角川書店 角川文庫 金田一耕助の冒険

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昭和五十一年九月十日 初版発行
発行所 株式会社角川書店

昭和32年(1957年)から昭和33年(1958年)にかけて雑誌「週刊東京」に断続的にされた横溝正史の連作短編小説「~の中の女」シリーズ。
のちに長編化された作品が3編あったり(「壷の中の女」→「壺中美人」、「渦の中の女」→「白と黒」、「扉の中の女」→「扉の影の女」)、異色の金田一映画として知られる大林宣彦監督の『金田一耕助の冒険』の原作である「瞳の中の女」があったりと横溝ファンにはお馴染みの短編小説シリーズですが、そんな「~の中の女」シリーズから前述の長編化された3作品を除いた10作(「霧の中の女」「洞の中の女」「鏡の中の女」「傘の中の女」「鞄の中の女」「泥の中の女」「柩の中の女」「瞳の中の女」「檻の中の女」「赤の中の女」)に、昭和31年(1956年)に雑誌「読切小説集」に掲載された「黒衣の女」を改題した「夢の中の女」を加えた、全11話から成る短編集がこの「金田一耕助の冒険」です。長編作品のような重厚感はありませんが、いずれも趣向を凝らした、味のある短編集です。昭和50年(1975年)に春陽堂書店の「横溝正史長編全集20 金田一耕助の冒険」が先行する形で刊行され(但し、この時は「赤の中の女」は収められなかった)、角川文庫には昭和51年(1976年)に収録されました。
画像は昭和51年(1976年)に角川書店より刊行された「角川文庫 金田一耕助の冒険」です。スズメの巣のような頭髪を掻き回し、何やら思考している様子の、風采の上がらない和装の男。まさに名探偵・金田一耕助を描いた表紙画ですね。角川文庫版の横溝作品では数多くの表紙画を手掛けた杉本氏ですが、金田一耕助を描いたものはこれだけなのである意味、貴重な表紙画です。

#横溝正史 #杉本一文 #金田一耕助 #角川書店 #角川文庫 #ミステリー #小説 #装画

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  • Animals 16

    Jason1208

    2022/12/30 - 編集済み

    和田誠氏による「金田一耕助の冒険」イラストが印象に残っていて、カバーアートも和田誠氏かと思っていました。

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    • B6cf967ebcafa336fe0b5e970ad6d9c2

      dape_man

      2022/12/30 - 編集済み

      昭和54年の映画化に際して、それまで1冊だった「金田一耕助の冒険」が2冊に分冊されて、表紙画も和田さんのイラストに変更になったんですよ。和田バージョンの「金田一耕助の冒険」もそのうちアップします。

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