火の見櫓?いいえ、教会です~大明寺聖パウロ教会堂

初版 2023/08/15 03:03

改訂 2024/03/25 08:51

入口からバスに乗り、帝国ホテルのある明治村5丁目の建物から見て回ります。

明治12年長崎に建てられた「大明寺聖パウロ教会堂」です。鐘楼が備えられた一見農家風の建物です。これには明治6年まで続いたキリスト教禁制の影響があったものと思われます。外見からこれが教会と判断できる人は誰もいないでしょう。フランス人宣教師ブレルの指導のもと、地元伊王島の大工、大渡伊勢吉によって建てられました。伊勢吉さんは大浦天主堂の建設にも携わったそうなので、教会建築の知識、経験もあったものと思われます。

この教会堂は昭和50年に解体され、平成6年に移築されています。つまり20年程部材を保存した上で再建された訳です。その苦労は大変なものだったと思われます。

完全に和風の建物内に一歩足を踏み入れると……。美しい交差リブヴォールト天井の身廊が現れます。

簡素ですが大変美しい祭壇です。

しかしどうやって木でこのアーチを形成したのでしょうか。凄い技術です。

天井は竹小舞と漆喰で仕上げられています。

ここでは柱頭飾りから下の柱を一本おきに取り払っています。柱が連続して窮屈になるのを避けた伊勢吉さんの名人技で、開放感のある空間に仕上っています。

柱部分にも精巧な彫刻がなされ、西洋の教会とは違ったお堂になっています。

祭壇の右に「ルルドの洞窟」が設けられた国内では珍しい教会です。竹小舞を編み上げ泥を塗りつけて岩山を模した超絶技巧。「羊の皮を被った」メイドインジャパンのスーパー教会です。凄いぜ!伊勢吉さん。

1990年3月に行ったロンドンで、初めてエドワードグリーンのドーバーを購入しました。以来、ここの靴の虜になりました。質の良いしっとりとしたカーフ、美しい木型、無い物ねだりと分かりながら、この時代のエドワードグリーンの靴を今も追い求めてしまいます。
他に古い靴も修理して履いています。特に戦前の英国靴は素晴らしいと実感しています。

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    fanta

    2023/08/17 - 編集済み

    素朴ながらメルヘンチックな教会堂ですね♪
    よく見ると聖像に唱え言葉が…
    日本らしい感じです😊

    長崎の教会堂はいくつか行きましたが、
    いつか行ってみたい五島列島にはなかなか…😅

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      グリーン参る

      2023/08/17

      fantaさん、
      教会というより「お堂」といった雰囲気で、可愛らしい感じです。おっしゃる通り「ひとびとをあいしたまいたる~」といった言葉がひらがなで書かれていて、明治の日本人にも敷居の高くない教会堂だったのだと思います。

      長崎は原爆や長崎大殉教など、特別大きな悲劇が起こったところですね。私もいつか五島列島に行ってみたいです。

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