角川書店 角川文庫 獄門島 第1.5期

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昭和四十六年十月三十日 初版発行
昭和四十九年十二月三十日 十二版発行
発行所 株式会社角川書店

昭和22年(1947年)から昭和23年(1948年)にかけて雑誌「宝石」に連載された横溝正史の長編小説「獄門島」。
「おれがかえってやらないと、三人の妹たちが殺される......おれの代わりに獄門島へ行ってくれ」戦友・鬼頭千万太の、今際の際の頼みで瀬戸内海にある獄門島を訪れた金田一耕助。そこは網元である鬼頭家によって支配されている閉鎖的な島で、更に鬼頭家は本家・本鬼頭と分家・分鬼頭に分かれ、対立していた。金田一が齎した本鬼頭の跡取り・千万太戦死の報が島内に波紋を広げる中、千万太が危惧して通り、彼の三人の妹たちが一人、また一人と殺されてゆく...
瀬戸内海に浮かぶ孤島、獄門島で起こった奇怪な連続殺人を描いた、横溝正史の最高傑作との呼び声も高い一作ですね。古い因習に支配される閉鎖的なコミュニティ、そのコミュニティで勢力を二分している二つの勢力、そして、一つ一つの殺しに意味を持たせた派手な殺人描写...、誰もがイメージする横溝正史の世界観が最初に形作られた作品だと思います。加えてこの「獄門島」、本来ならば「本陣殺人事件」一作限りだったはずの名探偵・金田一耕助を再登板させたことで作者もこのキャラクターに愛着が湧き、以降の作品でも登場させるようになったとのことで、そういった意味でも非常に重要な作品だといえます。角川文庫には昭和46年(1971年)、「八つ墓村」「悪魔の手毬唄」に続いて収録されました。
画像は昭和49年(1974年)に角川書店より刊行された「角川文庫 獄門島 第1.5期」です。髪の毛が繋がっている、三面図風で描かれた裸婦。この画、角川文庫の仕事を手掛ける前に自費出版された杉本氏の画集から流用されたものだそうですが、三方向から見た裸婦を色違いで描いているところが奇しくも劇中に登場する三姉妹を彷彿させ、結果的には作品世界と合致している印象を与えます。なお、このバージョンは当初は背表紙が白でしたが(白背)、途中から黒(黒背)に変更されました。なので当該バージョンを“1.5期”と呼称しています。

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