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第四次発行10銭青色:Plate IV 【ポーラス紙/濃青色:珍版?】/ 4th Issue 10 Sen Blue, Plate IV [Porous Paper / Dark Blue - rare plate?]
珍品とされている、第四次発行10銭青色印紙(洋紙、目打)を思いがけず複数手に入れることができたことに気付いた。 先日手に入れた、洋紙目打10銭と和紙目打5銭が貼られている証書(画像1)である。同一時期に同じ出所の複数の証書のロットで、現在進行中の第五次発行10銭青色印紙のプレートリコンストラクションの材料に使えると考えて入手した次第。 帰宅して確認すると、ポーラス紙/濃青色の目打10、印面の特徴からは(第五次発行10銭青色の)Plate Iで、幸いなことに上耳紙付きのものも2つあったので、早速プレーティングを試みたところ、全く合わない。Plate IIのシート写真と照合しても合わない。(画像2) 残りの証書に貼られている印紙を確認したところ、いずれも合わない。左警告文の「刑」が見たことない異形のものや、額面表示の「1」の下のセリフが右側に長く伸びているなど、第五次発行10銭青とは顔つきがちがうものが多数あった。 長谷川純氏の作品集「手彫証券印紙」(2022)に、第四次発行10銭青色でポーラス紙のものが掲載されていたことを思い出し、同書p.140の「Fourth Issue 10 Sen Blue, Plate IV」図版を拡大して眺めてみると、今回入手したものと実によく似ている! これは、と思い、図版をスキャンして、合致するものがないか探したところ、この耳付きの印紙ではないが、残りの証書に貼られているもので、長谷川氏のリーフに貼られている印紙と一致するものを発見した(画像3)。 明らかに第四次発行10銭青色 Plate IVを入手したのは今回が初めて。長谷川氏によると、この版の印紙は数日で製造が中止されたと考えられること、現存数はわずか30枚程度の使用済みが確認されているのみで、未使用は未確認、とある。地味ではあるが、実は大珍品である。 このミュージアムでも何度も述べているが、手彫証券印紙はどこに何が潜んでいるのか全く油断ができない... (このあたりの顛末はLab ジャーナル「手彫証券印紙ノート」で詳しくレポートいたします)
unechan
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第一次発行 10銭 朱色/赤色 ヴァラエティー(その4):下額面 「1」下セリフ落ち / 1st 10 Sen - variety (4): Lower Serif missing in “1” of lower value inscription
第一次発行10銭 朱色/赤色のヴァラエティーで、下額面表示の「1」の下のセリフ(横棒)が欠落しているエラー。画像2枚目がエラー部分の説明。明治7年の証書に貼られているもので、使用時期と色調から初期印刷のものと思われる。 細かい忘彫のためか、長谷川(2016)をはじめとしたカタログには未収録。
unechan
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第三次発行10銭青色:印面変種「右額面銭の点落ち」2例目 / 3rd Issue 10 Sen blue : variation - right side value inscription "Sen" dot missing - Second example
第三次発行10銭青色の、右額面「銭」の点が落ちている忘彫エラー。 このコレクションルームで、縦三枚ストリップの3番目の印紙でこのエラーを発見し、また、同じエラーが第二次発行10銭青色にも存在することが判明した経緯を詳しく報告させていただいた、思い出のエラー印紙。この度、ようやく2例目に出会うことができた。証書に貼られたもので、擦れと糊の変色が目立ってコンディションとしてはイマイチではあるが、これで確実に忘彫エラーであることが証明できる。 また、これでコレクションリーフにも単片(3枚ストリップ)と証書を貼ることができる。 来年度は第三次発行印紙での競争展出品を目指しているので、実に嬉しい出会いであった。
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第五次発行10銭青色:目打11L / 5th Issue 10 Sen Blue: Perf. 11L
第五次発行10銭青色の、目打11L。 カタログではさほど珍しく無いような評価であるが、私には縁がないのか、本コレクションルームの基本目打で紹介したものを入手して以来、実に数年ぶりに追加できた一枚。特に右辺の目打が大穴で、目打山が尖っているという、11Lの特徴をよく表している。 こちらも雑多なロットに混じっていたもので、本当に手彫証券印紙は気が抜けない。
unechan
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第五次発行25銭黄色:無地紙、篆書八角印付き(6、7例目) / 5th Issue 25 Sen Yellow, normal paper with Tensho hexagonal cancel (sixth and seventh example)
第五次発行25銭黄色の入手は本当に運と出会いを待つしかない。 この度、海外オークションで小判切手、菊切手と印紙、証書類がごちゃ混ぜになったストックリーフが相次いで2つ出品され、その中にひっそりと第五次発行25銭黄色が1枚ずつ潜んでいた。 旧小判4銭の面白い消印や、さまざまな証紙、第一次発行大型高額手彫証券印紙も混じっていたためか入札数は多かったものの、予算を十分に下回る落札価格で無事に両ロットを入手することができた! イギリスから大きな書留郵便で届いたストックリーフに収まっていた2枚、いずれも無地紙、目打10で、このコレクションルームでも紹介した、例の篆書八角印が押されている。 恐らく数シートが同じ場所で使われて、それが一括で海外に流出し、さまざまなコレクションに収まっていたものが、少しずつ里帰りしているのであろう。 今回入手した2枚、ありがたいことに、画像1枚目のものシートの最上段(Pos.1 - 10)、画像2枚目のものはシートの最下段(Pos. 41-50)と思しきマージンがあって、ポジションの識別のための貴著なマテリアルとなりそうである。 これでコレクションは無地紙7枚(全て八角印)、ポーラス紙2枚(八角印はなし)となった。
unechan
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第五次発行 5銭 印面ヴァラエティー:内枠右下雲型飾り落ち(Pos. 25) / 5th Issue 5 Sen variety: right-lower cloud form ornament missing (Pos. 25)
第五次発行5銭印紙には一つ前のアイテムとして紹介したPos.49と、こちらのPos. 25の2つの印面ヴァラエティーが報告されている(長谷川2022)。 このPos. 25は、印面内側枠の右下にある雲型飾りが欠落している忘彫エラーで、画像2枚目にエラー(忘彫)部分を示している。長谷川カタログ(2016)では p.172に定常変種番号 29-2として掲載されている印面変種。 先日訪れたJAPEX2024のディーラーブースで入手したロットに紛れこんでいたもので、このような宝探しがいまだに可能なのが手彫印紙の楽しさの一つでもある。
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第一次発行 1銭 灰色/黒色のヴァラエティー(23): 左額面「一」の下に小丸 / 1st Issue 1 Sen - variety (23) - small circle below "one" of left value inscription
第一次発行1銭灰色の、左額面の「一」の下に小さな丸のようなものが付いている定常変種(画像1枚目の赤丸の部分)。 印面の誤刻というよりか、原版に何らかの傷がついたものと思われる。 この程度の印面の変異はよく見かけられるもので、普通は印刷の際にゴミが紛れ込んでしまったために生じた偶発変種と考えるのがよいのだが、 一つ前のアイテムとして紹介した、第一次発行印紙が多数貼られた証書に、画像2枚目のとおり、 全く同一ポジションで、(当然だが)同一の変種がある印紙を2枚発見した。 これにより、定常変種であることが証明でき、晴れてこのミュージアムで紹介できるに至った次第。 当然ながら細かすぎてカタログなどには未収録。
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第一次発行1銭黒色ほか多数貼証書(定常変種印紙含む)/ 1st Issue 1 Sen Gray - multiple franking of 1st Issue revenues (including variation)
全長数メートルはあったと思われる証書の冒頭に、第一次発行1銭、5銭、10銭と25銭が多数貼られた派手なアイテムを入手した。 証書にはシミや虫食いがあり、しかも(本来ならば目玉となるはずの)50銭印紙には大きな虫食い穴が空いてて、全体の大きさも相まって、 コレクションの中でどのように扱えばいいのか悩むところであるが、ゲテモノ好きな私にとってはたまらない逸品である。 2枚目から4枚目は貼られている印紙の拡大。第一次発行1銭印紙としては初期印刷と思しき薄めの灰色が貼られている。 最終行には縦に10枚が貼られていて、証書をはみ出るので折り返されているという次第。 これだけ初期印刷の印紙が揃っているので、プレーティングの材料として使えるかなと思い、貼られている1銭印紙を拡大して眺めていたところ、 定常変種と思しきものを、しかも同一ポジションの印紙を2枚発見した。 これについては別アイテムとして詳しく紹介することとするが、やはり手彫証券印紙には何が潜んでいるか全くわからないということを改めて思った次第。
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第五次発行10銭青色:Grayish Blue貼り証書 / 5th Issue 10 Sen Blue: Grayish Blue on document
第五次発行10銭青色は、10銭印紙の中では最も普通に見られるものであるが、Grayish Blueという、灰色味の強い、ぱっとしない刷色のものは格段に少なく、このコレクションルームで刷色の説明をした際にも、「証書貼りはおろかペアすら所有していない」と紹介していた。 今回、縁あって、Grayish Blue貼り、しかも横ストリップ6枚が貼られた証書を入手することができた。 明治15年9月付、金高700円の第百三十九国立銀行の借用証書なので、本来ならば税高70銭のところ、10銭不足している。 一枚脱落かと思ったが痕跡がなく、銀行なのに何故このような過小申告が通ったのかは謎。 税高の不整合に加えて、証書の状態もあまり芳しいとは言えないのだが、第五次発行10銭Grayish Blue貼りの証書として実に貴重な一品であり、長年追い求めていたものであることも踏まえ、星5つとした。 証書の状態が悪いので、貼られている印紙も他の色調のものが色褪せたという可能性も考えられたが、画像3枚目からわかるように目打11であることから、Grayish Blueで間違い無いと判断した。 第五次発行1銭黒色でも、明治13, 14年に出現するGrayish Brownという刷色は茶色味を帯びた淡い灰色で、10銭のGrayish Blueと何となく共通した雰囲気がある。 加えて、1銭Grayish Brownと10銭Grayish Blueのみに目打11が存在することから、両者は明治13, 14年ごろに一時的に製造されたもので、インクの材料の調製にも何らかの共通点があったのではないかと推察している。 手彫証券印紙はまだまだ奥が深い!
unechan
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第四次発行5銭褐色:定常変種「左上側雲型紋様不完全」 / 4th Issue 5 Sen Brown: variety - left upper cloud form ornament incomplete ("missing eye" variety)
面白いもので、手彫証券印紙のエラーや定常変種は必死になって探しているときには出会えずに、何気ないタイミングで目の前に現れてくれて驚かされる。 こちらは、未整理の印紙貼り証書の整理をしているときにふと見つけた第四次発行5銭褐色印紙の定常変種で、雲型紋様の中心部にあるべき小さな渦巻き紋様が欠落している、「白目エラー」の新顔。今回のものは印面の左内枠の上側にある雲型紋様が「白目エラー」になっている。 このエラー印紙も、第三次発行5銭との関連性を探る上では貴重な研究資料だと考えている。
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第四次発行5銭褐色:定常変種「下左側雲型紋様不完全」その2 / 4th Issue 5 Sen Brown: variety - lower left cloud form ornament incomplete ("missing eye") Part 2
第四次発行5銭褐色印紙の定常変種で、印面内枠下左側にある雲型紋様の中心部にあるべき小さな紋様が欠落しているもの。下額面の「5」の上の雲型紋様が、まるで白目を剥いているような不気味な雰囲気なので、「白目エラー」と称している。 同じようなエラーは、 https://muuseo.com/unechan/items/356?theme_id=40089 で報告しているが、この印紙は、先に報告したものとは異なる印紙で、これから版別を進めていく必要がある。 こちらも細かい変種のためカタログ未記載であるが、プレーティングには十分役に立ちうるもので、印面変種がごく少ない第四次発行5銭では貴重である。 第四次発行5銭のいくつかの版は、第三次発行5銭の版を流用していることが判っている。私見ではあるが、数多く作られた第三次発行5銭印紙のうち、後期に制作されて、消耗が少なかった版が第四次発行に使われ、結果として第四次発行では新たに製版はされなかった、すなわち、第四次発行5銭の全ての版は第三次発行のものが流用されているのでは、という仮説を立てている。 このことを検証するために、第三次発行5銭の版別スタディと、第二次発行5銭、第四次発行5銭との共通版の調査を進めているところ、今回新たに発見したこの「白目エラー」は調査の大きな手助けになってくれるのではと思い、期待をこめて星4つとした。
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第五次発行1銭黒:無地紙, Plate II 再構築シート / 5th Issue 1 Sen Black, Plate II, Wove paper reconstructed sheet
第五次発行1銭黒、無地紙のみで再構築したPlate IIのフルシート。 先に紹介したPlate Iと同じマテリアルを使ってあれこれ組み合わせて、ようやく2つのプレートの再構築シートを完成させることができた。 このシートにも、Grayish Brownのperf 11など珍しい目打のものが含まれている。
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第五次発行1銭黒:無地紙, Plate I 再構築シート / 5th Issue 1 Sen Black, Plate I, Wove paper reconstructed sheet
第五次発行1銭黒色、無地紙のマルチプルや単片のみで再構築したPlate Iのフルシート。 昨年の終わりからex Furuyaと思しきマテリアルを大量に入手することができ、その中から、無地紙で、かつ、横浜税関の青印で揃えたもの。 刷色も、明治13年から14年にのみ出現するGrayish Brownが多く、そのため、目打も11や12x11という珍しいものが含まれている。 こちらもJAPEX2024にエントリーしている作品の目玉リーフの一つ。
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第五次発行1銭黒:38枚ブロック貼り証書 / 5th Issue 1 Sen Black: document with block of 38 copies
最もありふれた手彫証券印紙である第五次発行1銭黒色であるが、高額面の証書では当然ながら高額面印紙が使われるため、大きいブロックのまま使用された例はごく限られているようである。 この使用例は、証書の裏側に38枚(Plate IIの、シートの左から8列で、Pos.1とPos.48が欠落)貼られたもので、縁あって小生のコレクションに加わることができたもの。 第五次発行1銭黒の使用済み最大ブロックはPlate Iが25枚、Plate IIが48枚で、いずれもオフペーパーの状態なので、この38枚貼り証書はオンペーパーでは最大使用例に近いものかも知れない。 貴重な一品で、JAPEX2024にエントリーしている作品の目玉リーフの一つとなっている。
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第一次発行50銭淡緑色/緑色:証書貼り使用例(2) / 1st Issue 50 Sen pale green/green; usage on document (2)
第一次発行50銭淡緑色が貼られた証書にはなかなか出会えていなかったところ、ようやく単一貼りの証書に出逢うことができた。 初期印刷の横ペアが貼られた証書で、同じ出所の一連の証書が蔵出しで市場に出回ってきたおかげで入手できたもの。明治13年という比較的後期のものなのが少し残念なところで、発行直後の明治六、七年の使用例を揃えたいところであるが、贅沢は禁物。 画像3枚目のとおり、左側印紙の上部額面「50 SEN」の「5」のすぐ上に小穴が空いているが、同時期の他の額面の印紙ではこのような位置にピンホールは存在しないはずなので、何らかのキズと思われる。
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