… NOTHING LIKE THE SUN / STING

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スティングのソロアルバム2作目にして、最高傑作。
このアルバムは、幾つかの出来事が重なり、作品に深みを与えています。
ソロ活動で世界各地を回る中、未だ戦争の最中にある国があること、独裁政権やその崩壊を目の当たりにし、自分に何かできることはないかと言うメッセージが本作に込められています。
また、同時期に病で母を亡くしていることで、悲哀を感じさせる歌もいくつかあり、一方で、ダイアー•ストレイツとの共演を機に知り合ったプロデューサー、ニール•ドーフスマンが得意とした最新技術によるフルデジタルレコーディングから生まれた代表曲「ENGLISHMAN IN NEW YORK」も印象的です。
そして最大の貢献はオーケストラ指揮で参加したギル•エヴァンスとの出会いでしょう。
ギル•エヴァンスはジャズ界においてもロックに傾倒する人物で、過去に、ジミ•ヘンドリクスとロックオーケストラのアルバムを作る計画がありました。惜しくもジミヘンの死により実現しませんでしたが、その思いもあって今作ではジミヘンの「LITTLE WING」を見事なストリングスでカバーしています。
残念ながら、ギル•エヴァンスは本作発売の翌年、病に倒れ亡くなっていますが、ここで共演できたこともひとつの奇跡でしょう。
良いことも悪いことも全て受け入れ、ポリスでは実現できなかったことの集大成が、このアルバムに詰め込まれています。

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