- SilicifiedZone Museum
- 5F マンガン鉱物
- チョコレート鉱 2023-07-06
チョコレート鉱 2023-07-06
マンガン鉱石は、黒く変色する物が多いです。その原因は、マンガンを含むため、黒くなるとされているようです。確かにそうなのでしょうけど、黒化し易いと言われる「緑マン」ですら、ほとんど変色しない物があります。となると、その主原因は他に在るはずです。また、破面は黒化しやすく、研磨面はし難いとされています。そこで、その主原因は「微細なパイロクロアイト」だと、私は考えます。
このパイロクロアイトと言う鉱物は、新鮮な時は無色透明で存在が分かりませんが、酸素の存在下すぐに酸化し始め、茶褐色のファイトクネヒト鉱に変わります。つまり、忍者の様な鉱物なのです。ただ、酸素の存在下では、その秘技が失われます。また、破面は、その弱い部分で破断します。パイロクロアイトは柔らくて劈開があります。つまり、パイロクロアイトのある部分で破断するのです。また切断研磨すると、その面にパイロクロアイトが存在する確率は低く、研磨面が変色し難くなるのです。
チョコレート鉱は、菱マンガン鉱、ハウスマン鉱、アレガニー鉱、ヤコブス鉱、リッベ石等からなる高品位鉱です。勿論パイロクロアイトが含まれているでしょう。
鉱物コレクターとしては、変色した標本なんて値打ちが有りません。そこで、何とか新鮮な状態で保存したい訳です。そこで切断研磨して、ワックスがけしましたが、それでも何年か経過すると変色しました。それで、今回は片側にガラスを貼り付けたものと、もう一つはアクリル塗装をしてみました。さて、今後何年新鮮な状態を保つでしょうか。例え変色したとしても、再研磨すれば済むので、標本自体が大きく損壊する事もありません。その上、鉱石の構造が細かく観察する事が出来るようにもなります。これも、最大の特徴です。