角川書店 角川文庫 金田一耕助ファイル11 首 杉本一文氏サイン入り

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昭和五十一年十一月十日 初版発行
平成八年九月二十五日 改版初版発行
平成二十三年三月五日 改版二十二版発行
発行所―株式会社角川書店

昭和30年(1955年)に雑誌「宝石」に掲載された横溝正史の短編小説「首」。
金田一耕助が旧知の磯川警部に連れられてやって来た、岡山県のうちでも兵庫県に近い県境の辺鄙な山村。そこは約300年前、当時の名主・鎌田十右衛門が何者かによって殺害され、その生首が置かれていたという滝の途中に突き出た岩、通称“獄門岩”がある曰く付きの場所であったが、1年前にその故事をなぞらえたような凄惨な殺人事件が発生して、未解決のままとなっていた。そして今また、金田一たちが逗留する中で“獄門岩”の上に生首が置かれる殺人事件が起こった...
元々は昭和24年(1949年)に雑誌「キング」に掲載された“ノンシリーズもの”の「悪霊」を、“金田一もの”に翻案した作品ですね。「本陣殺人事件」や「獄門島」、「悪魔が来りて笛を吹く」といった横溝正史の名作を送り出した探偵小説専門誌「宝石」に掲載された作品だけあって、短編ながらもシチュエーションやトリックなどに力が入った一編です。個人的には、この2年後にやはり「宝石」で連載された「悪魔の手毬唄」に繋がっていくものが散見されるのが非常に興味深かったです。本書には表題作の他に「生ける死仮面」「花園の悪魔」「蠟美人」の短編3編が併録されています。実は本書は角川文庫に昭和51年(1976年)に収録された「花園の悪魔」を平成8年(1996年)に改題したもので、往年のファンにはそちらのタイトルのほうが馴染み深いかと思います。
画像は平成24年(2012年)に角川書店より刊行された「角川文庫 金田一耕助ファイル11 首」です。“獄門岩”と思しき岩の上に置かれた男の生首。事件現場の惨状をストレートに描いた表紙画ですね。血の流れている感じが何ともリアルです。この「角川文庫 金田一耕助ファイル11 首」、平成8年(1996年)に改題されてからずっと画柄が小さくトリミングされたデザインの表紙でしたが、平成24年の「横溝正史生誕百十周年記念」で杉本一文氏の表紙画が期間限定で復刻された際、表紙のデザインが一新され、フルサイズ掲載となりました。裏表紙には杉本一文氏のサインが入っています。これは平成24年6月2日に東京・神保町の東京堂書店で開催された「杉本一文原画展」で杉本氏のサイン会が行われ、その時に戴いたものです。
「横溝正史生誕百十周年記念」名作カバー復刻の帯付きです。

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