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Lonchodomas volborthi
モロッコやイギリスなどオルドビス紀の広範囲で産出するLonchodomasですが、立体的な姿で全体像を把握できるのはロシア産に勝る産地は無いと思います。3本の棘は長く張り出しており、しなやかにカーブを描いていて、柔軟性がありそうにも見えます。見た目が同じAmpyxとの区別は、コレクターに知られていますが、Lonchodomas (ロンコドマス)は体節の数が5つ、Ampyxは体節の数が6つである事を一応、記載しておきます。
Lower Ordovician Raphiophoridae,Trinucleoidea,Asaphida TRI-546 Volkhovian LevelTrilobites
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Lonchodomas suriensis
南米の三葉虫といえば、ボリビア産は少ないながらも目する機会がありますが、アルゼンチン産は入手の機会が限定的です。Lonchodomasの仲間は、アメリカ、モロッコ、イギリス、ロシアと世界各地のオルドビス紀の地層で産出しますが、産出数としてはどの産地も比較的少ない種類です。本来は頬棘や前方先端と3本の長い棘が特徴的な種類ですが、この標本には残念ながら棘は残っていません。
Upper Ordovician Raphiophoridae,Trinucleida,Asaphida TRI-190 Eastern CordilleraTrilobites
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Cnemidopyge nuda
種類が多い英国のTrinucleoidea(超科)の中では一般種であり、比較的大型化した種であります。この仲間は、本来は長い頬棘があると考えますが、そこまで残っている標本は滅多にありません。古くから研究が進む英国では、この様な地味な種類でも記載が進んでおり、微妙な違いを楽しみ収集するにも役立ちます。
Ordovician Raphiophoridae,Trinucleoidea,Asaphida TRI-112 Llanfawr MudstoneTrilobites
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Ampyxina bellatula
ミズーリ州産という珍しい産地ながら以前は安価で入手できる種類でした。本来は頬棘があったと考えますが、そこまで残っている標本は極僅かです。頬棘がある個体を見ると細くて意外と長い頬棘があった事が分かります。よく薄茶色に保護剤が塗られている標本がありますが、本来はこの標本の様に母岩と同じ色をしています。近縁の種類同様に本種も群れで暮らしていたのか、屡々複数個体の標本も見かけます。
Upper Ordovician Raphiophoridae,Trinucleoidea,Asaphida TRI-21 Ampyxina bellatulaTrilobites
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Raphiophorus rouaulti
Lonchodomasの仲間はオルドビス紀が全盛でしたが、後の時代のシルル紀にも少数ながら生き残っていました。この標本は、小さな母岩の中に複数の白い殻の個体が分かり、不完全ながらも特徴が分かります。この仲間は、モロッコのオルドビスにも複数個体がまとまって見つかる事が知られている様に、群れで暮らしていた習性があると思われます。
Raphiophoridae,Trinucleoidea,Asaphida TRI-341 Liten Lodenice,Czech RepublicTrilobites
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Lonchodomas mcgeheei
所有している三葉虫化石で最も小さな標本です。この砂粒のような化石は、成長すると3本の棘が美しいLonchodomasの幼体です。三葉虫は、卵から生まれ、Protaspid Form(原楯体/げんじゅんたい)→Meraspid Form (幼楯体/ようじゅんたい)→Holaspid(完楯体/かんじゅんたい)=成体という大きな成長段階があり、更に脱皮の時期に応じて細分化された段階があります。通常目にする標本は、完楯体以降の状態の三葉虫ですが、Meraspid Formと分かる段階で化石化した標本は、保存や分離など産地の特性に左右されます。この標本は、安くは無いのですが輸入する際に、一度目では標本自体が紛失してケースだけ届いた苦い思い出があります。 【参考サイト】A Guide to the Orders of Trilobites http://www.trilobites.info/ontogeny.htm
Middle Ordovician Raphiophoridae,Trinucleoidea,Asaphida TRI-209 BromideTrilobites
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Seleneceme acuticaudata
英国の数多いTrinucleoidea(超科)の中でも派手な種類の一つです。LonchodomasやAmpyxの様に前に突き出す長い1本の棘と同様に後方へ延びる1対の頬棘があります。この標本は、脱皮殻なのですが棘を含む頭部が分離して裏返って逆向きに保存されています。同一個体の物と思われますが、この種類の脱皮の様子が分かる貴重な資料といえます。胴体部分だけで見つかることの多い種類ですが、体節の多さも注目すべき点の一つで、胴体部だけでも本種であると分かる特徴的な姿をしています。
Ordovician Raphiophoridae,Trinucleoidea,Asaphida TRI-631 Hope ShalesTrilobites
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Lonchodomas mcgeehei
古くから知られる古典種で多くの図鑑にも載っているのですが、現物を入手するのが難しい種類であります。たまに入手の機会があっても良質な標本は高額であったりしますので、コレクターの間では人気もあるのだと思います。群れで暮らしていたと思われ、本種以外でも複数体が化石化している状態も見られます。Trinucleoidea(超科)の仲間は、時代が進んでも眼を発達させる事はありませんでしたが、長い3本の棘と触覚など感覚器官を研ぎ澄まして、暮らしていたと思われます。
Middle Ordovician Raphiophoridae,Trinucleoidea,Asaphida TRI-209-2 BromideTrilobites