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062 水流
私が学生の頃、紋様を描きたいと思った理由の一つに加山又造氏の春秋波濤を見た時の衝撃があった。 春秋波濤の画面は大きな山が3つあり、その右側には満月が浮かぶ。 その山には桜や紅葉。その描写から春と秋の季節が感じられる。 その山々の間には激しくうねる波のような線が表現されている。 画面構成の美しさ、モチーフの扱い方、色合い。そのどれもが私の心を揺さぶる物だった。 はじめて見たのは確か画集かポスターか…実物ではない物を見ただけなのにこの力、恐ろしい。 私自身、この作品を見てモチーフの描き方をみて非常に大きな衝撃を受けたがその波、水のうねりだ。 一本一本の線がその透明な水の流れや動きを表していると感じたからだ。ただの線でありながらそれを体感させることが出来るその力に。 そこで次の紋様を描くのを迷ったときにこの水のラインを描きたいと思い始めた。 この紋様はその考えから出来上がったものだが…描き終わった後に気づいた事がある。 それは他人の、春秋波濤のラインを真似して描いたところで得る物は少ないという事だ。 もし私が人に体感させられるほどの水流を描く力を得たいと思うのであれば、実物を観察しその物の動きを捉えなければいつまでたっても上達しないということだった。 あぁ、道は険しく永いのだった…。
イラスト ワナナキ帝国製 不明紋様採集士ワナナキ
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061 ゲーム画面
この紋様の素になったのは旅番組でみた織物。しかも日本円では相当安かった。 そして、この事に関して思い出は少なくしいて言えばいつかは本物を見たいなぁとか旅をしたいなぁとかその程度の事。 今の私がこの紋様を見て思い出すのは…ゲームの思い出やゲーム画面が映ったブラウン管テレビの思い出だ。ブラウン管(今はもう絶滅危惧種?)の画面に顔を近づけてみると…極細の点線が光り画面を演出しているしている事に気付いたときには本当に感動した。勿論、そんな風にしていると親にその様子をみられて怒られたのは良い思い出。 ところで私が初めてゲームに触ったのは恐らく小学校に入る前の事。父の仕事場にありマックに入っていたファクトリーゲームやミサイル防衛ゲームだったと思う。 やる事は現在のゲームと比べると非常に単純なもの。流れてくる物にタイミングよくボタンを押して物を作ったり、降って来るミサイルにタイミングよく照準を合わせてクリックをするという内容だ。 昔のゲームでゲーム内の景色は非常に単純、それをよく想像し絵に描いていたのを覚えている。 そして、ファミコン(我が家はツインファミコン)、ゲームギア、スーパーファミコン、セガサターン(プレステじゃなかった!)、64、ゲームキューブとPS2…と私のゲーム史は続いていく。 昔はフロッピーディスクなどでゲームをやっていたなんて…今では想像もできないのではないだろうか?昭和から平成にかけてのデジタルゲームの進化はめまぐるしい物があったと思う。 本当に感慨深い。
イラスト ワナナキ帝国製 不明紋様採集士ワナナキ
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060 蛇
思い出の中で自分が見た物が大きく拡大されて記憶される事がある。 思い出すのは、つぶらな瞳をした蛇の顔だ。正確には、私の指を噛んだ小さなつぶらな瞳の蛇。 今でも忘れられない、小学生の頃。 家庭科室の前にある側溝の藪に蛇がいた。ヤモリは良く見るが蛇は本当に珍しかった。 大きな蛇ではなく恐らく青大将だろう。見つけてすぐに蛇と目が合い、本当につぶらで美しい目をしていたと思う。私は何を考えたか触ろうと手を伸びしたところ…当然、噛まれた。 目にも留まらぬ速さで蛇の姿が消えて、次に認識したのは蛇の頭が私の指にくっついていた姿だ。(確か右手の薬指の側だったか) 本当にあの瞬間は時間が止まった。 すぐには何が起こったかわからず、反応が遅れてしまったが噛まれた!とわかった時に「うわぁ!」と大声を上げて手を振り回したら蛇の顎力は遠心力に負けてどこかへ飛んでいってしまった。痛みは全く無かったが、噛まれたあとを見ると二つの小さな穴に血が滲んでいた。 休み時間が終わり、教室に戻ったときに先生にこの事を報告したところ。ちょっとした騒ぎ、何故なら学校の近くではマムシが出ることもあるからだ。 母がすぐに呼ばれて近くの病院へ血清を打ちにいくようにといわれ病院へ。私は何が起こっているのか全くわかっていない。痛みもないし気分が悪くなっているわけでもないので無理もないと思う。 正直、この後に起こった事のほうが私的には悲劇だった…。 病院について母に一体何をするのか聞いたところ注射をするとの事…勿論、注射は嫌いだ。 体調も悪くなってないのに何故なのか!とごねても無駄。 すぐに処置室に通されてそこにいるのは若い男の先生とベテランの女性の看護師さん。 恐らく無毒な蛇に噛まれたのだろうとの見立て、ならば注射は打たないだろう…とホッとしたが、ところがどっこい。 とりあえず血清を打っときましょ、との事。何故だぁ!!と心の中で思いつつ腕を押さえられ注射。痛い。しかし…様子が変だ。私ではなく男の先生の様子がだ。 少し間をおいて「もう一回」 え?今、刺したよね。 母も怪訝な顔をしていたが、とりあえずもう一回刺される私。痛い。 看護師さんも緊張した顔で見ている。 そして先生「うーん…」 もう嫌な予感しかしない。どうやら二回目のトライも失敗したようだ。 ともう一度刺されたがダメだった。どうも私の血管を探す事に失敗しているようだ。 母は鬼の形相をしているようだし、先生はもはや冷静では様子…それを見かねてかベテランの女性看護師さんが横から手を伸ばし私に注射をしてくれた。本当にスムーズだった… 好奇心は猫を殺す…別に私は死んでないが代償は大きかったと心底思った一日だった。 ただそれでも、あの蛇のあの顔を忘れる事はできない。本当に可愛い顔だった。
イラスト ワナナキ帝国製 プライスレス紋様採集士ワナナキ
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059 中華料理店の窓
この紋様を見て、何故か思い出すのは中華料理屋での思い出だ。 何故かとつけたのは、別にこの紋様がその料理店の窓の枠にそのままそっくりという訳じゃないからだ。 だけど不思議と思い出す。雰囲気が似てるのだろうか? ただ中華料理店での思い出はあまり面白い物じゃない。 母が休日に、幼い私をひとり家に残しておくのは不安だからか定期的にいくママさんバレーにつれていかれた。その練習後によく行っていた中華料理店を思い出す。 今なら連れて行かれて物を食べさせてもらえるなら万々歳だが、当時の私は小食でよく周りの大人から「一杯食べろ」とか「元がとれない」とか言われて非常に大変だったし、内心憤慨していた事を覚えている。この大きい人間達はなんて勝手な生き物なんだ!なんて無表情で考えていたものだ。 そんな思い出も、もはや20年以上前の話だ。 私は既にこのお店があった近所から引っ越してしまった。 つい最近(記録の為に日付を記しておく2018年12月の話)に仕事の都合でその近辺に行く事があった。そして、そういえばここはあの中華料理店の近くだ…と思いそこに行ってみた。 果たしてお店はあるのか… あった。 そのお店は古いビルの1階テナントだ。 ビル周辺は開発が進み無機質に新しくなっている中、その古いビルは存在しお店の看板もあった。 ありきたりな表現だが、そこだけは流れる時間から取り残された場所のようだった。 外から様子を見てみると、お店は定休日のようでシャッターが下りていて中をうかがうことはできなかった。 いざビルに入ってみると相変わらず薄暗く少し汚いが色々なお店が入っていた。 ただ記憶と一致するお店は少なかった。あぁ、ここにあった本屋はコンビニにかわったのか…ゲームセンターはクリーニング屋に…と記憶と今を照らし合わせて歩いていると今あるお店と、かつてあったお店の風景がダブって見える。そこには母や大人たちの会話に参加できず暇をもてあました私の姿も見えた。思わず、何も無いのにフフッと笑ってしまったのでいけない!と周りを見てしまったが。誰もいない。 さて、最後にそのお店の食べ物で覚えているお話。 そのお店は中国人の方たちが厨房とホールを回しているお店でおいしかった。 私は常にプレーンなラーメンを食べていたのを覚えている。 スープは恐らく鶏ベースであっさり、千切りされた葱がのっていて傍らには私的に絶対に欠かせないメンマ。 麺はほどよい太さのちぢれ面、チャーシューはそこそこな厚さ。海苔も入っていたはずだ。母が追加で頼んでくれる餃子もまた美味しかった。こうして思い返しながら書いているとお腹がすいてくる…。 それだけ食べればおなか一杯の私は興味が無かったが大人たちは坦々面や水餃子、普通の餃子、チャーハン、卵スープ、レバニラ、ニラ玉とテーブルの上は非常ににぎやかだ。 なんだ、思い出してみるとあのお店での思い出もそう悪くないじゃない。 また近いうちに仕事でお店の近くに行く事がある、今度こそ思い出の味を再び味わえたら嬉しい。 …追記… 2019年1月上旬、付近で仕事を終わらせた私は「さぁ、中華料理店へ」と例の古いビルへと向かった。 現場から歩いて10分程度のビルに入り中華料理店の前に来たが…妙だ、シャッターが閉まっている。 平日なのに?定休日だろうか? 時間は19時、書き入れ時じゃないか… そこで外に回って店の中をのぞいてみると…どうもおかしい。 中は机や椅子等はあるが人が使っている感じがしない。 これは…と思い付近のパン屋の若い女性に聞いたがわからないとの事。 ムム、ならばと思い宝くじ売り場のおば様に中華料理店の現状を聞いたところ… 一年前に閉店したとの事。 タッチの差でしたね…なんて言われしまった。 そうですか、ハハ…ありがとうございました。と 乾いた笑いと共にそこを立ち去る私に、なんともいえない寂しさと空しさが去来した。 そうか、無くなってしまったのか…と近くの横断歩道を渡りながら呟いてしまった。 もう、二度と味わえないのだと。今まで大事にしていなかったのになくなった途端にこれである。 この事は母にも報告をした。 そう…あそこ美味しかったのに残念ね。開発の区画にでも入っているのかもしれないね。 との事。本当の所はどうかわからないが、あそこで働いていた中国人の人達が今でも元気である事を願うばかり。 そして、あの味は思い出の中にのみ残る…幻へ。 あぁ、ラーメン…食べたかったなぁ。
イラスト ワナナキ帝国製 不明紋様採集士ワナナキ
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058 パーティクルボード
木片を圧縮し、一つの木材へと加工したものをパーティクルボードといい、家具にも使われている。 一つの板を無数の木のチップで形作っているので一つ一つの木の紋様が美しくみえる物がある。 この紋様を描いているときはその木の繊維、一本一本を描くつもりで描いていた。 ちなみに、紋様から思い出すのは自宅にある勉強机の事、もうひとつは児童館の工作室の思い出。 どちらにしようか…どちらも忘れられない思い出です。 決めました、墓場まで持っていくつもりだった内緒をお話しましょう…。 さて、あれは小学生の頃。 私は子供部屋に、憧れの立派な勉強机を置いてもらいました。その机の一番上の引き出しには鍵がついています。 そこに大切なものや、秘密にしたいものをいれて隠しておける特別な場所を手に入れた!と少し大人になったつもりでいた私はフィギュアや道具をそこにいれて訳もなく鍵をしていました。 そこに合鍵も入れて…これが悲劇の始まりです。 ある日、引き出しの鍵を開けようとしたら…鍵が無いのです。 結局その後も見つかっていないので外で落としてしまったのでしょう。 それを悟った瞬間、思考が停止し足が棒のように固まってしまったことを覚えています。 中に入っている物と永遠のお別れなのか…なんて大袈裟に考たり。 そうだ、合鍵!閉じ込められている…うわぁ!バカァ! 一つ賢くなりました、合鍵は自分だけが知る別の場所に保管しましょう。 さぁ、ここから親にばれないように引き出しを開け、中身を脱出させるゲームの始まりです。小学生のワナナキくんはどのように引き出しを開けたのでしょうか?ここからは現在のワナナキが当時の私の様子を実況放送させていただきます。 少し時間がたったおかけで落ち着いた様子、机のなかの物を取り出すために引き出しを観察し始めました! 鍵は金属製、スパイ映画のようにピッキングなんてできないし簡単には壊せません。 そもそもそこを壊したら親にばれてしまいます。これは確実に怒られますねー。 部屋に定期的に掃除にくる親にばれないためには机の外見に変化があるのはまずいですからね。 おっと、次は下からのアプローチ。 かがんで引出しの下板をみると材質は柔らかいので穴をあけて壊せそうです…ただ合鍵がどこにあるかがわからないし下板に穴を開けたら引き出しとして役に立ちませんしばれる恐れもあります。 おっと、早くもここで手詰まり万事休すか?!…ワナナキくん、うずくまって引出しを押したり引いたりしています…無情にも時間だけが過ぎていく。 しばらくして… おや、引出しの引っかかりから何かを閃いた模様。 机と引出しの隙間を観察し始めました。 どうやら、この引っかかりがなければいいんじゃない?と考えているようです。 どうやら、隙間から微かに見える金属の板。それが机にあるくぼみにはまり、引き出しがそれ以上開かないようにしていることがわかりました。 この引っかかりさえどうにかすれば外見はなにも損なわずに引き出しを開放できます。正に一石二鳥。 おや、ここでワナナキくん子供部屋からでていきました。どこへいったのでしょう? すぐに戻ってきました。 手に何かを持っていますね…あれはまさか、「ノコギリ」だ!父の書斎の工具箱からノコギリを黙って借りてきたようです。 しかもあれは金属も切ることができるノコギリだ、ちょっと賢い! 早速、隙間に刃が入るかを確かめています。上手い具合に入りました…あとは本当に切れるのか、それが問題です。 刃を金属にあて、数回押したり引いたり…隙間から状況を確認、どうか? 削れている!ぱらぱらと床に落ちる金属の粉末がその証拠、これならいけます! ノコギリの刃に刃こぼれもありません! …という事で、無事?外見になんの変化もなく引き出しを無事開けることが出来て小躍りしたのが懐かしいです。 切り終わったあとにちょっと自分、頭がいいなんて思っていた気がします…完全に自分の予測能力不足が原因なのですが。 勿論、そのあとは鍵をかけられなくなってしまいましたが仕方がありません。 机を傷物にしてしまったなぁ、とガッカリしたのも今ではよい思い出…。 この話を書き終わってから母に。 ねぇ、机の引き出しの鍵…壊れてるの知ってる? 知らない、なんで? なんでもありません、理由は内緒です。
イラスト ワナナキ帝国製 不明紋様採集士ワナナキ
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057 デザインリボン
私の両親は何か作ることを生業にしていた人間だった。 母はファッションデザイナーで父はグラフィックデザイナーだったようだ。 だからだろうか、我が家は何かを描いたり作ったりする事が自然で私が選んだ道にも理解を示してくれた。 私が学生の頃に制作で悩んでいた時に母はよく相談にのってくれたし、母が現役の頃に使っていた素材を提供してくれた事もある。 この紋様を見て思い出すのは、作品制作をしていた時の思い出だ。 作品の提出も迫った頃、夜も遅くにリビングで作業をしていた時…作品の見栄えに物足りなさを感じた私は傍にいた母に作品の装飾に使うよい素材はないか?という雑な質問に、 どんなのものがいいのよ?と母が応えてくれたのでイメージを伝えると寝室のクローゼットからくしゃみをしながら色々と素材を取り出してきてくれた。 カラフルな布生地や飾りボタン、宝石のイミテーションと多種多様だ。 出された物に思わず、作業の手を止めて見入ってしまうほどに面白い物ばかりだった。 布生地は色は様々で、生地の素材が違うので手触りはそれぞれ違って好みのものもあれば苦手な物もある。 飾りボタンはそれぞれ違う形で色も違う。オパールのような色合いの貝製ボタンやスワロフスキーのガラスで出来た物もあった。お値段が1つ500円以上のボタンがあると聞いたときは本当に驚いた。ボタンは物によるが本当に高い。 宝石はガラスだが服や小物に使えばとても華やかに見える。これもやはり高い。 私が興味がありそうなものを取り一つ一つ説明してくれた母の顔はなんだか楽しさと懐かしさが混ざっていた事も覚えている。 さて、それを見たり聞いたりしているだけで随分と時間が過ぎてしまった。 私は作業に、母は眠ろうと自室に戻ろうとする間際に「無理しないように、頑張りなさい」と言ってくれた。 その時は気のない返事を返したと思うが、今その場面を思い返すと…母の穏やかな愛情を感じる。 本当に感謝をしている。 この制作の一場面からもう何年もたった。私は母がどのような物をどう作ってきたのかを全く知らない、どう生きてきたかもだ。 聞くのは、何故か恥ずかしい。 ただ…いつかその記憶を、思い出を聞きたいと思っている。
イラスト ワナナキ帝国製 不明紋様採集士ワナナキ
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056 アソート
色々な円、円の線を配したパネル…円のアソートを描こう と、思い描いた紋様。 この手の紋様は一つのルールに単純な形で手を替え品を替え色々と派生する。 円の次は、四角だ三角だ!と言う具合で。 さて、唐突ですが皆様。 好きな食べ物は何ですか? 明日世界が終わるとしたら最後の晩餐に何を食べるか…なーんてそんな重大?な質問ではなく私生活で普通に食べるもので好きな物です。 私はパッと思い付くのは「たこ焼き、ドーナツ」 たこ焼きのどこをとても愛しいと思っているかは別に機会に…この二つは何故か特別です。 幼少の私の落書き帳には必ず出現するくらいに。理想の形を追求するためにどれだけ円を描いた事か…(もしかしたら001が円なのはそれが原因か?) この紋様で思い出すのは、円とアソートのお話。 小学生の頃、親にミスタードーナツに連れていってもらいトレーとトングを自分で持ちドーナツを選んでいた時。 チョコファッションやフレンチクルーラ、エンゼルフレンチ…自分がいつも食べる物を載せていたらある商品に目が止まりました。 舟に入った玉状のドーナツ…。 え、たこ焼き…?! その正体は「D-ポップ」でした。(2013年8月までの販売の模様) その商品形態に惹かれて即トレーに載せて母の元へ。 買ったらイートインで座りD-ポップを観察。 一口サイズの球状、6個のドーナツはそれぞれが違う装いのアソート。 ①プレーンなオールドファッション玉 ②プレーンに半分程チョコに浸けたチョコファッション玉(作る人によってチョコのついている部分の比率は異なる) ③チョコ生地にココナッツパウダーをまぶした玉 ④チョコ生地に黄色いつぶつぶをまぶした玉 ⑤砂糖がまぶしてあり柔らかいフニャッとした玉(たしかクリーム入り…) ⑥ストロベリーチョコソースがかかった玉 が一舟の中の同席していました。更に脇にはつまようじならぬフタマタ楊枝までますますたこ焼きっぽい!と心のなかで思っていた気がします。 ただ、味は①から④はいつも食べる味だったのではずれなし。 ⑤と⑥は、私の好みではなかった…(だから記憶が曖昧) たこ焼きっぽさに惹かれて買い、食べ終わってから冷静になって…。 あれ、これを買うならもう一個好きなやつを買ったほうがいいんじゃない?と真顔になった思い出があります。 円のアソート紋様を見ながらドーナツアソートを思い出していたら、ドーナツを食べたくなってしまいました。 好きなものを、食べにいこう!
イラスト ワナナキ帝国製 不明紋様採集士ワナナキ
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055 マイ ヒーロー
うーん、アンパンマン。 この紋様を見て出た始めの言葉。 いや、本当はこれトランプの柄か何かをモチーフにした物だと思うのだけど…どうもアンパンマンにみえて仕方がない。何故だろう。 ひし形がみっつ並んで区切られているからだろうか? アンパンマンは私が幼少期の頃に見ていたテレビ番組の中でもトップ10に入ると思う。(他は機関車トーマス、はたらく自動車、おかあさんといっしょ、ディズニー、仮面ライダー、ウルトラマンや戦隊物といった感じ) 当時みていたものは母が私の為に録画しておいてくれたものだった。 VHSに。時代を感じる…。 さて、アンパンマンには色々な思い出がある。 数ある思い出の中でもすぐに出てくるのは「食べ物」に関する思い出。 アンパンマンは自らの顔をあげて人に食べさせたり、他にも食べ物がモチーフのキャラクターがたくさんでてくる。当然、アニメなので実際に食べる事はできないが「もし、食べられたらどんな味なのだろうか?」という事をすごく想像していた。 カツどんマンやてんどんマン、かまめしどん…(よくバイキンマンの餌食になる) そして特に味が気になっていたのはアンパンマンの鼻とほっぺの赤い部分。 アニメ本編には関係ないが他には、アンパンマンのオレンジ味のグミも鮮明に覚えている。 透明なプラスチックのシートにアンパンマンたちのキャラクター達がグミになって並んでいる物だ。グミは当然美味しいが、あれがばらばらにならないようにする為にある(?)食べられる透明なシートも妙に好きだった。あれはなんなのか… そして食べ終わった後もこのグミのプラスチックシートは活躍する。 このプラスチックシートはキャラクターグミ達が入っていたため「型」ができている。 その型に水を入れてもらい冷凍庫へ。そう、翌日にはそのキャラクターの形の氷ができジュースにいれて楽しめるのだ。なんと素晴らしいアンパンマングミ。 と、ここまでアンパンマンの話をしてきたが、私が一番好きなキャラクターは… バイキンマン。
イラスト ワナナキ帝国製 105円紋様採集士ワナナキ
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054 ルール
正直に言うと…。 記憶の紋様なのに、その紋様の作者なのに…大して語れる思い出がない紋様がある。 別にその紋様に思い入れが無いわけではないし価値が低いと思っている訳ではない。 そういうのは大抵は描きたい、腕を動かしたいという衝動に駆られていたり。ある紋様の派生(描くときのルールを少し変えたもの)だったりする。 ただ、私がこういう状態になるときは決まって次に描く紋様が決まっていないとき…つまり紋様を思いつかないときだ。 私は何かに煮詰まると頭の頂点からうなじあたりが熱くなる気がする。皆様はそんな経験はないだろうか? そういった想像の行き止まりの中で考えたこの紋様は…過去に描いた紋様の描くときのルールを変えて派生させることだった。恐らく034、040辺りを参考にしたものだと思う。 更にルールといえば…記憶の紋様(当時:紋様パネル)を作るときに守っているルールがある。 一つのコンセプト(当初は紋様のパターンデータブック)があってその作品群を作るときに守るべきルールを作っておかないと作品の方向は無秩序で多方面に向いてしまいバラバラ…同じ世界観の中で存在できなくなってしまうからだ。 ルールは大きく3つ ①過去に描いた紋様と同じ、あるいは酷似している紋様を作品群に登録しない(このためにカタログを用意している) ②ペンの色は2色で黒と暖灰色。画面の構成に使う色は黒、灰、白とする(デリーターのネオピコマルチライナーを使う) ③パネルに水張りをし作品としての形態をとること この3つを守っている。近いうちに3番目のルールは変わるかもしれないが、1と2はこの作品を作り続けるうちは守ると思う。 何かを創り出す時にルールは邪魔になることが多いが、一度作り始めたらこういう自らを縛りつけるルールは自分にも他者にも爽快感を生み出してくれると思う。 ルールは道標だ。
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another-グッズになる紋様-
紋様をパネルのまま所持していても展開が難しい…ではどうすればいいか? グッズにするのだ! という事で思いつくグッズを作ってみた。中には過去に実際に販売していた物もある。 写真1枚目と2枚目は「小箱」 木の枠を組み、その表面に紙を水張りし表と裏に紋様を描いている。 描いているということもあり、一つ一つの制作に時間がかかるので…もう大変。 中の空間が小さいこともあり入れられる物は限られてくる。 この写真で入っているのは鉱石と化石。 「ラピスラズリ」と「カバンシ石」と「珊瑚の化石」だ。 カバンシ石をミネラルショップで見たときになんて素敵な色なのだろうと思い購入。青と黒は本当に好きな色だ。珊瑚の化石はこの写真では見えないが実は巻貝の貝殻に珊瑚が群生し化石となったようで面白いので購入していた。この珊瑚は後々の紋様にも出てくる。 3枚目は「缶バッジ」 私が学生の頃に研究室に缶バッジ製造機が置いてあった。どうせめちゃめちゃ高いのだろうと思っていたら…意外とそうでもない。バイトして貯めたお金で自宅に購入し、家でガッチャンガッチャンとバッジを作って付けてみたら意外と様になる。 バッジは2種類、紙製(表面を透明なフィルムでコーティングする)と正規の使い方ではないが布製の物も作れる。 布製の物は自宅のプリンターで布に印刷し作る事が出来る。これが雰囲気があってとても好きだ。ただ、自宅のプリンターでは極細密の紋様を私の満足がいく領域までは再現できないのでそこが難点…いいプリンターならそういう問題も解決できるのかなぁ?この缶バッジは過去に販売していたし実際に購入していただいた事もある。今もどこかで使われていたら本当に嬉しい。 4枚目は「鞄」 この鞄はそれほど大きくない。横30cm×縦18cm程度だろうか? その表面に大型印刷機でこれまた大型専用印刷機専用の布ロールに紋様を印刷して作っている。 これも中に入れられる物は多くないが、ちょっとした外出でクロッキー張などをいれていく。といった具合で使っている。おしゃれではなかろうか?(笑 このように、紋様を展開し日常に浸透させることも、紋様採集士のお仕事なのです。
グッズ ワナナキ帝国製紋様採集士ワナナキ
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053 鱗の線
「記憶の紋様」という名前がつく前、紋様が描かれたパネルのたちの名称はただの「紋様パネル」だった。 味気がない…がそもそもこの作品ははじめ大して深く思考されて作られた訳じゃないからだ。 学生の頃、ペンで細密紋様を活かしイラストレーションを描いていたがA4の紙を埋めて完成させるのにも3週間程かかっていた。骨が折れる…もー大変。 もちろん完成したときの充足感は非常に大きな物だったが…。 そこで考えたのが「紋様」を描きそれをスキャンしデータとして取り込み、イラストの決められた領域に落とし込めば楽じゃないか!という邪ま?な考えがあった。つまりパターンブック、データとしての役割を期待して作り始めたものだった。 結果から言うと…私の内なる作り手の声がそれを許さなかったのでこの計画は成功しなかった。 「一つの世界を描く時。そのペンを握る腕、手、指を動かし、一本一本の線を描くことが作品に魂を吹き込むのだ」 -----内なる作り手の声----- なんてね。そもそもマッチ箱程度の描画領域の紋様サイズでは複製して並べてもすぐにつなぎ目が見えてしまってみっともないからダメ!というのが理由。ずぼらしてはうまくいかないという事だ。 そしてこの文章を書いていて、当時描いていたイラストはデータとして残っているのかと探したところ…ありました。キャプションは「と或る森の行進」だった。 さぁ…新たな森を作るために、いざゆかん。
イラスト ワナナキ帝国製 不明紋様採集士ワナナキ
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052 ぜんまいからリスの尻尾へ
大学の図書館は宝庫。ただ私が学生の頃は一部の学生以外は利用していなかったようだった。 当時はキャンパスが工事中で通行止めが多く図書館に行くのが不便だったから…かもしれない。お陰で人は少なく机はどこでも座れて静かに作業が出来るいい場所だった。作業というのは図鑑などを見てそれを模写する等。この紋様は山菜のぜんまいを意識したものだと思うが…今見るともやしにも見える。 ちなみにモチーフと完成した紋様から喚起される思い出が違うのは良くあることだ。 完成してしばらくおいて、改めてみると…何故か幼少期に見ていたアニメのスカンクやリスのキャラクターを思い出す。特に二匹のリスとアヒルの小競り合いの話だ。 この争いの勝者は大体…リス、うまくいって両成敗。私はアヒルの方が好きだったのでこの結果が納得がいかなかった。アニメの結果は変わらないので妄想でアヒルに勝たせるための作戦を練ってそれを実現するためのガジェットを紙に描いていた。改めてそれらを見てみたいが…果たしてどこへいったのやら。
イラスト ワナナキ帝国製 不明紋様採集士ワナナキ
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051 校章
小学生から中学生へ…私服から制服へ。それだけでも少し大人になった気分だった。 入学し、クラスが発表されるとその制服の襟につくものがある。 校章とクラス章だ。 この校章とクラス章は金属製でねじ式、立派なものだった。 ただこれ、学校から配られるものではなく自分で買いに行く物だった。 学校近くの交差点にある歩道橋の下、駄菓子屋の向かいにあった薄暗い文房具屋(今はもうないし、ガリバーの出張所にかわっている。駄菓子屋もなくなってしまった)に毎年買いに行ったのを覚えている。 新入生である1年の頃はつけたことのない物を身につける事は嬉しかったが、2年3年となると…買いに行くのは面倒くさい!値段も高い!(500円程度したような)と思ったし、兄弟がいる人は同じクラスであればお下がりがもらえるという話もあり羨ましかった。こんな物を買わせよって…文房具屋!なんて思っていた気がする。
イラスト ワナナキ帝国製 500円紋様採集士ワナナキ
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050 蒼鉛
※今回は科学のお話が少々。厳密な意味で言うと間違っている内容もあるかもしれません。ご容赦を!それでは… 学生の頃に集めたかった、ただどうしても手が出せなかった物…。 それは「鉱物」 私が鉱物に惹かれたのはその形や豊かな色彩、目に見えない時間を大きさで感じさせてくれるからだ。 当時の私は収集したい欲求(欲に負けて何点か購入した)を抑えるために図書館で鉱物の写真集をよく借りていた。水彩の練習も兼ねてそれらを模写し、石達の持つ複雑でその深い色彩に静かに感動した。 その鉱物の本の中でも個人的に異物として捉えていたのが…そう「ビスマス結晶」だ。タイトルの蒼鉛とは自然ビスマスの日本名だそうだ。 その異質さは大きいものになると四面が規則的な段々で、なによりもその色彩が複雑で色の移り変わりの部分は無限のグラデーション。意識を引きずり込まれそうになる。まるでラヴクラフトの世界からこちらに吐き出されたか…等と思っていた。 さて、そんな変なものを目にしてスルーできるはずもなく文明の利器を利用して知識を収集すると… ビスマスとは以下のような特性を持つらしい…と書こうと思ったが高難度の呪文だったので興味がある方はwikiや専門書で知識を得てほしい。 ただ、その難しい呪文の中で私にも解読できる部分があった…「自宅で作成できる」 え?自宅で作れる?こんな美しいものを? そう、自宅でチップを溶かして結晶化させることができるのだ!テンションが上がってきた! ビスマスはチップ状で材料屋で売っていて、それを溶かすとその形と色合いが図鑑にあるような結晶となる。 そもそもビスマスの融点は271.3度、大体ガスコンロの温度が1700度。なるほど溶けます。 さて、どうしても結晶を作ってみたい…実際に結晶を傍においておきたい私はすぐさま材料を揃え始めた。 まずはビスマスのチップを手に入れねば。チップはwebの材料屋で購入するが…このチップ非常に高い。ただ量は結構必要なので当時は1~2kgは購入した。(1万円以上はしたと思う、学生には痛い出費…)尚、形はまるでアイスのピノの様な形をしている。溶ける様もピノ。 お次は耐熱性のステンレスのカップをハンズで購入。そのカップ※1を素手で持つことは出来ないので固定用、そして溶けたビスマスの中から結晶を取り出すためのペンチを購入。 ※1 カップは取っ手が無いものをおすすめ。取っ手がビスマスの重さに耐えられず大惨事を引き起こす恐れ有り。 基本の機材はこれだけで充分。(私が作業した時は) 材料、機材を揃えた私はお楽しみ…結晶化の作業へ。 カップにピノ…ではなくビスマスチップをいれてコンロのごとくに配置。 火をつけて数分でチップはドロドロに溶け、カップから立ち上る熱と上昇気流を顔面に感じる。あぁ、これは非常に危険…と思いつつ火を止める。 熱を冷ましつつ表面に膜がはるのでそれを取り除く。 少しして固まってない液体の部分にゆっくりとペンチを差し入れると…ペンチの先が中でコツッ、と結晶に当たるのを感じる。 それを取り出すと…結晶が出来ている、出来ているぞー!!っと一人キッチンで声を上げて喜んだ。 中から同じ要領で次々と結晶を引き上げる。 出来た結晶で気に入ったものと気に入らないものを選別し、入らないものはもう一度カップへ。(熱すると再度溶けて素材となる) 出来たものをしばらく冷まして、ソファに座り改めて結晶を眺める…あぁなんと美しいのだろう。あのカップの中で金属が熱で溶け冷え固まる事で姿を現す…酸化した事でできる膜の色のなんと美しい。 その日、出来た結晶は小さかった。大きいものを作りたかったので二日に分けて作業をする事に。 結論から言うと、図鑑のような見事な大きな結晶は出来なかった。 機材のカップが小さい事やチップの量の問題もあると思う。 しかし、その時はひとまず満足また近いうちに改めて挑戦だ!と思ってはや7年以上経ってしまった。 こうして思い出を文字に起こしつつ、パソコンの近くにあるラップのされたカップをみる。冷え固まったビスマスの塊が底にある。 日々の忙しさや疲れを理由に動かない自分がいる…また改めて自分のやる気に火を入れねばと思った。 ちなみに出来上がった結晶で気に入ったものは後日、ハンズで小さいガラスシリンダーを購入。綿を底に入れてビスマスを落した。コルクにキーホルダーのチェーンを付けて今でも私の目の前で揺れている。 この思い出でビスマスとは何ぞや?と思われた方。大きな結晶を作るためにはどうすればよいかを自由研究として研究されるのはいかがだろうか?とワナナキは季節違いの提案をしてみるのであった。 ※ビスマスの結晶を作るには火を使います。更にドロドロに溶けたビスマスは非常に危ないので、もしやろうとされている方はweb等で調べて注意点を勉強してから実施されることをおすすめします。
イラスト ワナナキ帝国製 10000円以上紋様採集士ワナナキ
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049 冷蔵庫内の食品サンプル
この紋様のどこが冷蔵庫内の食品サンプル…? ごもっとも! この紋様は四角い渦巻きを一つずらす度に回転させている紋様で、部分的には雷紋となっている。 雷紋といわれれば…中華食堂のラーメンドンブリのふちを思い出すが… この紋様に対する私の思い出はおいしいラーメンのお話ではない。 そう、食品サンプルのお話だ。 その冷蔵庫の食品サンプルにたどり着くためには、時は20年以上前…自宅から20分程度歩いた場所の住宅展示場へ行かねば! 親に連れられていった住宅展示場で何もする事がなく退屈だった私はキッチンにたどり着き、家の冷蔵庫よりも大きいその冷蔵庫の一番上を何気なく開けた。冷気が流れてくると思っていたが予想に反して冷たくない。 あぁ、展示場だから誰も住んでないし動かす必要が無いのかー…なんて思いつつ冷蔵庫の中を見ると。 中身がある。 卵のパックや麦茶の入ったガラスポッド、見たことの無いブランドの牛乳パック… 常に腐らないように入れ替えているの!?なんて事を考えて手に持つと…軽い。 そう、これが冷蔵庫内の食品サンプルなのだ。 卵は底に穴が開いていて中身はなく、それが10個程度入ったパックがあり。(恐らく黄身と白身をその穴から抜いたのだろう) 麦茶だと思っていたの物は紙に印刷したものがポッドにロールで入っている。 見たことの無いブランドの牛乳パックも展示場の人が作ったのだろうか? 騙された!本物じゃないんだ!という驚きと面白さから退屈さは吹き飛び、次の中段…今で言う野菜室には何が入っているのか?というワクワク感でたまらなかった。 その中段には…やはり入っている。 バナナ一房レタス一玉だ。どっちも嫌いなのでそっと閉じる。 最後は下段、冷凍室だ…中身はなんだろうなー…やはり入っている。 スーパーで普通に売られている冷凍食品だ。恐らく展示場の人が食べてそれを改めて封をし、いれたのだろう。 下の段にいくにつれ情熱の尻すぼみが感じられるが、この冷蔵庫は退屈だった私を本当に驚かせてくれたし、楽しませてくれた。 そもそも展示場の家はどれも人が住んでいる感じがせず楽しくない。 なのにこの冷蔵庫だけは異質だった。人の生活感を出そうとする執着のようなものが見えて、人らしさを感じた。だから覚えているのだ。 展示場の人と話を終えて私を探しに来た両親にこの事を興奮しながら伝えるとそんなに楽しいことか?と呆れられたが …。 あの無機質な家の中で有機的な冷蔵庫を演出した人はどんな考えであれを作ったのだろうか…20年たった私は今、気になっている…。
イラスト ワナナキ帝国製 不明紋様採集士ワナナキ