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- 角川書店 角川文庫 魔女の暦 第1期
角川書店 角川文庫 魔女の暦 第1期
昭和五十年八月三十日 初版発行
昭和五十年十月三十日 三版発行
発行所 株式会社角川書店
昭和31年(1956年)に雑誌「小説俱楽部」に掲載され、その後、昭和33年(1958年)に改稿された横溝正史の長編小説「魔女の暦」。
名探偵・金田一耕助の元へ届いた“魔女の暦”なる人物からの奇怪な手紙。その手紙には、東京・浅草六区のレビュー小屋・紅薔薇座の興行「メジューサの首」の舞台で、金田一の興味を惹く事態が起こるだろうと書かれていた。内容に犯罪の予告めいた匂いを嗅ぎ取った金田一は、早速紅薔薇座へ向かう。そして、「メジューサの首」舞台3日目、金田一の目の前で惨劇は起こった。三人の魔女役のうちの一人が毒を塗った吹き矢で射られ、殺害されたのだ...
東京・浅草にあるいかがわしいレビュー小屋を舞台にした、横溝正史のいわゆる“通俗モノ”と呼ばれる作品の一つですね。猥雑なレビュー小屋という舞台設定、事件の背景にある座内の爛れた男女関係など、如何にも横溝の“通俗モノ”らしいストーリー展開の作品ですが、意外にロジカルな本格派の面もあり、最後まで目が離せません。本書には表題作の他に中編「火の十字架」が併録されています。こちらも「魔女の暦」同様、都会の猥雑な風俗や爛れた人間関係などが描かれた作品ですが、横溝正史お得意の“顔の無い死体”トリックが盛り込まれていて、謎解きものの手応えという点ではこちらのほうが上かも知れませんね。角川文庫には昭和50年(1975年)に収録されました。
画像は昭和50年(1975年)に角川書店より刊行された「角川文庫 魔女の暦 第1期」です。鉄鎖が絡みついている女と耳が尖った小悪魔。まさに劇中における第2の殺人をモチーフにした表紙画ですね。横溝正史の“通俗モノ”の表紙としては煽情性は控えめですが、滲み出る“妖気”が堪らないですね。
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