1981 Tokai VS60 VF

0

1981年は、僕がエレキギターを本格的に始めた年。LS120Vを手に入れて、「エレキはもう、これで充分!アームはないけど、そんなのいらん!EVHみたいなギターが弾けると思わないし、僕はもっとシブいめの音楽をするねん!」と思っていました。そしてそれは確かにそうだったのですが、そんな僕が「ぐらっ」と来た製品が、この年、Tokaiから限定で出たのでした。

当時大流行のHeavy Metal。その時代に合わせたような、フラットトップのストラトタイプ。
おまけにTopの木目が美しい。アーム(トレモロユニット)もロック式でないのもとても好感が持てたそのギターは、Tokai VXシリーズと言いました。

当時は「エレキギターを何本も持つ」なんて贅沢は出来るはずもなく(想像すらしていなかった)、ただただ憧れのギターだったのです。

昨年のコロナ禍の夏の入りっぱなでした。
所用で友達のところに行った際、近くにあったリサイクル店を冷やかしに行きました。

「大したものはないよな。。。え?」

と見つけたのがこの個体。あのころとっても憧れたVXシリーズが、目の前にあったのです。しかも大好きなVIolin Finish!
それでもそんなものを買って良いかどうか、といえば買ってたらアカン立場の現在。。。。貧乏ですからね。

うーん、うーん、と悩んでその日は引き返したのです。

。。。でもやっぱり。。。気になる。。。当時の限定ものが出てくることは滅多とありません。
しかも、それほどプレミアムがついていたわけでもなし。

「よし、明日もう一度行って、売れてたら諦めもつく。残ってたら、貯金叩いてでも買う!」

。。。果たして、このギターは僕を待っていてくれていたのでした。

購入後、友達のリペアマンのところへこのギターを持っていくと、

「あ!やっぱり買ったの、君だったか!」と笑われてしまいました(苦笑)。
僕はそのリサイクルショップの商品、彼がメンテナンスしているのを知っていたのでした(笑)。

ギターの元の状態や現在手を入れたところ、不具合のチェックを友達とやって、より完成度が上がりました。

手に入れた際には、ノブは変えられていて、PUもなんだかよく分からないものになって、エスカッションも黒になってました。
ちまちまとパーツを集めて、ここまで復元しております。あとはミニスイッチをクロームに、そして当時のトレモロユニットを手に入れたら完成(オリジナル戻し)です。

今にして思えば、この当時の東海楽器はGibsonやFenderからの圧力を受けてコピーものの製品を作り続けられない状況に陥り始めていたのでしょう。大量に仕入れた良質のギター材をどうにかして処理していかねばならなかったのだなぁ、と思うようになりました。

そこで、このVXシリーズでは、良質の木材をガンガン使って高い技術力で製品化していたのではないかなぁ、と考えています。

実際、精度は高いし塗りなんかも最高に薄くてしっかりしています。この個体もTopのBookmatchは完璧と言って良いと思えます。
2PUのモデルが欲しいなぁ、とも思ったこともありますが、1PUでこの材をじっくり愛でるのがこのギターの美味しいところではないかと今では思っています。

S/N 1019135

Default