ですね。角川文庫での収録順は何故か「黄金の指紋」のほうが先になってしまいましたが、こちらは横溝ジュヴナイルワールドの名悪役キャラクター、怪獣男爵が登場するシリーズの2作目になります。ご存知、ゴリラと人間の合いの子に悪い科学者の脳を移植して誕生した大悪人、怪獣男爵。そんな男爵の再登場だけでもうれしいのに、今作では主人公の立花滋少年をサポートする役で何と名探偵・金田一耕助が登場。軽井沢・東京・瀬戸内海の孤島を舞台に、滋少年や金田一耕助たちが怪獣男爵一味と繰り広げる冒険活劇の世界はワクワク、ドキドキ感に満ち溢れていて、この「大迷宮」が“探偵ジュヴナイル不朽の名作”と呼ばれているのも大いに頷けるところです。角川文庫には昭和54年(1979年)に収録されました。
画像は昭和56年(1981年)に角川書店より刊行された「角川文庫 大迷宮」です。コロッセオのような迷宮と不気味な髑髏男。まさに大金塊が隠されている瀬戸内海の孤島、迷宮島の大迷宮と、それを造り上げた世界的サーカス王・鬼丸太郎のなれの果てである髑髏男を描いた表紙画ですね。“探偵ジュヴナイル不朽の名作”に相応しい重厚なタッチが堪りません。

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