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第五次発行 5銭 印面ヴァラエティー:内枠右下雲型飾り落ち(Pos. 25) / 5th Issue 5 Sen variety: right-lower cloud form ornament missing (Pos. 25)
第五次発行5銭印紙には一つ前のアイテムとして紹介したPos.49と、こちらのPos. 25の2つの印面ヴァラエティーが報告されている(長谷川2022)。 このPos. 25は、印面内側枠の右下にある雲型飾りが欠落している忘彫エラーで、画像2枚目にエラー(忘彫)部分を示している。長谷川カタログ(2016)では p.172に定常変種番号 29-2として掲載されている印面変種。 先日訪れたJAPEX2024のディーラーブースで入手したロットに紛れこんでいたもので、このような宝探しがいまだに可能なのが手彫印紙の楽しさの一つでもある。
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第一次発行 1銭 灰色/黒色のヴァラエティー(23): 左額面「一」の下に小丸 / 1st Issue 1 Sen - variety (23) - small circle below "one" of left value inscription
第一次発行1銭灰色の、左額面の「一」の下に小さな丸のようなものが付いている定常変種(画像1枚目の赤丸の部分)。 印面の誤刻というよりか、原版に何らかの傷がついたものと思われる。 この程度の印面の変異はよく見かけられるもので、普通は印刷の際にゴミが紛れ込んでしまったために生じた偶発変種と考えるのがよいのだが、 一つ前のアイテムとして紹介した、第一次発行印紙が多数貼られた証書に、画像2枚目のとおり、 全く同一ポジションで、(当然だが)同一の変種がある印紙を2枚発見した。 これにより、定常変種であることが証明でき、晴れてこのミュージアムで紹介できるに至った次第。 当然ながら細かすぎてカタログなどには未収録。
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第一次発行1銭黒色ほか多数貼証書(定常変種印紙含む)/ 1st Issue 1 Sen Gray - multiple franking of 1st Issue revenues (including variation)
全長数メートルはあったと思われる証書の冒頭に、第一次発行1銭、5銭、10銭と25銭が多数貼られた派手なアイテムを入手した。 証書にはシミや虫食いがあり、しかも(本来ならば目玉となるはずの)50銭印紙には大きな虫食い穴が空いてて、全体の大きさも相まって、 コレクションの中でどのように扱えばいいのか悩むところであるが、ゲテモノ好きな私にとってはたまらない逸品である。 2枚目から4枚目は貼られている印紙の拡大。第一次発行1銭印紙としては初期印刷と思しき薄めの灰色が貼られている。 最終行には縦に10枚が貼られていて、証書をはみ出るので折り返されているという次第。 これだけ初期印刷の印紙が揃っているので、プレーティングの材料として使えるかなと思い、貼られている1銭印紙を拡大して眺めていたところ、 定常変種と思しきものを、しかも同一ポジションの印紙を2枚発見した。 これについては別アイテムとして詳しく紹介することとするが、やはり手彫証券印紙には何が潜んでいるか全くわからないということを改めて思った次第。
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第五次発行10銭青色:Grayish Blue貼り証書 / 5th Issue 10 Sen Blue: Grayish Blue on document
第五次発行10銭青色は、10銭印紙の中では最も普通に見られるものであるが、Grayish Blueという、灰色味の強い、ぱっとしない刷色のものは格段に少なく、このコレクションルームで刷色の説明をした際にも、「証書貼りはおろかペアすら所有していない」と紹介していた。 今回、縁あって、Grayish Blue貼り、しかも横ストリップ6枚が貼られた証書を入手することができた。 明治15年9月付、金高700円の第百三十九国立銀行の借用証書なので、本来ならば税高70銭のところ、10銭不足している。 一枚脱落かと思ったが痕跡がなく、銀行なのに何故このような過小申告が通ったのかは謎。 税高の不整合に加えて、証書の状態もあまり芳しいとは言えないのだが、第五次発行10銭Grayish Blue貼りの証書として実に貴重な一品であり、長年追い求めていたものであることも踏まえ、星5つとした。 証書の状態が悪いので、貼られている印紙も他の色調のものが色褪せたという可能性も考えられたが、画像3枚目からわかるように目打11であることから、Grayish Blueで間違い無いと判断した。 第五次発行1銭黒色でも、明治13, 14年に出現するGrayish Brownという刷色は茶色味を帯びた淡い灰色で、10銭のGrayish Blueと何となく共通した雰囲気がある。 加えて、1銭Grayish Brownと10銭Grayish Blueのみに目打11が存在することから、両者は明治13, 14年ごろに一時的に製造されたもので、インクの材料の調製にも何らかの共通点があったのではないかと推察している。 手彫証券印紙はまだまだ奥が深い!
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第四次発行5銭褐色:定常変種「左上側雲型紋様不完全」 / 4th Issue 5 Sen Brown: variety - left upper cloud form ornament incomplete ("missing eye" variety)
面白いもので、手彫証券印紙のエラーや定常変種は必死になって探しているときには出会えずに、何気ないタイミングで目の前に現れてくれて驚かされる。 こちらは、未整理の印紙貼り証書の整理をしているときにふと見つけた第四次発行5銭褐色印紙の定常変種で、雲型紋様の中心部にあるべき小さな渦巻き紋様が欠落している、「白目エラー」の新顔。今回のものは印面の左内枠の上側にある雲型紋様が「白目エラー」になっている。 このエラー印紙も、第三次発行5銭との関連性を探る上では貴重な研究資料だと考えている。
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第四次発行5銭褐色:定常変種「下左側雲型紋様不完全」その2 / 4th Issue 5 Sen Brown: variety - lower left cloud form ornament incomplete ("missing eye") Part 2
第四次発行5銭褐色印紙の定常変種で、印面内枠下左側にある雲型紋様の中心部にあるべき小さな紋様が欠落しているもの。下額面の「5」の上の雲型紋様が、まるで白目を剥いているような不気味な雰囲気なので、「白目エラー」と称している。 同じようなエラーは、 https://muuseo.com/unechan/items/356?theme_id=40089 で報告しているが、この印紙は、先に報告したものとは異なる印紙で、これから版別を進めていく必要がある。 こちらも細かい変種のためカタログ未記載であるが、プレーティングには十分役に立ちうるもので、印面変種がごく少ない第四次発行5銭では貴重である。 第四次発行5銭のいくつかの版は、第三次発行5銭の版を流用していることが判っている。私見ではあるが、数多く作られた第三次発行5銭印紙のうち、後期に制作されて、消耗が少なかった版が第四次発行に使われ、結果として第四次発行では新たに製版はされなかった、すなわち、第四次発行5銭の全ての版は第三次発行のものが流用されているのでは、という仮説を立てている。 このことを検証するために、第三次発行5銭の版別スタディと、第二次発行5銭、第四次発行5銭との共通版の調査を進めているところ、今回新たに発見したこの「白目エラー」は調査の大きな手助けになってくれるのではと思い、期待をこめて星4つとした。
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第五次発行1銭黒:無地紙, Plate II 再構築シート / 5th Issue 1 Sen Black, Plate II, Wove paper reconstructed sheet
第五次発行1銭黒、無地紙のみで再構築したPlate IIのフルシート。 先に紹介したPlate Iと同じマテリアルを使ってあれこれ組み合わせて、ようやく2つのプレートの再構築シートを完成させることができた。 このシートにも、Grayish Brownのperf 11など珍しい目打のものが含まれている。
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第五次発行1銭黒:無地紙, Plate I 再構築シート / 5th Issue 1 Sen Black, Plate I, Wove paper reconstructed sheet
第五次発行1銭黒色、無地紙のマルチプルや単片のみで再構築したPlate Iのフルシート。 昨年の終わりからex Furuyaと思しきマテリアルを大量に入手することができ、その中から、無地紙で、かつ、横浜税関の青印で揃えたもの。 刷色も、明治13年から14年にのみ出現するGrayish Brownが多く、そのため、目打も11や12x11という珍しいものが含まれている。 こちらもJAPEX2024にエントリーしている作品の目玉リーフの一つ。
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第五次発行1銭黒:38枚ブロック貼り証書 / 5th Issue 1 Sen Black: document with block of 38 copies
最もありふれた手彫証券印紙である第五次発行1銭黒色であるが、高額面の証書では当然ながら高額面印紙が使われるため、大きいブロックのまま使用された例はごく限られているようである。 この使用例は、証書の裏側に38枚(Plate IIの、シートの左から8列で、Pos.1とPos.48が欠落)貼られたもので、縁あって小生のコレクションに加わることができたもの。 第五次発行1銭黒の使用済み最大ブロックはPlate Iが25枚、Plate IIが48枚で、いずれもオフペーパーの状態なので、この38枚貼り証書はオンペーパーでは最大使用例に近いものかも知れない。 貴重な一品で、JAPEX2024にエントリーしている作品の目玉リーフの一つとなっている。
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第一次発行50銭淡緑色/緑色:証書貼り使用例(2) / 1st Issue 50 Sen pale green/green; usage on document (2)
第一次発行50銭淡緑色が貼られた証書にはなかなか出会えていなかったところ、ようやく単一貼りの証書に出逢うことができた。 初期印刷の横ペアが貼られた証書で、同じ出所の一連の証書が蔵出しで市場に出回ってきたおかげで入手できたもの。明治13年という比較的後期のものなのが少し残念なところで、発行直後の明治六、七年の使用例を揃えたいところであるが、贅沢は禁物。 画像3枚目のとおり、左側印紙の上部額面「50 SEN」の「5」のすぐ上に小穴が空いているが、同時期の他の額面の印紙ではこのような位置にピンホールは存在しないはずなので、何らかのキズと思われる。
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第五次発行10銭青色:シートリコンストラクション・デジタル版【完成版】 / 5th Issue 10 Sen Blue: digital sheet reconstruction (completed) [2024/8/18]
本ミュージアムでも途中経過を随時報告していた、第五次発行10銭青色のデジタルシートリコンストラクション(証書貼りのものを含めた、個々の印紙のスキャン画像を組み合わせたバーチャルな復元シート)。 2024年1月の段階で、両プレートともにPos. 37が欠落していたのだが、本当に不思議なもので、8月に入ってから入手したロットと、ex Furuyaの証書貼りアルバムリーフにそれぞれ含まれていて、昨日本日でポジション確定し、Plate I は昨日、Plate IIは本日、めでたく揃ってゴールイン。 七ヶ月間もまったく進展がなかったのが、ほぼ同着で決着するとは、手彫証券印紙の神様の悪戯としか思えない。 いずれにせよ、全ポジションの印紙が揃ったことで、定常変種の確定など、一気に調査研究が進みそうで楽しみである!
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第五次発行1銭黒色:凸版証券印紙(菊型印紙)1銭との混貼使用例 / 5th Issue 1 Sen Black : mixed franking with Chrysanthemum issue 1 Sen
手彫証券印紙は明治17年に凸版証券印紙(菊型印紙)にとって代わられたが、使用は継続されて、特に手彫証券印紙5銭と10銭は凸版印紙時代になっても数多く使われている。 一方で、1銭印紙は大量に使用されていたため、手彫証券印紙の在庫は明治18年ごろには底をついてきた模様で、凸版証券印紙との置き換えが急速に進んだようである。 このため、第五次発行1銭黒色印紙であっても、凸版証券印紙との混貼使用例は意外と少なく、小生も気に留めて探しているのだが、見かけるチャンスはごく少ない。 凸版証券印紙1銭は、大量に使用された印紙であり、凸版証券印紙の中でもいわゆる「駄物」扱いをされているのだが、同じく手彫証券印紙の「駄物」である第五次発行1銭黒色との同時使用例となった途端にハードルがグンと上がるのは面白い。 ここで紹介する例は、現時点で小生のコレクションに入っている唯一の使用例で、明治20年と、第五次発行1銭黒の使用例としても後期である。印紙が重なって貼られていて、ルックスはイマイチではあるが、貼られている第五次発行1銭黒色の右側の印紙が定常変種のあるPlate I / Pos.20であるのがせめてもの救いである。 凸版証券印紙は明治17年7月1日に発行されているので、明治17年7月の混貼使用、それも手彫証券印紙1銭と凸版証券印紙1銭が一枚ずつ、という証書を探しているが、出会えるのはいつのことになるのであろうか。 駄物の珍品の難しさを噛み締めている。
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第五次発行10銭青色:シートリコンストラクション・デジタル版(途中経過) / 5th Issue 10 Sen Blue: digital sheet reconstruction (interim report) [2024/1/20]
第五次発行10銭青色の2つのプレート(Plate I, Plate II)のシートリコンストラクションの進捗については別アイテムとして随時ご報告しているところであるが、証書貼りのマテリアルを使って、個々の印紙のスキャン画像をくみあわせてデジタル版のシートリコンストラクションも併せて進めている。 デジタル版では、証書貼りの印紙のデータも使えるので、実物版よりも若干進捗が早く、現時点(2024/1/20時点)で、Plate I, Plate IIともに1ポジションを残すところとなっている。 偶々であろうが、両プレートとも、Pos. 37が欠落しているのが不思議である。 単片で出会える確率は2/100 = 2%なので、これからが真の踏ん張りどころ。
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第三次発行10銭青色 定常変種「右下隅飾り一部欠落」 3rd issue 10 Sen blue: var. right lower corner ornament partially missing
第四次発行10銭青色で、右下隅飾りの一部が欠落している忘彫エラー。細かいエラーなので、エラー部の拡大を画像二枚目に示している(赤で描いた部分が欠落)。 小さいエラーなのでカタログには未記載ではあるが、プレーティングや第二次10銭との同一ポジション探索にとっては有用かつ貴重なマテリアルである。
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第四次発行5銭茶色:定常変種「左上隅飾り両方ヒゲ落ち」 4th Issue 5 Sen brown : var. left upper corner ornament both “beards” missing
第四次発行5銭茶色で、左上隅飾りの「ヒゲ」が二つとも欠落している忘彫エラー。 第五次発行10銭の縦3枚ストリップを目当てに先日入手した証書に貼られていたもので、思いがけない発見で驚いた次第。 カタログに記載されている同様の定常変種とは異なっているようで、判別に加えて、第三次発行5銭茶色での同一ポジションの捜索など、今後の詳細なスタディが必要な一枚である。
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