ファンとアンチの狭間で ~ VOL.20 美女と野獣②

初版 2020/09/24 21:06

改訂 2023/01/24 08:04

*なんでこんなことを綴っているのかはこちらをご覧ください

 ファンとアンチの狭間で ~ 本当の自己紹介


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*ファンとアンチの狭間で ~ VOL.19 美女と野獣①

*ファンとアンチの狭間で ~ VOL.21 美女と野獣③

*ファンとアンチの狭間で ~ VOL.22 美女と野獣④

*ファンとアンチの狭間で ~ VOL.23 美女と野獣⑤

*ファンとアンチの狭間で ~ VOL.24 美女と野獣⑥

*ファンとアンチの狭間で ~ VOL.25 美女と野獣⑦


今回はそれぞれの登場人物について見ていきたいと思います。

ベルひとりだけど画像も文章も多めでだいぶ長め。


●ベル●

この物語の主人公、発明家の父を持つ"変わり者"の娘です。

読書好きで、中でもファンタジー系の小説が一等お気に入り。

・娘であり、妻であり、母であり

映画の中で詳細は語られていませんが、ベルに母親はおらず父親のモーリスと二人暮らしです。

モーリスにとってベルは娘ですが、ベルは娘だけでなくモーリスにとって妻や母の役割も担っているようです。

新たな発明品を作り出しては失敗し、失敗のたびにすぐにへそを曲げて「もうやめる!!」とふてくされるモーリス。

そんなモーリスをなだめすかし、励まして、再びやる気を起こさせるベル。

父親を暖かく包み込み、精神的に支えているのが窺えます。


美しい親子愛と言えばそうなんですが、私にはどうにもベルが不憫に思えます。

他のシーンを見ていても、モーリスは自分のことで手一杯で娘のことはまるで見えていないようで

そんな父を見て幼いながらに「支えてあげなきゃ」と聡いベルは無意識に思ったんだろうなと。

子どもを持ってから『美女と野獣』を見返したとき、強烈な違和感を覚えたのが冒頭にある↑の画像のシーンでした。


ディズニー作品にはたくさんのプリンセスがいて、それぞれがそれぞれに不遇だったり孤独だったりと戦っていますが

それでも"友"と呼べる動物たちが仲間として一緒にいることが多いです。

白雪姫の"森の動物たち"、シンデレラの”ねずみたち”、アリエルの"フランダー"、ラプンツェルの"パスカル"。

ですがベルには特定の"友"はおらず、いつも一人で決断して一人で戦っています。

危険な冬の森へ父親を探しに行ったり、父親の代わりに身代わりになったり、父親の無実を晴らそうとしたり。

・・・あ、全部モーリスがベルの足引っ張ってた💧


兎にも角にも。

ベルは誰にも守られず、助けてもらえず、自分でその身を支えて今まで生きてきたんだろうなぁと思うと何ともやるせない気分になります。


・ごはんを食べて!!!

『美女と野獣』と言えば「Be Our Guest」が流れる晩餐のシーンが有名ですね。

他作品と比べても食事シーンが多い作品だと思います。

野獣と「生涯城に幽閉される」という約束をして絶望するベルのもとにお茶を勧めにきたポット夫人御一行。

勧められるままにお茶を飲もうとすると、チップ(ティーカップ)に

「ねぇ!手品を見せようか?」と話しかけられます。

紅茶をブクブクと泡立ててポット夫人に叱られるチップ。

そのままベルの手元から飛び降り「また晩餐会でね!!」と帰っていきます。

ティーカップになみなみと注がれた紅茶はそのままに・・・

紅茶飲んでません。

晩餐会はなんやかんやあって開催されず、夕飯を食べ損ねておなかが空いたベルは厨房へやって来ます。

「自分と一緒でない限り食事を与えるな」と言いつけられたコグスワース(時計)は食事を出すことを渋りますが、給仕頭のルミエール(ろうそく)はお客様のために晩餐会を開催します。

ルミエールの歌に合わせてたくさんのご馳走が出てきます。

「ご注文は何なりと!!」とメニューを見せたり、豪華なケーキにたくさんの美味しそうなスイーツ。

最後は長テーブルに全員集合してショーはフィナーレを迎えます。

ショーが終わると、演者はコグスワースに挨拶してそそくさと帰っていきます。

当のコグスワースも大あくびをして「もうこんな時間」と言って部屋で休むよう促してきます。

ご馳走を見せられただけで食べてません。

ある冬の朝。

たっぷりの砂糖とミルクを注いだ「なにか」が朝食です。

ここで初めてベルがちゃんと食事をしているシーンが出てきます。

ついでに野獣も同じ卓についています。

スプーンはうまく使えないけど、お皿を持って飲み干すというスタイルで無事に食事にありつけました。

良かったね!ベル!!初めての食事だ!!!

ベルとの生活で人間らしい文化的な生活を始めた野獣。

スプーンも使えるようになりました。

食事中にバイオリン演奏も流れ、それに促されるようにベルは席を立ち野獣をダンスに誘います。

そしてあの豪華なダンスシーンへ・・・

せっかくのコース料理でスープしか口つけてません。

彼はお城の料理人のシェフ・ブーシュ。

久しぶりの客人のために張り切って晩餐の料理を作ったのにベルが来なかったために流れてしまい、ポット夫人に愚痴をこぼしていました。

食事シーンの回数が多いわりに、実際に食していることは少ないこの作品。

これまでの食事でも、ダンスシーンのあった晩餐でも、腕によりをかけて作った料理を食べてもらえなくて、きっと彼は今日も厨房で嘆いているんだと思います。


・陸(おか)に上がったアリエル

父親の代わりに人質になったベルですが、使用人たちの計らいで牢屋ではなく私室が与えられることになりました。

部屋までの道すがら野獣は「西の塔には行かないように」と言いつけます。

その後、ひょんなことからベルは西の塔へ続く階段を見つけてそのまま部屋へと行ってしまいます。

その部屋でガラスドームの中で光輝くバラを見つけ、迷うことなくガラスドームを外すベル。

好奇心に駆られるままにバラに触ろうとして・・・

野獣に見つかりガチギレされます。

「ごめんなさい。悪気はなかったの。」


悪気はなかった、だと・・・?

他の作品だけど「やるな」と言われたことをやってガチギレされたワガママ娘を私は見たことがあります。

しかも今回は明らかに"大切にされている"とわかるものを無遠慮に、無造作に触ろうとまでしています。

だいぶ手癖も悪いです。

わたし。「悪気はなかった」って言葉、大っ嫌い(笑)


・風の子ベル

作品の中でベルは何度かお召替えをしています。

まずはベルの私物の「町ベル」と呼ばれる白シャツにブルーのワンピース。

シーンによって「なぜか」微妙に袖丈が変わるのですが、5分丈で描かれていることが多いです。

ある冬の朝のベル。

お城からの配給品で、このシーンで流れている曲から「愛の芽生えベル」と呼ばれるドレス。

このドレスも5分丈の袖。

ベルと言えばコレ。黄色のドレス。

これに至ってはオフショルダーで袖丈ゼロ。

ベランダには雪が積もってはいませんが、庭にはまだ溶け残りの雪が木の上などにたくさん積もっているくらいに寒い冬の夜の話なんです。

西の塔の一件でガチギレされて城を脱走したときには、森でオオカミに追いかけられて「町ベル」の服で分厚い氷の張る湖に落ちて

結局逃げ切れず、ずぶ濡れのまま雪の森で囲まれたりなんかもしています。


おばちゃん思うんですよ。

よく風邪もひかずに元気だなーって。

オオカミに囲まれたときは野獣が助けに来てくれたので事なきを得ましたが、

その後お城に戻って野獣の手当てをしているシーンでは町ベルの服のままです。

湖に落ちてぐっしょりどころか気温的にバリバリに凍ってたっておかしくないのに。

「手当より着替えの方が先じゃないかな?」と思わずにいられません。

このシーンなんて野獣は自前の立派な毛皮があるのに十分丈の長袖着て、さらにマントまで羽織ってます。

ベルは毛皮もなければ5分袖なのに。


ベルの体はだいぶ丈夫なようです。

ことに寒さへの耐性はハンパないです。


・誰の服?

ベルはアリエルに次ぐ衣装持ちのキャラクターです。

ですがその多くはお城からの支給品。

黄色のドレス以外はベルのお部屋にいたマダム・デ・ラ・グランデ・ブーシェの中に入っていました。

ところで、この服ってそもそも誰のものなんでしょうか。

この城の唯一の主は野獣で、彼は男性です。

そうすると彼の母親とか姉妹のもの?

彼の家族について一切情報がないので詳細はわかりませんが、この城には不釣り合いな若い女性のドレスが大事に保管されているという事実があるのみです。


他のディズニー作品は家族構成が明確で欠けた席があればその理由が作品内で語られることが多いのですが、

『美女と野獣』はベルの母親といい野獣の家族といい、血縁者に纏わる話に謎の多い作品です。


To be continued...


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#謎多き作品

学生時代にディズニーランドにある"クイーン・オブ・ハートのバンケットホール"でアルバイトをしていました。
それがきっかけで業務上必要に迫られ知識をためていったらディズニーが好きに。
ここには私が気に入って収集したディズニーアイテムを多数展示しています。

***祖父の遺品である切手のミュージアムを開設しました。
そちらもゆるゆる展示していきます。

https://muuseo.com/YMJ-StampRoom

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