PODHORJANY ( ROCO / HO )

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チェコ(現ウクライナ)の『ポドルジャニ(Podhorjany)醸造所』のビール貨車です。

側面にチェコ語等でいろいろ書いてあり、最初、どれが醸造所名なのか迷いまして海外サイトなどいろいろ調べましたが、上にある『Pivovar-Brauerei-Sörgyár』…、最初のピヴォバーはチェコ語、二つ目のBrauereiはドイツ語、最後のSörgyárはハンガリー語、それぞれ「醸造所」という意味です。(…で、合っているはずw)

下段の『Podhorjany - Mukačevo』とあるうち左のポドルジャニが醸造所名、その右の「ムカチェヴォ」は調べたところ地名です。『ムカチェヴォのポドルジャニ醸造所』と書いてあるのでしょう。

醸造所が存在した戦前はムカチェヴォの町はチェコの一部でしたが、現在は、なんとウクライナ領内になっています。
そして、この醸造所は現存していないようです。

ムカチェヴォは、西はスロバキア、南西はハンガリー、南はルーマニアと接するウクライナ最西端のザカルパティア州の都市のひとつで、墺洪2重帝国の支配下から後にハンガリー領に、WW1後にスロバキア領に、そしてWW2期にはまたハンガリー領となり、戦後にソ連の支配地域となり、そのまま現在はウクライナ領と…、各国の覇権の入り乱れた国境地域の都市として波乱の歴史を持っている地域です。
また、ムカチェヴォは戦前はユダヤ人が多い町であったため、大戦中はナチス支配下のホロコーストでユダヤ系住民の80%が殺害されたとされています。

上下のロゴの間に小さく書かれている「Schönborn-Buchheim」(シェーンボルン=ブッフハイム)ですが、これは18世紀、神聖ローマ帝国末期、帝国の副首相を務めた貴族の名前で、当時はチェコとスロバキアの地域は神聖ローマ帝国の領土内(後に墺洪2重帝国領に)だったのが何か関係あるのか?…また、実はこの名前の貴族はほかにも何人かいるようで、、、すみません、こちらの詳細の由来は定かではありません…m(__)m

モデルはオーストリアのロコ社のHOゲージ模型ですが、モデルはチェコ・スロバキア時代の「チェコスロバキア国有鉄道」(ČSD=Československé státní dráhy)の貨車、側面のロゴの左側に「ČSD」の表記があります。
ČSD時代は1918年から1992年までと長いため、ČSDの表示があるからと言って時代の特定は難しいですが、ムカチェヴォがチェコ時代だとすれば、1918年からWW2終了直後くらいまでの時代の車両ということでしょうか。

ビール貨車でもブドワゼやピルスナー・ウルケルなど、チェコのブランドはいくつか出ておりますが、ドイツやスイスのビール・ブランドに比べれば数は少ないうえ、この車両のようにČSD時代のモデルは数が少ないと思います。

緑の車体がとてもきれいな好感の持てるデザインです。

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