角川書店 角川文庫 金色の魔術師

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昭和五十四年六月二十五日 初版発行
発行所 株式会社角川書店

昭和27年(1952年)に雑誌「少年クラブ」に連載された横溝正史の長編小説「金色の魔術師」。
ある日、名探偵・金田一耕助の一番弟子を自認する立花滋少年が学校へ行くと、校門の前に人だかりが出来ていた。滋少年が何事かと覗いて見ると、金ぴかのフロックコートに身を包み、高い鷲鼻と吊り上がった険しい目をした気味の悪い老人がしゃべっていた。“金色の魔術師”と名乗るその老人は「わしには七人の少年少女が必要なのじゃ」との謎めいた言葉を残し、金色のつむじ風をまいて消え去っていった。そして、その言葉通り一人、また一人と姿を消してゆく少年少女たち。奇怪な連続消失事件に、滋少年を中心とする“少年探偵団”が挑む。
横溝正史が少年少女向けに書いたものを、山村正夫が編集構成したジュヴナイル作品ですね。今回の悪役キャラクターは、金ぴかのフロックコートに身を包み、高い鷲鼻と吊り上がった険しい目をした気味の悪い“金色の魔術師”。七人の少年少女をサタンの生贄にせんと企てる、この奇怪な人物に対して、名探偵・金田一耕助の一番弟子を自認する立花滋少年とその友人2人が結成した“少年探偵団”が挑むという、横溝正史の盟友・江戸川乱歩の“少年探偵団シリーズ”の設定を名前ごとそのまま拝借したかのような王道の探偵ジュヴナイルで、病気療養を理由に一歩引いたように見せつつ、その裏で密かに行動していた金田一の姿は“少年探偵団シリーズ”における明智小五郎を彷彿させます。角川文庫には昭和54年(1979年)に収録されました。
画像は昭和54年(1979年)に角川書店より刊行された「角川文庫 金色の魔術師」です。シルクハットから赤い星と数字の入ったカードを取り出している、高い鷲鼻と吊り上がった険しい目をした気味の悪い老人。まさに七人の少年少女をサタンの生贄にせんと企てる、“金色の魔術師”を描いた表紙画ですね。顔と、シルクハットと誘拐予告カードを持つ両手以外ぼかしているのが不気味な効果を上げています。

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