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予感 / 中島みゆき
ロックに舵を向けた、中島みゆき作品のなかで一番好きなアルバム。
全9曲に通じるキーワードが、アルバムタイトル「予感」なのでは?
A面は本人によるアレンジで、B面はジュリーや「太陽にほえろ」で有名な井上堯之によるアレンジ。
ロック寄りにすることで新しい世界観が生まれ、彼女の引き出しを更に増やすことになった作品です。
この作品を、デビュー当時のメンツで作ったら、全く違う作品になったと思いますし、様々な経験の果て行き着いた必然の通過点です。
A1.この世に二人だけ
恋人同士の歌じゃない
彼女がいる男に惚れて
私と彼を残し
皆死に絶えればいいのに
と歌うストーカーのような物語
でも救いなのは
心ならずも願っていること
そうはならない「予感」を
薄々感じていること
妄想するしかできない
健気で儚い女の子のラブソング
A2.夏土産
彼氏の浮気に気付きつつ
ひと夏別々に過ごす二人
友人が撮った写真に偶然写る
彼氏と見知らぬ女の楽しげな姿
互いにまだ好きという気持ちがあるから
ついてしまう嘘と気付かぬフリ
別れるのか
別れないのかは定かでないが
何かが起きる秋の「予感」
A3.髪を洗う女
男のにおいを、存在を
かき消すために髪を洗う女
前にも後ろにも進まない「予感」の中
夜更けにひとり、髪を洗う女
A4.ばいばいどくおぶざべい
夢をあきらめ
転職の覚悟を決めたロックシンガー
ずっと付き合ってきた仲間はわかってる
だから何も言わない
お別れだけど、どこかでこれからも
ずっと繋がってる「予感」
B1.誰のせいでもない雨が
難解な歌詞は
学生運動を指しているのか
誰のせいでもない紛争により
癒されぬ悲しみを抱き続ける当事者と
何もなかったかのように
日常に戻る第三者
何も変わらない「予感」
B2.縁
あなたの毒になると云って追い回す女
こんなことしてどうなるのか?
泣きそうになるのを我慢して
河辺にたたずむ女
二人に縁はあるのか?
何の「予感」もなく河に問いかける
B3.テキーラを飲みほして
つかず離れずな距離感の二人
男の都合に合わせる女と
罪悪感なく
その他大勢として見ている男
フラれたと思う女と
フった意識もない男
夜が明け、酔いが覚めれば
何かが始まる「予感」
B4.金魚
棲家を持たない二人の金魚すくい
金魚が欲しかったわけではなく
すくい上げようとしても
逃げる幸せを
笑って肯定できる二人
これからも続く旅の「予感」
B5.ファイト!
今のSNSに通じる
無責任な第三者の視点
当事者になる勇気
傍観者から関係者になるための一歩
誰もが道徳としてわかっているようで
わかっていないこと
突きつけられると痛い
変わらなければならないということ
変われるという「予感」