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Nobiliasaphus delessei
2009年にニュースになった世界最大の三葉虫の発見、そこはポルトガルのカネラスにあるスレート建材採石場から発見された90㎝を超える個体でした。ユネスコ世界ジオパークにも指定(Arouca Geoparque/2009)されている事もあり、個人コレクターには入手困難な産地の一つです。Nobiliasaphusといえばポルトガル産でも一般種ではありますが、大きさというよりは尾部に棘が出ているのが特徴です。本種は、カネラスでも2番目に大きい70㎝もの個体が発見されているそうです。
Middle Ordovician(Dariwillan) Asaphidae,Asaphoidea,Asaphida TRI-756 ValongoTrilobites
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Asaphus punctatus
ロシア産アサフスの防御姿勢の個体には傾向があり、幼体での産出が殆どであります。この標本も成体の半分ほどの大きさしかない幼体です。推測するのに、まだ体の小さい幼体では、身を守る時に防御姿勢を取る方が有効であったと思われます。生息環境に幼体の大きさでは脅威になり、生体の大きさに成長すると太刀打ちが出来なくなる天敵がいた可能性はあり得ると思います。
Middle Ordovician Asaphidae,Asaphoidea,Asaphida TRI-38-2 Asery levelTrilobites
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Dolerobasilicus yokusensis
中国を除けばアジアの三葉虫は、極めて入手が難しい事に気が付きます。朝鮮半島では、カンブリア紀やオルドビス紀の地層があるのが日本と違います。本種は、尾部だけとか部分化石は見かけますが、中々全体像が分かる実物を見にする事は少ないです。Dolerobasilicusは、Basilicus (Basiliella)の属名で昔から知られている種類ではありますが、その姿は本当にアサフスの仲間だろうかという姿です。(5枚目:一番小型の共産した個体は、別種のアサフス)節が非常に多い気がしますが、大きな尾板が胸部の様に見え、その尾部も縦長に尖っています。
Middle Ordovician(Dariwilian) Asaphidae,Asaphoidea,Asaphida TRI-308 JigunsanTrilobites
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Nobiliasaphus nobilis
ポルトガルの他、スペインやフランスなど西ヨーロッパに広く産出する種類です。長く太い頬棘が特徴で、アサフス(目)の特徴を良く表しています。ポルトガル産は、褶曲の影響を受けやすく、実際の体形より伸ばされていたり、体高が低い潰された産状ですので、他の産出エリア産と比較して別種の様な姿の場合もあります。
Middle Ordovician Asaphidae,Asaphoidea,Asaphida TRI-85 ValongoTrilobites
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Anataphrus vigilans
見た目が可愛い種類は、見ていて愛おしくなってきますが、このAnataphrusという種類はカエルの様なキャラクターで、三葉虫界の癒し系代表です。オクラホマ州のHomotelus bromidensis(Esker,1964)に近縁ですが、Homotelusと比較すると体の大きさの割に眼の張り出しが大きく、モノコック形状の体にチョコンと飛び出しているのが分かります。川崎市の歯科で国内著名コレクター氏の HPにある個体と、赤字の通し番号が近く同一時期に採取されたものと分かりますが、入手できたのは2000年代前半だけだった様で、既に絶産したのでしょう、もう入手する機会が無くなっている種類です。
Upper Ordovician Asaphidae,Asaphoidea,Asaphida TRI-357 MaquoketaTrilobites
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Hoekaspis matacensis
大きなノジュールから産出するボリビア産のアサフス。昔は比較的流通し当時は価格も高くはなかったので、コレクターにも軽視しがちと感じます。近年は新規採掘の標本はありません。1種類だけの様に見えますが、混同しているだけで数種類いるとされ、H.megacanthaなど幾つかの種が市場でも見られます。ただ資料的な情報が無く産地も含め謎が多いため、正解が分からない状況です。この標本は、供給元によれば古いコレクションからの放出品であり、この地からは珍しい頬棘がしっかり残る個体です。元々頬棘があるのが普通なのか、他に多く出回る頬棘が無い種類は別種なのか判断はつきません。 【標本リンク】FossilEra https://www.fossilera.com/fossils/3-5-hoekaspis-trilobite-bolivia--2
Middle Ordovician Asaphidae,Asaphoidea,Asaphida TRI-254 CoroicoTrilobites
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Ogmasaphus praetextus
サンクトペテルブルグ産(ロシア)のアサフスが、市場では圧倒的な供給量と質を兼ね備えているので、余り関心を集めないスウェーデン産のアサフスです。バルト海沿岸を中心に広くオルドビス紀のアサフスは見つかるのですが、この標本の様に全体的に状態として悪く、産出量も極めて少ないです。スウェーデン語が良く分からないので、詳しい産地情報も正確には分からないですが、南部のバルト海に近いエリアと想定されます。
Middle Ordovician Asaphidae,Asaphoidea,Asaphida TRI-186 -Trilobites
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Shergoldia laevigata
2015年位から見かけるようになってきたカンブリア紀、Sandu累層の三葉虫群。広西チワン族自治区のベトナムとの国境に近いエリアから産出します。この種類、登場当初はTsinania laevigataと呼ばれていた気がします。特徴的な種類が多いSanduの三葉虫の中では、直ぐに見分けが付くアサフスの仲間です。この産地の中でそれ程珍しい種類ではなく、大きさも5㎝程度の標本も見かけます。見た目だけなら後のオルドビス紀のアサフスと同じです。
Upper Cambrian Asaphidae,Asaphoidea,Asaphida TRI-526 SanduTrilobites
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Megistaspidella triangularis
その名の通り三角の三葉虫です。頭部と尾部が尖っているので、実際はラグビーボールの様な楕円に近い感じです。見た目が特徴的ですのでロシア産の中でも屈指の人気のある種類です。最も一般的な本種以外にも尖りの形状の違いなどから数種が知られていますが、本種以外の産出量は極めて少ない状況です。Spinopygeという属名が使われる事もあり、古くはMegalaspisが一般的に通用した属名でした。
Lower Ordovician Asaphidae,Asaphoidea,Asaphida TRI-238 Kunda levelTrilobites
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Pseudogygites latimarginatus
1990年代位までは、Pseudogygites canadensisという名称で市場に出ていました。英国産のOgygiocarellaに似ていて、幅広で厚みの無い体と、良く見ると短く鋭い頬棘があるのが特徴です。この種類は群れで暮らしていたのか複数体の標本も多く見かけます。元々平坦な種ではあったと思いますが、完全にフラットな状態まで圧縮されている感じです。
Upper Ordovician Asaphidae,Asaphoidea,Asaphida TRI-231 WhitbyTrilobites
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Asaphellus desideratus
Asaphellusというと同定が曖昧であったり、未記載のモロッコ産のAsaphida(目)に付けられる仮称のイメージがありますが、チェコ産の本種は古くから知られた種類です。Negativeだけの標本ですが、ノジュール状の産状でポジ側は崩壊してしまったと思われます。またノジュールという産状もあり、現地でも殆どが部分化石での産出であり、小型とはいえ全身の姿が残っているのは貴重です。
Ordovician Asaphidae,Asaphoidea,Asaphida TRI-305 ŠárkaTrilobites
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Plesiomegalaspis sp.
モロッコでは数少ないノジュールから産出する種類です。2009年頃から市場に現れ、当時、価格的にはそれ程高い訳でもありませんでしたが、モロッコ産ではよくあるように、僅かなロットだけで市場から消えてしまった様に思います。ぱっと見、一般的に産出しそうなAsaphusに見えますが、中レベルの大きさで、太くて長めの頬棘、意外と同じ種類がいない事に後から気が付きます。
Ordovician Asaphidae,Asaphoidea,Asaphida TRI-369 -Trilobites
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Megalaspis sp.
オルドビス紀フランス産の小さなアサフスの仲間です。1cm程度しかありませんが、頬棘は比較的長く発達していました。Asapusの仲間である事は間違いありませんが、正式に記載が無い様で、仮称でMegistaspidellaなどとされるケースもあります。フランス産の三葉虫は市場に出てくる事が少なく、更に状態が余り良くないので、種類で収集するコレクターなどでなければ、普通は触手が伸びる事は少ない分野と言えます。
Ordovician Asaphidae,Asaphoidea,Asaphida TRI-306 TraveusotTrilobites
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Isabelinia glabrata
ポルトガルやスペインといった欧州各地のオルドビス紀の地層から見つかる種類です。フランス産としては、これでの最上の保存状態と言えます。陽の光で煌く母岩に渋い色合いですが、化石らしい風合いが気に入っている産地です。ブルターニュ地方からはオルドビス紀の化石が見つかるのですが、比較的多産するNeseuretus tristani以外の種類を入手する事は、難しい産地です。
Ordovician Asaphidae,Asaphoidea,Asaphida TRI-138 TraveusotTrilobites
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Isotelus mafritzae
北米オルドビス紀を代表する種類であるIsotelusは、カナダとアメリカ東部の広い範囲の地層で見つかります。Cobourg累層も現在は閉鎖されているので、特にカナダ産は出回らなくなってきました。I.mafritzaeという種類は、カナダ産のIsotelusでは多く聞くのですが、実は記載されていない種類の様です。また細い頬棘があるTypeAと頬棘が無いTypeBが確認されています。この標本は、頬棘が無いようなのでTypeBに相当するかと思います。
Middle Ordovician Asaphidae,Asaphoidea,Asaphida TRI-78 CobourgTrilobites