- dape_man Museum
- 13F ミステリー
- 角川書店 角川文庫 花髑髏
角川書店 角川文庫 花髑髏
昭和五十一年四月二十日 初版発行
昭和五十六年八月三十日 十一版発行
発行所 株式会社角川書店
昭和12年(1937年)に雑誌「富士」に連載された横溝正史の短編小説「花髑髏」。
20年前に起こった、ある凶暴な精神病患者の謎の死。そして20年後、その患者を担当していた医師の一人が刺殺された。死体の傍らには血染めの頭蓋骨と、それに奇怪な色彩を添えるように白い野菊の花が撒かれていた...
20年前の精神病患者の謎の死に由来する陰惨な連続殺人に挑む名探偵・由利麟太郎と、その相棒の新聞記者・三津木俊助の活躍を描いた戦前の作品ですね。大きな長持の中に肩を刺された美女がぐったりしていたとか、血染めの頭蓋骨とか、如何にも戦前の横溝作品らしい草双紙趣味が横溢しているのが堪らないです。令和2年(2020年)に吉川晃司が由利麟太郎を演じたテレビドラマ『探偵・由利麟太郎』で、本作が第1作目に選ばれたのには驚きました。本書には表題作の他に「白蠟変化」「焙烙の刑」の2編が併録されています。個人的には表題作の約3倍の長さの長編「白蠟変化」が面白かったですね。稀代の悪党・白蠟三郎を始め、一癖も二癖もある人物たちが織り成す、大時代的な展開が楽しい作品です。角川文庫には昭和51年(1976年)に収録されました。
画像は昭和56年(1981年)に角川書店より刊行された「角川文庫 花髑髏」です。少しだけ開いた飾り窓の中から覗いている不気味な髑髏。そして、飾り窓の片方のガラス板には美女の顔が映っていて、何かを暗示しているかのようです。草双紙趣味溢れる「花髑髏」の世界観を見事に具象化した傑作表紙画です。
映画『悪霊島』『蔵の中』公開時の“横溝正史フェア”帯付きです。
#横溝正史 #杉本一文 #由利麟太郎 #角川書店 #角川文庫 #ミステリー #小説 #装画
woodstein
2022/12/08 - 編集済み帯に描かれている金田一耕助のイラストは、和田誠の画ですね。
9人がいいね!と言っています。
dape_man
2022/12/10そうです、そうです。和田誠さんの金田一耕助というと、映画『金田一耕助の冒険』のアニメパートを思い出しますね。
5人がいいね!と言っています。
woodstein
2022/12/10映画『金田一耕助の冒険』の時と微妙に表情が違うような気がします。もしかしたら、古谷一行と鹿賀丈史の違いを意識して和田誠は描いたのではないかと想像してしまいます。
https://www.youtube.com/watch?v=eqIdjpPov9c
4人がいいね!と言っています。
dape_man
2022/12/11この帯に描かれた金田一のイラストは、昭和54年1月に角川文庫に収録された「真説 金田一耕助」の表紙画の流用なので鹿賀丈史ではないと思いますが、確かにのちの鹿賀金田一の雰囲気に近いものがありますね。
3人がいいね!と言っています。