隠された帝 / 井沢元彦《祥伝社》

0

1990年に祥伝社より発行された『隠された帝(みかど) 天智天皇殺人事件』井沢元彦/著です。A5版ハードカバー・モノクロ326頁です。
井沢元彦氏による《歴史ミステリー》の一冊。この本は必読というほど、重要な本ではないのですが、印象が強くて、面白い本でした。
“ニュースキャスター五条広臣の付き人・市原純の不慮の死の謎を追う、私立探偵・加賀美史郎。右翼団体のテロによる市原純の殺害事件に巻き込まれ、大怪我を負った五条がベッドデテクティブとして、歴史の謎解きを繰り広げる一方で、加賀美は、五条家と市原家との戦前からの奇妙な因縁と恩讐を知ることになる。”
天智天皇と言えば、古代の有名人の一人で日本書記等でも、日本史の主役として活躍している人物です。歴史書『扶桑略記』に記された「天智天皇殺人事件」とはどういうことなのか。
古代日本史の半分が覆ってしまうほどの謎を秘めた、常識外れの話ですが、日本書記でも天智天皇と大海人皇子、すなわち後の天武天皇との関係性が非常に曖昧なのは知られた話です。もし二人が兄弟でなければ、日本書記という史書は何のために編纂されたのかと、『壬申の乱』とは何だったのか、常識とは大幅にかけ離れた“歴史”が見えてくるということになります。
他に、「秋の田の かりほの庵の 苫を荒み わが衣手は 露に濡れつつ」、小倉百人一首の一枚目を飾る天智天皇の御製歌ですが、古代史の有名人である天智帝の歌としては、“たった一人で小屋の中にいる”という意味の和歌は、不思議な歌だと思います。
著者・井沢元彦氏は、天智天皇を巡る歴史の謎を、『逆説の日本史』2巻古代怨霊編でも書いています。
#歴史ミステリー #古代史 #奇説異説

Default