レドリキアの模式種
初版 2023/08/31 22:49
改訂 2023/09/01 20:54
(経緯)
19世紀の終りごろ、パキスタンのカンブリア系であるソルト・レンジのネオボルス頁岩で、Fritz Noetling が、新種の三葉虫を発見した。
1899年に、Karl August Redlich が、その三葉虫を Hoeferia noetlingi と命名し、記載した。
その3年後の1902年に、Maurice Cossmann が、当該三葉虫を Redlichia noetlingi と再命名した。
これをざっとまとめると、下記のようになる。
模式種:Redlichia noetlingi
発見地:パキスタン
発見者:フリッツ・ネートリング
記載者:カール・アウグスト・レートリヒ
命名者:モーリス・コスマン
ここで出てくる三人の古生物学者のフルネームと生没年を書いておくので、気になる人は調べてみてください。
Maurice Cossmann (1850-1924)
Friedrich Wilhelm (Fritz) Noetling (1857-1928)
Karl August Redlich (1869-1942)
さて、われわれとして気になるのは、この原レドリキアともいうべき Redlichia noetlingi がどんな姿形をした三葉虫だったかということだが、どうもネット上にはそれらしい画像がないみたいだ。
レートリヒの書いた記載論文のほうも、標題や掲載誌ははっきりしているのに、ネットでは見ることができない。
"The cambrian fauna of the eastern Salt-Range"
Palaeontologia Indica, new series, V.1, no.1, p.1-13
私の探し方がまずいだけかもしれないので、もし見られる場所などご存じの方があればご教示をお願いします。
trilobite.person (orm)
2023/09/01 - 編集済みレドリキアのレドリク(レートリヒ)は人名に由来していたのですね。調べたことがなかったので、勉強になりました。あと模式種がパキスタン産だったのですね。
一応さっと検索してみたところ、中国の雲南産と称するR. noetlingiらしき標本の画像が、一つ引っかかりました。いかにも外殻が薄そうなレドリキアだなという感じですね。ピンタレストにある画像なので、これ以上詳しい情報は追えませんが、一応アドレスを貼りつけておきます(ひょっとすると登録が必要かもしれません)。
https://gr.pinterest.com/pin/335377503478190446/?amp_client_id=CLIENT_ID(_)&mweb_unauth_id=%7B%7Bdefault.session%7D%7D&simplified=true
ktr
2023/09/01画像をありがとうございます。
雲南省とパキスタンとでは近いといえば近いし、離れているといえば離れていて、はたしてほんとに noetlingi かな、という疑問もありますが、いずれにしても夢のある標本で、ネガのようですがすばらしいですね。
あと余談ですが、このピンタレストの管理人の集めている三葉虫の画像のなかに、私のもっている標本(ケラトヌルス)が出てきたのにはちょっと驚きました。
Trilobites
2023/09/01 - 編集済みRedlichiaの模式標本なんて考えた事も無かったのですが、意外と歴史が浅い事に驚きました。私の所有しているヒマラヤのカンブリア紀の三葉虫という本にカシミール地方での産出について記載されていて、表紙にもレドリキアの写真があります。市場に出て来た事は一度もないのですが、政情も不安定な地域なので、調査すら継続的に出来ないんでしょうね。
https://muuseo.com/trilobites/items/392?theme_id=21153
ktr
2023/09/01これはまたすばらしく貴重な資料をおもちですね。
表紙のレドリキアも見たことのないタイプでそそられます。
たとえ標本が市場に出てこなくても、こういう貴重な種類がもっとネットで見られるようになればいいですね。