卒業式エピソード2と3
初版 2021/11/11 17:43
2010.03.02
卒業式エピソード
在校生の送辞にも驚かされました。
在校生代表3人が、それぞれの思いを込めて卒業生へのはなむけの言葉が語られました。最後に、在校生代表、誰々と名前を述べて終わる。ハプニングはその時に起きました。代表としての名前を述べた後、突然に、
「ここからは、僕個人の思いですが、」という前置きから始まり、自分が2年間の間に、誰とどのような出会いがあり、何をしてきたのか、何を思ったのかが、とうとうとよどみなく、メモを見ることもなく、語られました。
語り終えた瞬間、大きな拍手が鳴りやみませんでした。
こうした突然のハプニングが起きても、誰一人、戸惑いや動揺を見せず、拍手の後、何事もなかったかのように式が進められていくことも凄いです。
卒業式エピソード
この話をするには、卒業式に遡ること一週間前の、卒業ライブ、卒業記念作品展のことに触れなくてはなりません。
ライブの様子は日記に掲載しましたが、作品展のことは書いていませんでした。
その日、会場に入ったとき、何か視線の端に違和感を感じました。何だろうと会場を見回すと、視線が止まったのは1枚の絵画。すぐにこれだったのだと感じました。しかし、どうして?というのも同時に。描かれているのはありふれた町の路地のような場所の風景画。見るからに迫力や躍動感が感じられるものではなく、淡々と描かれている。しかし、そこには、何かしら力強さが感じられました。改めて、これだったのだと思いました。
その絵画は、ある生徒の作品。詳しくはわかりませんが、尾道の風景なのか、尾道市主催の絵画に関わる展覧会で賞を得ているということがわかりました。
描いた生徒は、ほとんど学校に来ることもなく、顔を合わせる機会もないということも、その時に聞きました。
そして、卒業式。その生徒の顔を初めて見ました。
彼の口から語られたのは、
自分は、ずっと何をしたらいいのかもわからない日々を過ごしていた。学校にも馴染めなかった。そんな中、ふとした機会から絵を描くことがあった。それまで、絵を描くことなど全くと言っていいほどなかったのに、何故かその年のお年玉を使って画材を買い求め、ひたすら絵を描いた。楽しかった。件の作品は、そのひとつ。寮生活もできずに家にいたが、それを機会に、自宅からの通学ではあるけれど、一週間に一度くらいのペースで、美術に関する授業には出てくるようになった。
この先、彼は、絵に関わっていくことは間違いないだろうが、生活というのは厳しいだろう。しかし、ここで彼が得たものは、きっと彼にとって大切なものであることも間違いないと思う。
卒業制作作品展で、素晴らしい作品を見逃さなかった、私の感性も、まだまだ鈍ってはいなかった。と自画自賛しときます。
#思い出