未発表音源集「ザ・ビートルズ・アンソロジー1」

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1995年11月20日発売。CD2枚組の、未発表曲やライヴ・バージョン、アウトテイクを集めた企画アルバム。間違っても初心者は手を出してはいけない。どんな内容かというと、
●ビートルズの前身バンドであるクオリーメンが近所の電気屋に併設された簡易スタジオで一発取りしたという最古の録音
●トニー・シェリダンのバックバンドとして録音に臨んだ「マイ・ボニー」(いわゆる”ポリドール・セッション”)
●デッカ・レコードのオーディションで演奏した録音
●ジョージ・マーティンの前で初めて演奏したときの録音
など、デビュー前の録音から、
●ラジオ番組でのスタジオライヴ
●ジョンの「高い席の人は宝石をじゃらじゃら鳴らしてください」発言で有名な、ロイヤル・バラエティ・ショーでの演奏
●スタジオ録音のアウトテイク(いわゆる没バージョン)
なんかがギュウギュウに収録されている。時期的には、デビュー前から4thアルバム『Beatles for Sale』の頃までの録音。個人的には「Mr. Moonlight」の出だしが上手くいかなかったジョンにポールが「何かちょっと違うね」と声をかけてやり直すところとか、面白く聴けた。もちろん、こういうのは完成形を熟知してるからこそ面白いのであって、ビートルズ初心者が聴いても「???」だろう。アマゾンのレビューなんかでも何かその辺を誤解してるレビューがあって非常に萎える。

まあ、マニア御用達の内容なんだけども、本当のマニアなら海賊盤などで耳にしたことがあるものも多いはず。しかし、誰もがこのアルバムで初めて聴くことになった曲が1曲入ってる。それが1曲目に収録された「Free As A Bird」。なんと新曲!ジョンが1977年に自宅で録音したデモ・テープに、ポール、ジョージ、リンゴの3人が演奏をオーバーダビングして作り上げたもので、ビートルズの擬似的再結成が実現した1曲なのである。晩年のジョンらしいシンプルなメロディーに、リンゴのドラムはいつも通りだし、ジョージのスライドギターが最初から良い味だし、ポールが付け加えたメロディーもそんなに違和感はない。この曲1曲のために買っても良いくらいの名曲か、といわれたら、「まあ、そこまででは・・・」というのが正直なところだけど、4人の絆が復活した曲として意義は大変に大きいのだ。ファンなら買っておくべきアルバム。

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