⑦ フィアット 500 1.2 Pop

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故郷へのUターンが決まり、田舎では車がないと生活できないので、せっかくならまたイタリア車に乗れないか考えた結果、中古のチンクしか選択肢はなかった。ネットで調べて2012年式の白に狙いを定め、郷里へ向かう途中で中古車店に立ち寄ると、あまりのかわいさに一目惚れして、思わず「ウチ来る?」と話しかけた。
納車を待つ間、自宅の前に白のチンクが現れ、まだ納車日ではないはずなのにと思ってよく見ると、“ラウンジ”(ガラスルーフ車)に若い女性が乗っていて、「ボヘッ!ボヘッ!」という排気音の“ツインエア”(2気筒ターボ)で、チンク違いだった。それだけ久しぶりの愛車が待ち遠しかったが、1.2ポップで正解だったと思っている。後に1.4(DOHC)にも試乗したが、小回りが効かないのはネックだった。
ウーノ・ターボ以来となる“ファイア”エンジンはパンチに欠けるが、淀みなく回るし意外と静かで、舗装のよい道を流すとまるでサルーンのような滑らかさだ。“デュアロジック”(オートとマニュアルの二刀流ミッション)も賢い。何しろ“いちいちかわいい”というキャッチフレーズどおりポップな内装は明るく、特にアイボリーの本革巻きステアリングと2トーン(アイボリー&レッド)カラー・シートのできのよさときたら、軽い腰痛くらいなら運転すれば治るほどだ。ダッシュボードの奥の方から聞こえる謎の“じゅるじゅる”音(エアコンの排水音とかウオッシャー液の逆流など諸説あり)はフィアット特有で、ウーノの時代から健在だ。ホイールベースが短いためヒョコヒョコするのは仕方ないにしてもアスファルトの段差を越える際のシャーシが捻れるような感覚は不快なので、市販のリアタワーバー(トランクに露出することなくフレーム付けするタイプ)を取り付けたら、劇的に強度が改善された。基本的にはノーマルで乗る派だが、見た目重視でオプションの純正アルミホイールにピレリP1を履かせている。
自分が乗りだしてから、我が街でも間違いなくチンクの仲間たちが増えている。長く乗っているとそれなりに手がかかるとはいえ、今のところ次の車は考えていない。

思えば無理して買った新車よりも117クーペにしろウーノ・ターボにしろプロに勧められた中古車の方が不思議と愛着が湧き、当時の思い出とともに今でも鮮明に記憶が甦ってくる。

・チンクのミニカーはたくさんあるが、ポップがプロトタイプとなるノーマルルーフ車は割と少ない。1.2ポップに最も近いのはノレブ(1/43)だが、ボディカラーがオプションのパールホワイト(メタリック)なのと、アイボリーのはずのシートバック上部までレッドなのが惜しい!もしかすると、オプションのレザーシートを表現したのかも知れない。
・上げ底ながらエンジン表現がある開閉機構付きの多くは1.3Multijet(ターボディーゼル)で、これはイタリア本国などの主力モデルであるからと思われる(左:モンドモータース)。1.2“ファイア”なのはウェリーだが、ガラスルーフ(中)。ノレブはノーマルルーフもあるが、1.4(右)。いずれも1/18。ほとんどは“ツインエア”が登場するまでに製品化されている。
・そこで、フジミのプラモデル(1/24)を1.2ポップに仕立てることになる。ただ、左ハンドルは致し方ない。
・ガチャならマイナーチェンジ後のタイプだが、右ハンドルがある。

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