沙耶のいる透視図(サイン入りパンフ)

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高樹沙耶という女優、好きでした。と言うよりも、この「沙耶のいる透視図」の主人公、沙耶が好きでした。

彼女のデビュー作である本作は、1983年に発表され第6回すばる文学賞を受賞した伊達一行の同名小説の映画化。 ビニ本編集者神崎とカメラマン橋口、そして謎めいた女沙耶。沙耶を中心とした男女の「愛」と「性」を、80年代初頭の風俗、社会を通して描く。 自分という殻に閉じ籠る沙耶は、知らず知らずのうちに周囲の男達を後戻りの出来ない運命の罠に取り込み、さらに自らも溺れてしまう。 「こんな愛を見たことがありますか」こう問いかける神崎の言葉が深く心に突き刺さる。 判っていながらも破滅に向うしかない愛、その結末はあまりにも悲しい。

典型的な femme fatale の物語で、そのショッキングな内容から完成後約2年お蔵入りしていたが、1986年秋に池袋の文芸座で初めて公開され、原作を読んでいた私は当然の如く公開初日に観に行きました。
監督は和泉聖治で、共演は名高達郎とミュージシャン土屋昌巳。音楽は一柳慧(オノ・ヨーコの最初のダンナ)。内容が内容なので、善良な市民の皆さんには全くお薦めできません。観ない方が良いでしょう。しかし私にとって邦画の中では「八月の濡れた砂」と並ぶ印象的な作品です。
とにかく本作における高樹沙耶の存在感は素晴らしい。掴み所のない不思議な役どころだったが、当日舞台挨拶に来ていた彼女に映画パンフレットにサインをして貰った際の印象は意外とサバサバした感じでした。

冒頭で書いた通り、彼女自身よりも映画の主人公「沙耶」のファンだったので、他の出演作は全く観ていないし、数年前の参院選出馬や逮捕劇も正直あまり興味は無い。でもやっぱり少々残念だな。
このパンフ、実は私の密かな宝物だったんだけど…

劇場予告編
https://youtu.be/SYwVby25Cjk?si=2vR1S5na85AuDrPY

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