角川書店 角川文庫 蔵の中・鬼火

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昭和五十年八月十日 初版発行
昭和五十六年七月三十日 十八版発行
発行所 株式会社角川書店

昭和10年(1935年)に雑誌「新青年」に掲載された横溝正史の短編小説「蔵の中」。
胸を患い、薄暗い土蔵の中に暮らす少年の現実とも妄想ともつかない、退廃的で妖美な世界を描いた、こちらも戦前の横溝正史を代表する名作ですね。「鬼火」同様、やはり純探偵小説ではありませんが、物語の構成にある“仕掛け”が施されていて、ミステリーファンも唸らされる作品となっています。
画像は昭和56年(1981年)に角川書店より刊行された「角川文庫 蔵の中・鬼火」です。前項で紹介した「角川文庫 鬼火」の実質的な第2期バージョンで、併録作品も同じなんですが、この年の10月に「蔵の中」の映画公開が決定したのを受けてタイトルの表記が変わりました。暗い土蔵部屋の中で物憂げな表情を浮かべている薄幸の美少女。まさに「蔵の中」の姉・小雪を描いた表紙画ですね。高林陽一監督によって映画化された『蔵の中』で小雪を演じたのは当時、“ニューハーフ”として話題になった松原留美子でしたが、この表紙画の美少女を見て私が思い浮かべたのはモデル・女優の真行寺君枝でした。

#横溝正史 #杉本一文 #角川書店 #角川文庫 #ミステリー #小説 #装画

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    woodstein

    2022/11/17 - 編集済み

     もう少し年代を遡っていいのならば、太地喜和子を思い浮かべるかな。

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    • B6cf967ebcafa336fe0b5e970ad6d9c2

      dape_man

      2022/11/17

      太地喜和お亡くなりになってしまいましたけど、素晴らしい女優さんでしたね。横溝正史絡みでは『横溝正史シリーズⅡ 黒猫亭事件』が印象に残っています。

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