水の中のASIAへ / 松任谷由実

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4曲入りのミニアルバムながら、個人的には一番好きなアルバム。
音質向上の実験として45回転で発売したもので、タイトルの通りテーマはアジア。
1曲目の「スラバヤ通りの妹へ」は、インドネシアが舞台で、サビで繰り返される「RASA SAYANG GEH」は実際にあるインドネシアの童謡をさしており、「その次を教えてよ」はその歌の続きをスラバヤ通りで出会った妹みたいな少女に問いかけています。
2曲目の「HONG KONG SIGHT NIGHT」はユーミン楽曲の中で唯一、旦那の松任谷正隆が作曲した作品(松任谷正隆のソロアルバムからのカバー)。明らかにユーミンの毛色とは異なるものの、いかにも松任谷正隆な曲で、このアルバムの中では何の問題もなく溶け込んでいます。
3曲目の「大連慕情」は中国が舞台。たぶん両親は亡くなり、共には生活していなかったであろう大連で生きた亡き父が、若き日、日本に住む母に送った手紙を娘が見つけ、両親の関係に想いを馳せる歌。
4曲目の「わき役でいいから」は、異国で働き、他の女性と結婚する元カレに向けたラブソング。遠距離になって別れたカップルなのか、別れたから遠くに行った元カレなのか、読み手によっていかようにも取れるところが、同じシチュエーションを体現した人にはぐさりと刺さる。長く続いた恋愛が終わり、次の出逢いは短期間で結婚に至るなんてこともよくあるし、うまいところを突いたラブソングです。

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