江戸期 久留子紋蒔絵野弁当

初版 2022/12/07 21:40

改訂 2023/03/15 20:00

キリスト教が伝来すると、キリスト教のシンボルでもある「十字架」を家紋に用いたいと思う者が増え、誕生した家紋があります。「久留子(くるす)紋」という名のその家紋は、馬の道具を表した「轡(くつわ)紋」をアレンジした紋です。別名「十字架紋」と言って、その名前の通り「十字架」をモチーフとした紋です。
「くるす」という名前は、ポルトガル語で十字架を「クルス」と言うことに由来しています。キリスト教の伝来と共に武士の間でも改宗する者が増え、それと同時に家紋として用いられるようになりました。

この野弁当は江戸期のものと思われますが、「花久留子」という紋のアレンジと思われます。

五寸ほどの四段重と、酒入のついた長方形の器が一組になったものです。

久留子紋と唐草を配して、稲妻型に模様をつけたデザインです。

器の組み合わせとしてはシンプルなものです。

横から見ると絵柄は一致してはいませんが、黒と沃懸地(いかけじ)の模様が連続しているように作られています。

基本的には草や紋は朱、金、青の三色で作られています。

五寸の重箱。軽度の傷みはありますが、製作から恐らく200年以上経った漆器としては状態はまずまずです。

唐草と紋の大きさもよく計算されています。

取っ手金具も精緻な作りになっています。

久留子紋が鮮やかです。

重箱も薄い作りで狂いもないことから、木地づくりも大変丁寧だったことが分かります。

傷みの激しい黒漆の共箱がこれまでの長い年月を物語っています。禁教の江戸時代にどんな方がこれを使っていたのでしょうか。

1990年3月に行ったロンドンで、初めてエドワードグリーンのドーバーを購入しました。以来、ここの靴の虜になりました。質の良いしっとりとしたカーフ、美しい木型、無い物ねだりと分かりながら、この時代のエドワードグリーンの靴を今も追い求めてしまいます。
他に古い靴も修理して履いています。特に戦前の英国靴は素晴らしいと実感しています。

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