その器、身元不明につき~螺鈿重

初版 2023/03/20 14:37

改訂 2023/05/16 21:30

時代はおろか、日本のものか朝鮮のものかも分からない螺鈿重です。高さが20センチほどの中型のものです。入手したのはいいのですが、どう使っていいのか分からないまま経過しております。

朝鮮半島の土産物屋に螺鈿を使った製品がよくあるのですが、これはちょっとそれとは次元の違う手間が掛かった作品のようです。

側面から見ると一段目、二段目、蓋それぞれで模様が違いますが、さらに蓋上部と側面、底も違うので、全部で五種の模様があることになります。

中の懸子があるところを見ると手箱に似た印象もあります。木地の狂いもなくこのあたりは立派です。

底部分にまで螺鈿を施す念の入れようですが、ここまで頑張る必要はないと思います(笑)。

外と比較して飴色の懸子部分の綺麗さが気になります。これだけ後年に新しく作られたものという可能性を否定できません。

それにしてもこの細い3-4㎜の貝片を根気強く並べていく面倒くささはちょっと想像できません。

黒漆の表面がすすけて、螺鈿の変色からもかなり古そうな印象があります。

蓋の破損部分を塗り直し、わざわざ下がり藤の蒔絵を施しています。

この器の縁は直角ではないので、カーブの部分をどのように螺鈿の細工をして滑らかにしているのでしょう。

一段目のこのシャープな卍模様も良いですね。

1990年3月に行ったロンドンで、初めてエドワードグリーンのドーバーを購入しました。以来、ここの靴の虜になりました。質の良いしっとりとしたカーフ、美しい木型、無い物ねだりと分かりながら、この時代のエドワードグリーンの靴を今も追い求めてしまいます。
他に古い靴も修理して履いています。特に戦前の英国靴は素晴らしいと実感しています。

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    fanta

    2023/03/21 - 編集済み

    凝りに凝った超絶の、螺鈿細工ですね。
    これほど素晴らしいのに、名も知らぬ職人さんの技…😲

    螺鈿と黄金は時代が経っても変わらない美しさで、、
    なんともロマン感じますね~♪

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      グリーン参る

      2023/03/22

      fantaさん
      おっしゃる通り凝った細工ですね。これを最後まで完遂する執念には本当に脱帽します。

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