光(10本入)―その1

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商業デザイナーの先駆者とも言える杉浦非水(1876-1965)によってデザインされた。

杉浦非水は東京美術学校出身、日本画を志し川端玉章に師事していたが黒田清輝の助言・指導を受けて、グラフィックデザインの世界へ転向を果たす。タバコのデザインにおいては、欧風のものが目立つが、「光」は日本画の素養が活かされた荘厳な仕上がりとなっている。

商業デザイン上多用される「太陽と雲」のレイアウトに苦心し、また時代の要請による論難による修正・変更もあり、この意匠に落ち着くまで時間を要したが、第二次世界大戦を生き延びるロングセラーがここに誕生した。

【画像1】1936年11月24日~ 10銭で発売開始
☆「光」杉浦非水自筆
☆当初案では、太陽に雲を掛けてデザインに奥行きを持たせる工夫がされていたが、国粋主義者の論難に遭い、雲と太陽を離した。

【画像2】1937年4月30日~   
☆「光」欧陽 詢(唐:557-641)書蹟に変更

【画像3】1938年1月31日~  11銭へ価格改正

【画像4】「光」書体の比較
☆側面の「ひかり」は藤原行成「和漢朗詠集」より集字

【画像5】発売当初の内小箱。欧文表記。

【画像6】ほどなく、ひらがな表記に改められる。

【画像7】発売当初の鞘紙。こちらものちにひらがな「ひかり」の縦書きに変更される

・1938年9月14日より、真鍮粉節約の目的で金色部分が
黄色に変更される。他の銘柄も順次変更される。

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