山梨県甲府市黒平町水晶峠 御室小屋 エンジェルラダー入り水晶

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エンジェルラダー水晶(別名クレパスキュラー、ブルーゴースト、ハイダウェイなど)は、水晶内に光を当てると青白い格子状の線が現れるレア物です。まるで長石などのシラーのように、あるいは雲間から降り立った光の条線のように、幻想的な現象が見られます。

このエンジェルラダー、初出が2010年代初頭頃のブラジルだそうで、光を当てたら何か見つかった、という形でした。その後パワーストーン業界で取り上げられ、光を当てないでもビシビシとラダーが見えたり、ピンクに光るラダーが出たりと、多くのタイプが見つかっています。ブラジルのみならず、アフガニスタン、中国でも発見されています。コロンビアのブルーミストクォーツ(パスウェイ)も近いものでしょう。

その要因は2つの説があります。
1つは鉱物の内包。スターローズクォーツは微細なルチルが内包されることで、6条線が見られます。同じように、何か微細な鉱物が入ったことで見えるのではという説。
2つには、水晶構造上に欠陥が生まれ、見え方が違うというもの。紫水晶や煙水晶も、放射線を浴びてイオンの欠陥が生じ、カラーセンターに変化が現れることでできたものですから、鉱物の配列構造に虫食いの部分ができて見え方が違うという説。これが現在定説でしょうか。

さて、この珍しい水晶は平成になって出回るようになりましたが、日本では見つかっていないと言われていました。しかし、よく探せばあるもので、スーパークリスタルと呼ばれる御室小屋(御室ガレ)の水晶に、それを見つけることができました。分かりやすいものを2本、4枚ずつ展示しています。

いずれの水晶も真ん中部分に、斜めの青白い線が確認できます。光を当ててようやく見られるもので、2つともスーパークリスタルの加工材としていただいた割れ物の中から救出できたのは極めて幸運でした。海外のエンジェルラダーはモヤがかった白い水晶、ミルキーな水晶に出てくることがありますが、こちらはスーパークリスタルなだけあって透明感が強いです。

透明なエンジェルラダー水晶となると極めて高価で取引されますから、ある意味これを加工して丸玉にすれば、それはそれで珍重されそうですね。国産水晶だと証明するためには敢えてこのまま残すつもりではあります。

ちなみに、知られていないだけで国産水晶のエンジェルラダーは割とあるようで、乙女鉱山の水晶丸玉にビシバシとラダーが入っているのを見たことがあります。また、手持ちのバッタリの水晶にもエンジェルラダーがあります。
https://muuseo.com/Matsu_Crystal/items/30
展示後にラダー発見↓
https://twitter.com/Matsu_Crystal/status/1726208294233186388?t=IdrPaDRPEZkbAAId0XWpmQ&s=19

さらに、手持ちの山梨県製造の水晶のかんざしには、エンジェルラダーが強烈に見られるものがあります。いつの製造か不明ですが、恐らく昭和頃。国産水晶で作られた可能性があります。
https://muuseo.com/Matsu_Crystal/items/12
https://twitter.com/Matsu_Crystal/status/1472747126870646786?t=qcbNGpbS47nfigryY8ywDg&s=19

また、昭和初期の水晶印材にも発見しています。
https://twitter.com/Matsu_Crystal/status/1694308745944457443?t=ceZQQZ8BKQE-i7v5sxL1ag&s=19

※ピンクに光る部分は、水晶のモヤや小さなクラックに光が強く反射したもので、エンジェルラダー等に関係はありません。

山梨県甲府市黒平町水晶峠 内包物がほぼ見られない水晶クラスター
ヤフオクにて、産地不明の水晶を発見。 雰囲気から察するに、山梨のだな〜というだけで、樋口さん一人と交換してみました。 届いてから、初めに見た時は、、、もしかして海外のものか?という一抹の不安はありました。 が。 秋晴れの10月25日、太陽光に当てながらホコリを洗い流していたところ、根元がうっすら黄緑色になっておられました。 というわけで、結晶の形、根元の内包物からして、こちらの水晶クラスターは水晶峠産、内包物があんまりないけど、草入り水晶と判断しました。 皆様は、産地不明の鉱物は買わないように!(笑)
https://muuseo.com/Matsu_Crystal/items/30

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