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阪神8000系電車
武庫川線の洲先・武庫川団地前間開業に際して、本線急行用車両の補充が必要となり、更に急行用車両の代替えも視野に入ってくる中で、1984(昭和59)年に登場した。 設計・製造にあたっては、今後の急行用車両のあり方として経済性の向上が目指され、制御装置には界磁チョッパ方式が採用された。 界磁チョッパ制御を採用した急行用車両としては、7801形・3521形電車の改造による3000系電車が本形式の前年に登場しているが、本形式は在来車両との連結運転を考慮しないものとして設計されたため、電気指令式電力回生ブレーキの初採用にも至っているほか、常時6両編成で営業運転を行うものとされたことで、中間の車両から乗務員室を廃した構造となっている。 車体については第1編成と第2編成以降では大きく異なっている。このうち第1編成では、電気連結栓や非常脱出口化された貫通路の関連装具等、連結運転を行わない設計となったことで不要となった編成前頭部の設備・装備品類を廃したほかは、車体の内外は3800形電車に準じた内容にとどめられた。 一方、第2編成以降では3061形電車をはじめとした車齢の高い急行用車両の置換えが増備の目的となり、急行用車両の新たな標準とすることを目指しながら阪神電車全体のイメージアップにも繋げるべく、車体関係について大きな見直しが行われることとなった。 前面は非常脱出口である貫通扉を中央に配し、前面窓を天地方向に拡大。列車種別と行先の表示装置は左右に振り分け、前面窓上部にそれぞれブラックアウト処理して収められた。灯具類では、前照灯2灯が中央の貫通扉上に並べて設置され、標識灯は通過表示灯と後部標識灯に分離して一体ケーシングしたものに変更。このほか、前面車体下部にはスカートが取り付けられた。 側面では側窓にバランサ付の一段下降窓が採用されたことが目立つところで、開閉操作性と採光性が向上したのは勿論のこと、軽快な色彩となった内装や連結面貫通扉の窓の大型化と相まって、明るい印象を与える車内空間作りにも寄与している。 また、乗務員室内においても運転台周りの機器・計器類の配置が大きく改められ、居住性と操作性の向上が図られている。 増備の進行に連れて、冷房方式の変更(分散式から集約分散式へ)に伴う車体断面と車内天井見付の変更、側窓の拡大と内装の大幅な見直しといった変化も生じたほか、増備の最終年にあたる1995(平成7)年には阪神・淡路大震災を受け、一部車両の被災廃車と編成の組み換え、並びに補充車両の新製が行われている。 2001(平成13)年からはリニューアル工事が実施され、制御装置等の部品交換・修繕はもとより、客室にはLED式車内案内表示装置やバリアフリー関連設備の新設、一部車両のセミクロスシート化(後年には施工しない車両もあり)が行われ、内装材も9300系電車に準じた物へ交換された。 更に、車体外部塗色もまた同形式と同様、上部にオレンジ色(プレストオレンジ)・下部にライトベージュ(シルキーベージュ)の新たなツートーンカラーとなって、阪神を代表する車種としての活躍を続けている。 #阪神8000系 #阪神電気鉄道
鉄道模型 MICRO ACE 6両Shijo Electric Railway(四条電気鉄道)
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阪神5500系電車
今後の阪神車両の標準となるべく、コストの抑制と保守性の向上を図りつつ、走行機器類から車体外観、接客設備面に至るまで改良が加えられた普通用車両で、1995(平成7)年に登場した。 車体外部塗色の変更が外観上の最大の特徴となり、普通用車両における青色のツートーンカラーを継承しているものの、上部に水色(アレグロブルー)、下部に淡灰色(シルキーグレイ)という新たな配色を採用して、単なる新形式車両としてのアピールにとどまらず、阪神・淡路大震災からの本格的な復旧を訴えかけるものとした。 外部塗色以外にも、8000系電車を基本とした車体には前面窓周りや灯具設置部分の平滑化や床面高さの低下といった改良が加えられ、保守性向上の見地からステンレス製屋根板や固定式側窓(開閉可能な側窓も残存)の採用もなされた。 また、床面高さの低下と合わせて、客室内には非常通話装置やマップ式車内案内表示装置、扉開閉予告ブザーの設置等、接遇面での設備の充実が図られている。 搭載機器類の面ではやはり保守性・経済性向上の観点から、阪神では初となるVVVFインバータ制御方式・誘導電動機が採用されている。 そして、従来の普通用車両に比べて加速度・減速度の値を抑える一方、中高速度域での加速性能向上と加速度変化率(ジャーク)の調整によって、普通列車における運転時分の維持と乗り心地の改善を果たすものとなった。 2017(平成29)年にはバリアフリー設備の拡充を軸としたリニューアル工事を実施した“リノベーション車両”が、2020(令和2)年には2両編成化や野球に因んだ内外装への変更を施して武庫川線用とした車両がそれぞれ登場している。 #阪神5500系 #阪神電気鉄道
鉄道模型 GREENMAX 4両Shijo Electric Railway(四条電気鉄道)
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阪急9300系電車
6300系電車の後継となる京都線特急用電車で、2003(平成15)年に登場した。様々な情勢の変化から、京都線の特急列車の運転も京阪間(大宮・十三間)ノンストップから途中駅停車へと方針転換するに至ったため、特急車両としてセミクロスシートの座席を堅持しつつも客用扉は一般車同様の片側3ヵ所としている。 車体外観については、前面形状は8000系電車の流れを汲みつつ3面折妻の後退角を大きく取ったものとなり、屋根上では無線アンテナ周囲を覆ったカバーとその左右に連続して取り付けた屋根飾りが特徴となった。 増備の過程で3年ほどの中断期間があったこともあり、前照灯周囲の造形や前面表示幕の方式、側窓の天地寸法と構造に変化が見られる。 #阪急電鉄 #阪急9300系
鉄道模型 KATO・MICRO ACE 24両Shijo Electric Railway(四条電気鉄道)
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阪急6300系電車
従来の2800系電車に代わる京都線の特急列車用として1975(昭和50)年に登場。 車体は、車内における居住性の更なる向上を目指し、乗降扉の位置を車端に寄せて立客と着席客の空間の分離を図ると同時に、クロスシート席の増加を達成させたほか、外部塗色は阪急電車の伝統カラーと言えるマルーンを継承しつつ、初の試みとして屋根肩部分にアイボリー塗装を施した。 また、前面は本形式と同年に登場したチョッパ制御の長期実用試験車である2200系電車同様、行先と列車種別の表示装置を左右の窓上部に振り分けて配置し、標識灯は尾灯と通過灯と分離した上、左右の窓下部へ各1灯ずつ設置している。この標識灯の周囲にはステンレス製の飾り帯を配し、前述した車体屋根肩部のアイボリー塗装と併せて特急車両であることのアピールとしている。 制御装置や制動装置、台車等、走行機器類については5300系電車に倣っているが、運転台においては2200系同様のワンハンドル式主幹制御器(いわゆるワンハンドルマスコン)を採用し、運転台周りの機器配置の簡素化と作業環境の向上が図られている。 なお、最終増備分の編成は6330系とも称されるが、これは7300系電車同様の界磁チョッパ制御を採用したことにより番号を区分したためである。 その内外装から“私鉄特急界のクイーン”とも称されて人気を集め、後継形式である9300系電車の登場後は、嵐山線の線内折返し列車用に4両編成化し、併せて座席配置を含めた車内の改装を実施した車両や、京阪間の移動需要喚起を目指した観光列車「京とれいん」へと改造された車両が現れ、京都線特急の任を解かれてなお活躍を続けている。 #阪急電鉄 #阪急6300系
鉄道模型 KATO 32両Shijo Electric Railway(四条電気鉄道)
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阪急2800系電車
1963(昭和38)年の京都線河原町延伸開業に際しては、当時の最新形式であった2300系電車が特急列車に充当されたが、運転形態(大宮・十三間ノンストップ)及び競合他社との差別化に鑑み、程無くしてクロスシートを備える特急用車両の導入に踏み切ることとなった。本形式はこのような背景から1964(昭和39)年に登場したものであり、走行機器類については2300系のものをそのまま採用し、同系の車体を特急仕様とした内容となっている。 客用扉は2300系同様の両開き式ながらも1両につき片側2ヶ所とし、車内は扉間に転換式のクロスシート(但し、乗降口寄りは収納式の補助座席を組み込んだ仕切りと一体化された固定式クロスシート)が、扉より車端寄りにはロングシートがそれぞれ備えられている。なお、側窓は2枚1組としたいわゆる連窓(乗務員室付き車両の乗務員室背後を除く)となっており、眺望性の向上が図られると共に、特急車両らしさをアピールする外観上の特徴ともなっている。 登場当初は5両編成であったが、輸送人員が増加の一途を辿る時期であったこともあり、1966(昭和41)年には6両編成に、その翌々年には7両編成に延伸され、1972(昭和47)年までに8両編成となった。 また、当時の他形式同様、中間に乗務員室(運転台)を備えた車両を含める編成構成であるが、ラッシュ時の混雑緩和の観点から中間に存在する乗務員室の位置を京都(河原町)方向へと寄せるため、6両編成化される時点で大阪(梅田)側の小編成と京都側の小編成の連結順序が入れ替えられている。 8両編成化と平行して、阪急の車両では初となる冷房化改造工事を実施。更に、後継特急車両となる6300系電車の登場後となる1976(昭和51)年からは一般車両化改造が行われ、車体側面の中央に客用扉が追設された上、客席は全てロングシートへと変えられた。この改造では車体構体を極力生かすため、従来からの2枚1組の側窓がそのまま残されており、中央に追設された客用扉の戸袋部分に位置する窓は戸袋窓として活用される等、ますます特徴的な外観となった。 #京阪神急行電鉄 #阪急電鉄 #阪急2800系
鉄道模型 GREENMAX・MICRO ACE 23両Shijo Electric Railway(四条電気鉄道)
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鉄道ピクトリアル No.847
2011年4月臨時増刊号 〈特集〉 #西日本鉄道 表紙「クロスシートの新形車両3000形」 3000形電車の増備と2000形電車の引退によって、西鉄電車のイメージが大きく変わった頃。 #鉄道ピクトリアル
書籍 2011年 鉄道図書刊行会Shijo Electric Railway(四条電気鉄道)
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鉄道ピクトリアル No.837
2010年8月臨時増刊号 〈特集〉 #阪急電鉄 表紙「京都線特急車9300系」 神戸線・宝塚線には9000系電車が投入され、京都線には9300系電車が増備された頃。 #鉄道ピクトリアル
書籍 2010年 鉄道図書刊行会Shijo Electric Railway(四条電気鉄道)
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鉄道ピクトリアル No.829
2010年1月臨時増刊号 〈特集〉 #小田急電鉄 表紙「ロマンスカー競演 MSEとVSE」 小田原線の複々線区間が延伸され、地下鉄千代田線との直通運転の充実度も増した頃。 #鉄道ピクトリアル
書籍 2010年 鉄道図書刊行会Shijo Electric Railway(四条電気鉄道)
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鉄道ピクトリアル No.822
2009年8月臨時増刊号 〈特集〉 #京阪電気鉄道 表紙「中之島線開業のニューフェイス3000系」 中之島線が開業し、在来車両の車体塗色も変更される等、新たな動きが見られ始めた頃。 #鉄道ピクトリアル
書籍 2009年 鉄道図書刊行会Shijo Electric Railway(四条電気鉄道)
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鉄道ピクトリアル No.816
2009年3月臨時増刊号 〈特集〉 #名古屋鉄道 表紙「2000系『ミュースカイ』」 特急列車の営業・運転体系の大規模な見直しに伴い、車両の構成にも変化が現れた頃。 #鉄道ピクトリアル
書籍 2009年 鉄道図書刊行会Shijo Electric Railway(四条電気鉄道)
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鉄道ピクトリアル No.812
2008年12月号 〈特集〉名鉄パノラマカー 表紙「名古屋鉄道7000系急行豊橋行き」 長く名鉄電車のシンボル的存在だった7000系電車“パノラマカー”が引退間近となった頃。 #名古屋鉄道 #パノラマカー #鉄道ピクトリアル
書籍 2008年 鉄道図書刊行会Shijo Electric Railway(四条電気鉄道)
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鉄道ピクトリアル No.807
2008年8月臨時増刊号 〈特集〉 #南海電気鉄道 表紙「ニューフェイス 8000系」 高野山地域の世界遺産登録に伴う高野線の観光再開発や、南海線での車両代替が本格化し始めた頃。 #鉄道ピクトリアル
書籍 2008年 鉄道図書刊行会Shijo Electric Railway(四条電気鉄道)
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鉄道ピクトリアル No.799
2008年1月臨時増刊号 〈特集〉 #東武鉄道 表紙「100系“スペーシア”とJR東日本485系」 伊勢崎線と地下鉄半蔵門線との直通運転に加え、JR東日本との特急列車直通運転も開始され、新たな輸送体系が確立された頃。 #鉄道ピクトリアル
書籍 2008年 鉄道図書刊行会Shijo Electric Railway(四条電気鉄道)
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鉄道ピクトリアル No.787
2007年3月臨時増刊号 〈特集〉 #京成電鉄 表紙「特急車AE100形と通勤車の新鋭3000形」 後の成田スカイアクセス線の開業を見据え、日暮里駅の大規模な改築工事が進められていた頃。 #鉄道ピクトリアル
書籍 2007年 鉄道図書刊行会Shijo Electric Railway(四条電気鉄道)
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鉄道ピクトリアル No.771
2006年1月臨時増刊号 〈特集〉 #名古屋鉄道 表紙「2000系『ミュースカイ』」 100㎞近い路線廃止を経た後、中部国際空港の開港に伴って空港アクセス輸送の役割を得た頃。 #鉄道ピクトリアル
書籍 2006年 鉄道図書刊行会Shijo Electric Railway(四条電気鉄道)