コレクションの特殊領域

初版 2023/09/09 23:12

改訂 2023/09/17 10:50

子供のころテレビで「コレクター」という映画を見たとき、タイトルが「コレクター(変質者)」となっていて、コレクターというのは変質者のことだというまちがった(?)概念を植えつけられた。

またやはり子供のころアルセーヌ・ルパンの物語を読んでいたら、ルパンがどこかの孤島に全世界から盗み出した美術品のコレクションをもっている、という話があって、これも子供心にひどく印象的だった。

いま思えば、ルパンのコレクションはぜったいに一般公開できない種類のもので、いくら貴重なものでも人に見せられないようなものを集めて楽しいか、という疑問がわいてくる。

それから、映画の「コレクター」だが、これも生身の人間を集めるのはコレクションの定義に反しているのではないか、と思うのである。

いずれにしても人を誘拐して監禁するのは犯罪行為であって、人に知られてはコレクションそのものが崩壊してしまうだろう。

コレクターという人種は、ことさら自分の蒐集品を公開しなくても、少なくとも「自分はこういうものを集めている」ということを人に知ってもらいたいのではないか。

いずれにせよ、犯罪者すれすれ、もしくは完全に犯罪者の部類に入ってしまうコレクターも世の中にはいるだろうと思う。

もう大昔の話だが、ヤフオクで明らかに人骨と思しいものが売買されていて、写真からでもその鬼気はじゅうぶんに感知できた。

そうものからさらにはほんものの銃だとか、危険な薬物だとか、あぶないものをコレクションしている人も世間にはいるだろう。

ミューゼオのような健全な場所では公開できないが、検索にかからない、深層ウェブのような場所では、そういった危険なコレクションが公開されているのかもしれない。

そういうところへ出向く気はいまのところないが、たとえば一般公開されているものでも、やはり特殊な部類に属するコレクションは魅力的で、興味をかきたてられずにはいられない。

世の中には、普通の人間にはガラクタ以下のゴミにしか見えない、まったく価値のわからないものをせっせと集めている奇特な人がいる。

そういう人がなぜそれを集めているか、どういう気持で集めているか、そんなこともメタコレクターの私にはひどく興味をそそられるのである。

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ktr

鉱物と化石の標本を集めています

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    trilobite.person (orm)

    2023/09/16 - 編集済み

    例えば、ご存知かもですが、大阪万博跡地に国立民族学博物館というものがありまして、世界各国の夥しい数の民族資料が展示されていますね。中でも、オセアニアのおどろおどろしい仮面類や、メキシコ?の骸骨人形蒐集物などは、コレクションの特殊領域的なものを垣間見ることができる展示と言えるかもしれません。所詮国の施設なので、全て健全な蒐集物ではありますが。
    中々の人気スポットですので、皆ああいう怪しい魅力を秘めたコレクションには惹かれるのでしょうね。

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      ktr

      2023/09/16

      民博は学生のころ何度か足を運んだ記憶があります。
      民族学は(民俗学も)ヘンなものを掘り起こすという意味で興味深いですね。
      博物館は一般公開していない収蔵物がやばいんですよね。
      そういうものも時勢によって日の目をみることもあるようですが。
      最近ではラスプーチンの特大ペニスがどこかの博物館に展示されたとかいう話がありました。

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    Trilobites

    2023/09/17 - 編集済み

    三葉虫コレクションは、マイナー分野とは言っても極端な特殊領域ではないと思ってはいますが、そこは世間が評価するところなので、変な物を集めているといえば、それまでですし、少なくても私の妻の反応は冷たいものです。

    民博、私も大好きな場所で、民俗学が好きなので国内の博物館では最も良い博物館ですね。今は文化が失われつつあるので、もう収集不可能な展示物が圧巻です。

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      ktr

      2023/09/17

      私もそれはつねづね感じていることで、三葉虫というのはミューゼオではもっとも特殊な部類に属するものではないかと。
      人によっては嫌悪感を示す場合もあるので、閲覧注意の文言が必要かも、と思ってしまいます。
      しかし実際のところどうなのかは、おっしゃるように、他人様にしかわかりませんね。

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